企業のマーケティングツールとしても活用されているPinterest(ピンタレスト)。いち早くその情報発信力に着目し、活用している国内企業の事例を紹介します。海外編も合わせてご覧ください。
大手旅行会社のエイチ・アイ・エスは、美しい写真を多用したボードを数多く作っています。同社は、新興リゾート地(バリ島、プーケット島など)向けツアーでは圧倒的なシェアを誇る一方、競合がひしめく定番の観光地・ハワイにも力を入れており、香港や台湾、中国の並ぶボード一覧のトップにハワイを並べています。
色をテーマにした写真をユーザーにハッシュタグ付きでピンしてもらったり、グループボードに招待して直接ピンしてもらう、参加型のコミュニティを作っているのがよりピンタレストらしいです。旅行を軸にした上手なボードの例と言えるでしょう。
出典:ELLE Japan https://www.pinterest.com/ellejapan/
世界45の地域で刊行する女性誌「エル・ジャポン」(およびWeb版の「エル・オンライン」)の公式アカウントは、ボードのテーマ設定が巧みで、更新も頻繁に行われています。雑誌と同様に、女性が気になるテーマを網羅しているのはもちろんですが、ボード名も、旅を扱ったものは「Travel」や「Trip」ではなく「Bon Voyage!」にするなどネーミングも工夫。
出典:ELLE Japan https://www.pinterest.com/ellejapan/
「ELLE WIS 2015」のタイトルがついたボードには、同誌が主催するイベントの参加者が撮影した写真が集められ、リアルなイベントとピンタレストを結びつける企画も行われています。また、「Inspiration」を謳ったボードでは、ユーザーへエル・ジャポン独自のひらめきを与えるピンを用意していたり、いろいろな意味で読者を啓蒙していくツールとしてピンタレストが使われています。
出典:roomie https://jp.pinterest.com/roomiejp/
ルーミーは、主に20〜30代を対象にした暮らし情報メディア。インテリア、レシピ、ミュージックなど、有形・無形を問わず、読者の毎日をより幸せなものにする情報を発信していて、ボードのテーマも「Greens」「Foods & Drinks」「Relaxing」「CRAFT & COMFORT」など、日常を快適に楽しく過ごしたいというユーザーの願いに直結したものになっています。 メディア自体が生活全般を扱っているだけに、写真の撮り方や使い方が巧みで、「楽しそう」「美味しそう」「心地良さそう」と思わせる点は、ライフスタイル指向の写真を取り入れたいという企業の方の参考になるでしょう。
出典:roomie https://jp.pinterest.com/roomiejp/
出典:Rakuten Travel https://jp.pinterest.com/rakutentravel/
ピンタレストでは、同じ場所や食べ物、アイテムのピンであっても、切り口の異なる複数のボードに展開できますし、元になっている公式サイトとは違うグルーピングをして、ユーザーの反応を確かめることも可能。 ユーザーに対して旅のインスピレーションを与えることを目的とする楽天トラベルでは、それぞれのボードのテーマもバラエティに富んでいます。実店舗でも、同じ品物が、置く棚や展示方法を変えただけで売れるようになることがあるように、いろいろな見せ方を試みられるのもピンタレストのメリットです。
出典:Le Creuset Japon https://jp.pinterest.com/lecreusetjapon/
レシピの紹介は、ピンタレストで定番的な人気を誇るボードのテーマ。鋳物ホーローウェアを中心としたキッチン用品メーカーとして根強いファン層を持つル・クルーゼ ジャポンも例外ではなく、ジャンル別のレシピが揃っています。 公式サイトにもレシピは掲載されていますが、トップページからタブで選ぶ必要があり、さらに階層化されているので見つけにくい部分も感じられるのに対し、ピンタレストではトップからすぐにビジュアルを頼りに探していけるので、サイトへの誘導手段としても優れています。
出典:ネスレ 日本 https://jp.pinterest.com/nestlejp/
ネスレ日本でも、レシピや関連する製品の紹介がありますが、ほかでは見かけない例として、ピンタレスト初心者向けのハウツー・ボードがあります。一見、この画面でそのまま再生開始できそうですが、実際には飛び先のYouTubeで再生されます。こうしたボードがあれば親切ですし、ユーザーを着実に増やことにもつながるでしょう。
出典:Gap https://www.pinterest.com/gap/
ギャップジャパンのボードの中で、ピンタレストらしい使われ方がされているのが「スタッフコーデ」。各店舗のスタッフが、それぞれの感性でコーディネートした着こなしが紹介されています。 この他にも、GAPのロゴ付きアイテムをオソロ(ペアルックやグループでのお揃い)で楽しむイベントのスナップや、ツイッターの投稿からピンしたボードなどもあり、スタッフと顧客が一緒になって楽しむ感覚が伝わってきます。
ビジュアルでの情報発信に特化したピンタレストは、言葉の壁を越え、国内外のマーケットを問わず“自社らしさ”を訴求できるプロモーションツールとして、今後ますます活用の幅が広がっていきそうです。この機会に、ピンタレストにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?