今や企業のプロモーションとしても積極的に活用されているInstagram。「Instagramと相性がいいのはBtoC企業だけでは?」と思われがちですが、実はBtoB企業もInstagramでブランドを伝えることができるんです。今回は、BtoB企業のInstagram活用事例とともに、そのノウハウや考え方をお伝えします。
BtoC企業はショッピンク機能を使って、Instagram上で自社の商品を販売することができますが、BtoB企業はBtoC企業に比べて扱う商材の単価が高く、Instagramを契約の場にするのは難しいもの。
そこで、BtoB企業がInstagramを活用するときに注目すべきは、ブランディングです。実際に、Instagramを活用しているBtoB企業の多くは、自社のブランドを伝える手段の1つとしてとらえています。
BtoB企業がInstagramを活用するときに意識したいことは、ブランドの認知度アップ。ブランドが認知されてなければ、顧客が商品やサービスを検討する段階で、候補に上がることも少ないでしょう。商材はBtoB向けであっても、購買を検討・決定するのは企業の中の“人”。ブランドの魅力を反映したビジュアルとメッセージをInstagramで発信し、ブランドの認知度アップにつなげていきましょう。
と言っても、闇雲に投稿しても意味がありません。数あるブランドの中から自社を選んでもらうには、まず“他社にはない強み”や“他社と比べて優れた部分”を整理し、シンプルなメッセージに落とし込む必要があります。また、商品やサービスについて訴求するばかりでなく、外には見えづらい理念や企業活動も積極的に発信していくといいでしょう。たとえばSDGsに関する取り組みなど、企業の社会的な価値を発信していく場として使うこともできます。Instagramでブランドの認知度を高めることで、他社と比較されない特別なポジションを確立していきましょう。
BtoB企業は一般消費者に対する認知度が低く、採用に苦戦する場合も多くあります。そこで注目したいのが、一般ユーザーによく使われているプラットフォームを活用した採用ブランディング。今まで企業のことを知らなかった人にも存在を知ってもらうことができ、エントリーを増やすきっかけを作ることができます。働く人や場所など、企業での働き方をイメージできるような写真の投稿を意識するといいでしょう。内部がまったく見えない企業よりも、働いている人の顔がわかる企業の方が応募する側も安心でき、エントリーのハードルが下がります。
海外では、Instagramを活用するBtoB企業も多く見られますが、日本の企業はまだまだこれからというのが現状。しかし、海外の事例をそのまま真似しても日本人に響かない可能性もあります。海外では、企業のビジョンをダイレクトに伝えるなど、メッセージ性が強いものも好まれますが、日本には、頑張っている人や身近な人を応援したいという、独自の性質をとらえましょう。
必ずしもかっこよく見せようと背伸びするのではなく、企業の内部や働いている社員のバックグラウンドが見えるような、リアルで親しみを感じる投稿を考えるなど、ローカライズしていくことも重要です。
Instagramを活用しているBtoB企業のアカウントをご紹介。ポイントを押さえて、参考にしてみましょう。
【ここがPOINT!】
注目したいのは、そこで働く人と場所の見せ方です。WeWorkは、世界15か国でシェアオフィス事業を展開するアメリカの企業。契約対象は企業ですが、利用するのは企業の中の“人”です。入居を検討する人に魅力を感じてもらえるように、人と場所にクローズアップして、拠点ごとの個性を伝えています。
【ここがPOINT!】
Instagramを使って企業活動を発信したBtoB企業の1つがアメリカンエキスプレスです。海洋保護団体「Parley Ocean Plastic Program」と提携し、素材の70%に再生プラスチックを使ったカードの発行を始めた同社は、海洋プラスチック汚染問題に取り組むキャンペーン「# BackOurOceans」を実施。ハッシュタグを付けるか、アメリカンエキスプレスをタグ付けしてポストされた投稿数に応じて、海洋プラスチックの除去活動に取り組むという内容です。企業として環境問題に取り組むとともに、ユーザーにも考えるきっかけを提供することで、結果的に企業のイメージアップにつながっています。
※素材の70%に再生プラスチックを使ったカード(グリーンカード)の発行は2019年10月現在、北米で実施。当キャンペーンは2019年9月23日に終了しています。
【ここがPOINT!】
顧客管理システムを中心としたクラウドサービスを提供するセールスフォースも、Instagramを活用しているBtoB企業です。コーポレートカラーのスカイブルーを取り入れた投稿が多く、さりげなく企業を印象付ける工夫がされています。
また、ハッシュタグキャンペーン「#MakeChangeSeries」では、セールスフォースのサービスを導入しているさまざまな企業の幹部に、“今変えようとしていること”をインタビュー。IGTVでインタビュー動画を配信することで、セールスフォースが企業の進化を後押ししていることを潜在的に伝えようとしているのではないでしょうか。他にも主催イベントの様子を動画で投稿したり、社員の顔を出して働いている様子を伝えたりと、企業に興味を持ってもらうきっかけづくりをしています。
一般顧客からの認知度が低いBtoB企業は多くありますが、ユーザーが日常的に使っているInstagramであれば、知ってもらうきっかけの場としてぴったりです。Instagramを活用すべきかどうかは、知ってもらいたい層をよく考えて検討する必要がありますが、企業の認知度やブランド価値の向上にひと役買ってくれるでしょう。
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テキスト:石部千晶(六識) トップ画像デザイン:メルクマール