広報とコンテンツを常に同一視している人はいないかもしれませんが、Capital Oneの社外コーポレートコミュニケーション(CC)・パブリックリレーションズ(PR)担当ディレクターであるSukhi Sahni氏からすれば、このふたつには共通する部分が多くあります。彼女のチームはオリジナルコンテンツを制作し、インフルエンサーと協力し、素晴らしいパブリッシャーとパートナーシップを結んでいます。彼女は、結局のところ、ターゲットオーディエンスと真正なストーリーテリングを理解することに尽きると言いました。
「私たち全員がコンテンツ制作の一翼を担っています」とSahni 氏は述べます。「何よりも重要なのは、オーディエンスに全体的なストーリーを伝えるために、パズルのピースをまとめる方法を考え出すことです」。
Capital OneのPRチームは、人々を会話に引き込むための統合型コミュニケーション戦略を設計するために、Paid(ペイド)、Earned(アーンド)、Shared(シェアード)、Owned(オウンド)というPESOをもとにしたフレームワークを使用しています。オリジナルコンテンツであっても、インフルエンサーの声であっても、ストーリーが繋がっていれば、すでにチャネルに訪問している消費者や見込み客との関係を確立することができます。
「私たちのチームにとって、持続的なストーリーテリングとは、どんな会話がされているのか、私たちはオーディエンスから見てどの場所にいるのか … といったインサイトを明らかにすることです。インフルエンサーや彼らの情報源と関係を築き、独自調査を含むデータを使って真正な会話を交わすことを中心に展開しています」とSahni氏は話します。「私たちの戦術は、大抵がコンテンツメディアの組み合わせです。たとえば、プレスリリース、オリジナルコンテンツ、あるいはCapital Oneリーダーによるソートリーダーシップなどです。これらは形式に関係なく、説得力のあるインサイトから生まれたストーリーです」。
Capital OneのコンテンツとPRの共通部分について、以下よりSahni氏の意見を紹介していきます。
Capital Oneの社外コミュニケーション・PR担当ディレクター、Sukhi Sahni氏
SahniのPRに対する独自のアプローチは、次のように、ほとんどのコンテンツマーケティング担当者が大手ブランドで行っていることと、それほど違いはありません。
Capital OneのPRチームは、メディアサイクルが変化したことを理解しています。Sahni氏のチームは、現代のメディア業界で消費者が彼女たちのニュースをどのように受け取るかを理解したうえで、プレスリリース以外にも、自社のニュースやイベントなど幅広く伝えています。
「PRは、ブランドコンテンツエコシステムの中心に位置しています」と彼女は語りました。3つの円が重なったベン図を想像してください。最初の円は消費者が興味を持っているもの、2つ目は文化的に関連性が高いものです。そして3つ目はブランドのストーリーとその分野におけるブランドの信頼性です。「この3つの円が重なる場所こそが、PRが最も大きな影響を与えるコンテンツのスイートスポットです」とSahni氏は言います。
その理由についてSahni氏は次のように説明しました。「第一に、PRは通常、企業レベルで行われるからです。他のチームは自分たちのアプローチでサイロ化しますが、PRは企業全体を見通せるため、他のチームができない方法でリソースを最大化することができます」。
第二に、ブランドの信頼性はPRにとって常に最優先事項だからです。
そして最後に、PRはアーンドメディアを通じてコンテンツを拡散する力を持っているからです。「PRは、チャネルとして、信頼できる意見を寄せてくれる第三者と直接関わりを持っています」と彼女は話します。
Sahni氏は、彼女のチームが測定の最先端にいることを誇りに思っていると語りました。「認知や検討といった上部ファネルに位置しているため、PRの直接的な影響を測定するのは困難ですが、主要なKPIを通して物事を判断するために、リソースに投資し、さまざまなパートナーと協力しています」と彼女は言います。
マーケティング担当者は、ビジネスの目標と成果を明確にすることから始めるべきだとSahni氏は言います。「その後で、共感を呼ぶテーマ、コアとなるオーディエンス、彼らがメディアを消費する場所(最適化するチャネルを判断するため)、彼らが読んでいる出版物(コンテンツパートナーシップを通して自社のストーリーを伝え、編集スタッフを投入してコンテンツを獲得するため)について考え、逆算しながら解決しましょう」。
Capital Oneの無料クレジットスコア監視アプリCreditWiseの場合、CreditWiseへの認識を高め、クレジットスコアを理解して監視することが重要な理由についての会話を促進するために、Sahni氏のチームは常に真正なメディア記事を生み出すことを目指しています。
Retail Diveに掲載されたCapital OneのCreditWiseアプリに関するアーンドメディアコンテンツ
Capital Oneのユニークな点は、PRがテストと学習に取り組んでいることです。「コーポレートコミュニケーションチームが積極的にA/Bテストを行ったり、AIドリブンのインサイトを活用したりするイメージはないかもしれません。しかし私たちは、常日頃から『見出しをテストしよう』『メッセージングをテストしよう『インフルエンサーがブランドに言及せずに投稿したコンテンツとブランドのFacebookページに投稿されたコンテンツを比較してみよう』と話しています」とSahni氏は語ります。
そして大規模なキャンペーンを行うとき、Sahni氏のチームは、事前認識テストと事後認識テストを行って、急上昇や長期的な影響があるかを確認しています。
重要なヒント: 推進したい成果を明確にして、逆から解決していきましょう。「測定が成功したと言えるのは、目的を明確に定義し、達成したい結果と確実に一致している場合だけです」。
パーソナルファイナンスやクレジットカードの分野が飽和状態にあるため、Capital OneのPRチームは独自の調査で差別化しながらメディアの幅を広げています。「インサイトに深く根ざしたコンテンツは、ライフスタイルの出版物から、金融や個人的なファイナンスブログに至るまで、さまざまなパートナーと連携するのに役立ちます」とSahni氏は述べます。
CreditWiseアプリを立ち上げた際に、チームは、BuzzFeedと協力してカスタムコンテンツを共同作成し、クレジットスコアについて気軽に話せるアプローチをテストしたいと考えました。
「私たちは、このストーリーをどうやって形作ろうか考えていました。そこで、どの程度の人々がクレジットについて気にしているか、どのくらいの頻度でクレジットについて考えているかを理解するために、消費者調査を行いました。その狙いは、まとめ記事の形式で共有できる優れた情報を見つけることでした」。
コンテンツは、認知度を向上させ、コンテンツのテーマと種類ごとのオーディエンスのエンゲージメントに関するインサイトをもたらしました。「私たちは多くの重要な学びを得て、今も業務にそれらのインサイトを活かし続けています」とSahni氏は語ります。
データの層やコンテンツのインサイトを構築するという戦略はうまく進んでいます。
「ストーリーの内容は製品の販売だけではありません。それが節約であれ、消費性向であれ、トレンドに重点を置いた会話と常に結び付いています。祝日や新学期など、季節ごとのニュースカレンダーに関連した大きな消費サイクルがある場合、ジャーナリストに会話を促すような独自のデータセットを見つけることが重要です」とSahni氏は言います。
Sahni氏のチームでは、今年の初めに、ロイヤルウェディングに関する会話の中に自社のトラベルカード製品を創作して入れ込むことに成功しました。「人々が話している会話に目を光らせ、そこに参加するための適切な時間とアプローチ方法を見つけることが大切です」。
さらにCapital Oneは、ジャーナリスト、インフルエンサー、社内のソートリーダーとの双方向の会話を促進し、魅力的で意義深いオリジナルコンテンツを作成することで、一歩先を歩いています。
重要なヒント: 可能であれば、トピックに関する信頼できる権威としてあなたのブランドを際立たせるために、独自の調査とソートリーダーシップを組み合わせましょう。
すべての組織にはそれぞれ独自のニーズと目標がありますが、Sahni氏は、以下の重要な戦略がほぼすべてのコンテンツ主導型チームの成功に役立つと考えています。
Dawn PapandreaはNewsCredの寄稿者です。
元記事「How Capital One Uses Content Marketing Techniques in PR + Corporate Communications」は2018年7月3日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はNewsCred BlogのDawn Papandreaが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
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