ソーシャルメディア管理プラットフォームを提供しているHootsuiteが、2019年に台頭しそうな5つのトレンドを共有しました。
Hootsuiteの最高マーケティング責任者であるPenny Wilson氏は、2018年にソーシャルメディア業界で起こったこと、2019年に起こることについて次のように語っています。
「ある意味2018年は、ブランド、マーケティング担当者、カスタマーエクスペリエンスのリーダーにとって騒々しい年でした」とWilson氏は言います。「人々は、フェイクニュースやデータ機密性に対する懸念から、政治家、メディア、ソーシャルネットワーク、企業に対する信頼に疑問を覚えるようになりました。それと同じ懸念が、ブランドが顧客と関係を築く方法とブランドが使用するデータにも及んでいます」。
彼女はさらに続けました。「ソーシャルメディアへのオーガニックリーチが低迷したため、マーケティング担当者は、メッセージを伝えるために有料戦略に踏み込まなくてはなりません。また、マーケティング支出の投資収益率を証明するというニーズは依然として高く、最高マーケティング責任者とそのチームは、ブランドマーケティングとパフォーマンスマーケティングのバランスを取りながら、ブランドの健全性、収益の拡大、顧客維持、採算性といった幅広いビジネス目標に対する取り組みの影響を最適化する必要があります」。
Wilson氏は、来年について「2018年に出てきた課題は、2019年以降にブランドがより真正で長期的な関係を顧客と確立するためのチャンスへとつながるものです。そして、顧客との今後の関係性が、幅広いビジネス目標を達成するのに役立つことでしょう」と述べました。
ソーシャルネットワークへの信頼は低下しています。Edelmanのトラストバロメーター2018 は、回答者の60%がソーシャルメディア企業を信頼しなくなったと発表し、独立系調査会社Ponemon Instituteは、同年に最も打撃を受けたのは、ソーシャルネットワークに対する信頼が66%も低下したFacebookだと述べました。
Cambridge Analyticaのユーザーデータ収集に関するスキャンダル、議会の公聴会における証言、イギリス議会への喚問拒否、2016年米国大統領選挙に影響を与えるようなプラットフォームの使用、動画視聴時間を過大に算出していたこと、ユーザーデータを危険にさらすセキュリティ違反、広報会社Definersを雇ってフェイクニュースや競合企業や自社に批判的な個人を中傷するキャンペーンを展開したことなど、2018年のFacebookは多くの問題に見舞われたため、この調査結果は当然だったといえるでしょう。
しかし、問題を起こしたのはFacebookだけではなく、Twitterもプラットフォームでボットや偽アカウントを使用したことでフォールアウトの対処をしました。
人々の不信感はプラットフォームだけに限った話ではありません。Hootsuiteによると、有名なインフルエンサーやメディアに対する信頼は下降しつつあり、人々は家族や友人の口コミを信頼するようになっています。
さらにHootsuiteは、Edelmanのトラストバロメーター2018を引用して、71%の人々がソーシャルプラットフォームは質の高いジャーナリズムを支えるために、さらなる対策を講じるべきだと回答していると付け加えました。
同社によると、ブランドはリーチの最大化ではなく、「透明で質の高いエンゲージメント」に重点を置くようになっています。焦点が「空虚なクリック数」から長期的な投資収益率へと移行し、同じコンテンツを複数のプラットフォームにまたがって掲載することで、状況に応じたオーディエンスへのメッセージングが可能になりました。
Hootsuiteは、小規模ながら価値ある人々のグループと意義深い対話を行っているブランドに、The New York TimesとAdidasを挙げました。さらに同社は、より多くのブランドが、有名なインフルエンサーに代わるものとして専門家や従業員アドボカシーに目を向けていると指摘します。
「ユーザーは、ソーシャルメディア上で誰と対話しているのか、そしてどのデータを共有しているのかを意識するようになっています。信頼を獲得し、真価を提供することは、継続的なエンゲージメントのカギとなります。ここ数年はコンテンツの中身を強調してきましたが、コンテンツを配信する際の文脈(状況)がますます重要になっているということです」と結論を述べました。
そしてWilson氏は、「これらのトレンドすべてを競争上の優位性に変えるには、顧客の信頼を取り戻すことです。そのためには、彼らのプライバシーを尊重し、データが収集されるタイミングと理由を包み隠さず公表すること。そして顧客が共有しても構わないと思っているデータを活用して独自の価値をもたらし、パーソナライズされた一対一のエクスペリエンスを作り出すことから始めてください」と話しました。
ストーリーフォーマットは、Snapchat、Instagram、Facebook、WhatsAppで爆発的に拡大しており、LinkedInでもテストされています。コンサルティング会社のBlock Partyによると、ストーリーのシェアは、フィードのシェアよりも15倍も速く拡散されるといいます。
Hootsuiteは、「ストーリーは非常に視覚的であり、スマートフォンとクリエイティブな眼によって、その場で即座に作成と消費が行われます。ストーリーは大抵24時間で消えてしまうため、遊び心と実験の余地がありますし、真正でスピードが速く、非常にパーソナルなものです」と述べています。
ブランドは、生産価値の高い投稿が依然として重要であることを認識していますが、ストーリーフォーマットでは洗練されていない、より親しみやすいコンテンツの方が有効であることも理解しています。Hootsuiteは、この戦略を成功させたブランドとして、The GuardianとTictailを挙げました。
しかし、「この種の親しみやすさと自発性は、すべてのブランドが成功するものではない」と課題を挙げ、Instagramストーリー向けのアプリケーションプログラミングインターフェースがないことを指摘しました。
それでもHootsuiteは、「ニュースフィードは徐々に過去のものになりつつあるかもしれない」と考えています。
Wilson氏は、「人々が、真正で即時性のあるフォーマットに慣れていくと、同じ期待をブランドとのインタラクションにも抱くようになるでしょう。これによって、ブランドは、自社のヒューマンストーリーを共有するようになり、オーディエンスに商品を試したり、購入したり(顧客)、協力したり(パートナー)、推薦したり(アナリスト)、執筆したり(メディア)、小切手帳を公開したり(投資家)することを促すでしょう」と語りました。
We Are Socialは、pay-to-play(有料)時代はすでに到来しており、ソーシャル広告予算(CMO調査によると2018年だけで32%増)や、有料メディアを使ったFacebookページが増えているとHootsuiteが指摘しているといいます。
これは人々の興味を勝ち取る競争であるため、競争に参入する価格が上がり続けているのです。
Mary Meekerによる最新のインターネットトレンド報告書によると、Facebookのクリック率が61%上昇し、インプレッション単価(1,000回表示あたりの広告コスト)が112%上昇したため、広告主の投資収益率は大幅に低下しました。
Hootsuiteは、リーチはポテンシャルを定量化してくれても、「成功の指標」として使用はできないとブランドに注意喚起しました。とくにミレニアル世代とZ世代は、広告をスキップする、または広告ブロッカーをインストールするなど、無関係な広告を避ける方法を理解しています。
同社は、「進歩的なブランドは、広告にかける予算と同じくらい、時間、創造性、ターゲティングへの投資を重要視している」とSpotifyとNetflixの取り組みを紹介し、NikeのColin Kaepernickキャンペーンは、口コミが依然として重要な要素であることを示した例だと付け加えました。
Hootsuiteによると、ブランドは社内やエージェンシーを通じて、「動画、グラフィック、デザインに精通したクロスプラットフォームのコンテンツ制作者」を参加させ、自社のソーシャルチームを「レベルアップ」させています。しかし、こうした取り組みをしていても、大きな課題がひとつ残っているのです。AdobeのState of Digitalによると、デジタル広告主の70%が自分たちの広告は関連性が高いと考えていますが、そう思っている消費者はわずか8%だけでした。
Wilson氏は、「有料ソーシャルでの競争が激化しているため、マーケティング担当者は、自社のブランドや商品を際立たせる方法を再考せざるをえません。これまで以上に、適切なタイミングで適切なオーディエンスに、適切なフォーマットの適切なコンテンツを提供することが重要になっています。真正なブランドを維持しながら、重要で興味深く、パーソナライズされたコンテンツをタイムリーにオーディエンスに提供することは、至極当然となるでしょう。顧客を個人として尊重し、エンゲージし、関連性のあるコンテンツを使用して付加価値を付けているブランドには、確かな見返りがあります」と言いました。
Hootsuiteは、中国のZ世代の70%がソーシャルを通じて直接商品を購入しているなど、ソーシャルコマースがアジアで人気を博しているのに対し、北米はそうではないと指摘しました。
このニュースは必ずしも暗い見通しを示しているわけではありません。なぜなら、Meekerの2018年報告書によると、調査回答者の55%がソーシャルメディアで製品を見た後にオンラインで製品を購入しており、ソーシャルメディアとコマースのギャップが、インストリームの支払いツールや動画プラグインなどの技術によって埋められつつあるからです。
Hootsuiteは、InstagramのExploreページ、Facebook Marketplace、PinterestのBuyable Pinsのショッパブル機能やショッピングタブといったソーシャルネットワークの特定の機能を挙げました。
同社はまた、動画マーケティング会社BrightCoveの調査を引用し、回答者の74%がソーシャル動画の視聴と購入には関連性があると回答していることを明らかにしました。
そしてHootsuiteは、MikMakを紹介しました。これは、InstagramやSnapchatで製品を直接購入できるようにするサービスで、Zappos、Procter & Gamble、GoProなどのブランドが使用しています。
Hootsuiteは、ブランドに対してこのようなアドバイスをしています。「ユーザーは、顔の見えないブランドからではなく、身近にいるユーザー、つまりプロフィールが公開されていて自分たちがフォローしている個人や企業から購入しています。ショッパブルな投稿や動画は、ソーシャルメディアのパーソナリティやメッセージングを拡張するよりも、無理強いしない方法です。同様に、成功を収めているブランドは、たんに製品の写真やマーケティング表示を主張したりせず、製品がユーザーの生活に馴染む様子を見せる努力をしています。動画は、人目を引く画像以上に巨大な資産となるものです。製品の説明を動画に変えて、製品やサービスのライブストリームデモを行い、顧客からの紹介動画を奨励しましょう」。
さらにWilson氏は追加しました。「B2BであろうとB2Cであろうと、バイヤージャーニーはこれまで以上にソーシャルメディア上で展開を広げています。ソーシャルとは、個人がメディアを消費し、他者とつながり、ブランドと対話し、お勧めを追求し、サポートを求める方法です。トレンドが示すように、ソーシャルはまた、商品、サービス、無料トライアルを問わず、個人が購買決定を下す方法や場所、そして実際に購買する場所になりつつあります。とくにモバイルデバイス上で、ショッピングをライブ、インタラクティブ、シームレスにする方法を見つけてください。2019年に最も成功するブランドは、製品やサービスが顧客の生活に溶け込む様子を見せるために、より一層の努力を払うでしょう」。
Meekerの報告書によると、メッセージングアプリケーションの上位5社(WhatsApp、Facebook Messenger、WeChat、Instagram、Twitter)の月間ユーザー数を合わせると、約50億人になります。また2018年のReuters Institute Digital News Reportによると、10代の半分以上がこれらのアプリに1日あたり3時間以上を費やしています。
Hootsuiteも、10人中9人がメッセージングアプリを使って企業とコミュニケーションを取りたいと考えているというTwilioの調査や、米国の回答者の61%が過去3カ月間にメッセージングアプリを使用して企業と連絡を取り、69%が企業に直接メッセージを送信したことでブランドに対する信頼感が高まったと回答しているFacebook IQの調査を引用しています。
同社は、StarbucksがViberでステッカーを作成していること、H&MがKikのチャットボットを介してファッションアドバイスを提供していること、そして顧客がクーポンを見つけて注文できるようにDomino’s PizzaがFacebook Messengerボットを使用していることなど、いくつか事例を挙げました。
Hootsuiteは、メッセージングのような一対一のコミュニケーションの課題は規模を拡大するのが難しいこと、さらに人工知能を賢く使用しなければならないことだと指摘し、次のように言及しています。「人々がプライベートスペースへ移行しているということは、プライバシーの強化を意味しています。そのため、マーケティング担当者と営業担当者は、リーチの範囲を注意深く押さえて、迷惑なメッセージを避ける必要があります。強引な印象にならず、顧客と一対一の会話ができるように、彼らにリーチする明確な文脈(状況)があるかどうかを確認してください」。
Wilson氏はさらに、「最も精通したブランドは、顧客が望むタイミングと場所でコミュニケーションを取るために、メッセージングアプリに移行するでしょう」と言います。
彼女は最後に、このように結論を下しました。「ソーシャルメディアは、重要でありがながらも、あまり手が付けられていない、大きなチャンスが眠る場所です。ソーシャルメディアは、もはやブランドの構築や管理だけではありません。今回紹介したすべてのトレンドは、組織全体での幅広い業績を推進し、最高クラスのカスタマーエクスペリエンスを提供するうえで、ソーシャルの活用は不可避であることを示しています。認知から支持、ソーシャルマーケティングから販売とサポートに至るまで、ソーシャルはあらゆる顧客とのタッチポイントにおいて重要な要素になっています。なぜなら、顧客は、自分たちがいる場所で、そして(ブランドの望む方法ではなく)自分たちの望む方法で、ブランドとコミュニケーションを取ることを期待しているからです」。
この記事はAdweekのDavid Cohenが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
元記事「5 Social Media Trends Hootsuite Sees Taking Hold in 2019」は2018年12月26日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はNewsCred BlogのAdweekが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。
” alt=”” height=”1″ width=”1″ class=”nc_pixel”>
amana Content Marketing
amana Content Marketing
コンテンツマーケティングの本場であるアメリカで、業界を牽引するリーディングカンパニーであるIndustry Dive。国内唯一の独占パートナーであるアマナがその集合知を活用し、成果へと繋がるコンテンツマーケティングをサポートします。
企業が抱える課題に沿って、戦略策定からチーム構築、コンテンツ制作、効果測定まで、コンテンツマーケティングの運用をトータルで支援します。