AIクリエイターTakkaが語る、「10」の知見を「100」に変える生成AIの使い方

AIクリエイターTakkaが語る、生成AIを「10」の知見を「100」に変える武器にする方法。プロの審美眼とAIの融合。

日進月歩で進化を続ける生成AI。広告制作やブランドコミュニケーションの現場においても、その存在はもはや無視できないものとなっています。

アマナでは、次世代の制作スタンダードを定義すべく、AI特化型プログラム「A³ School(エースリー・スクール)」を始動。選抜されたアマナのトップクリエイターが3ヶ月間、既存業務を離れてAIの研鑽に没頭するという異例の体制で、クリエイターの独自の審美眼と最先端AI技術を融合させクリエイティブの現場への実装を進めています。

本記事では、A³ Schoolの講師を務める気鋭のAIクリエイター・Takka氏に、アマナでCG・レタッチに長年携わってきた中島 輝が、制作現場の最前線におけるAI活用の本質を伺いました。 


制作スピードの向上と、数千枚の生成画像からエラーを見抜く「プロの審美眼」

中島:Takkaさんにはアマナの「A³ School」で画像生成AIや動画生成AIの講師としてご登壇いただき、非常に実践的な知見を共有していただきました。 早速ですが、生成AIを使うようになって、制作フローにおいて何が一番変わったと感じていますか?

Takkaさん(以下、Takka。敬称略):やはり、圧倒的に制作のスピードが早くなりました。 クライアントやチームとの意思疎通の速度が格段に上がっていると感じます。 そして何より、生成された画像を「見る」量が激増しました。 案件によっては何千枚という画像を生成して、たとえ最終的に使われなかったとしてもすべてに目を通しているんです。

中島:何千枚も生成するんですね。それは想像を絶する量ですね。

Takka:それだけ大量に見ていると、自分自身の審美眼がどんどん磨かれてくるのを感じます。 一般の方が見たら違和感のないAI画像でも、私たちが見ると「光の当たり方がおかしい」「指の描写が足りない」といったエラーを瞬時に見抜けるようになります。 AI特有の「AIっぽさ」を感覚として掴めるようになり、選ぶ力や見抜く力が非常に鍛えられましたね。

Takka  3DCG・実写・生成AIを横断し、コンセプト設計から制作までを一貫して手がけるクリエイター。AIを単なるツールではなく「表現言語」と捉え、映像やブランド、体験までを統合したクリエイティブを構築。「COLOTEK」優秀賞や国際アワード「Chroma Awards」佳作など国内外で高く評価されるほか、大学講師として次世代クリエイターの育成にも尽力している。

Takka
3DCG・実写・生成AIを横断し、コンセプト設計から制作までを一貫して手がけるクリエイター。AIを単なるツールではなく「表現言語」と捉え、映像やブランド、体験までを統合したクリエイティブを構築。「COLOTEK」優秀賞や国際アワード「Chroma Awards」佳作など国内外で高く評価されるほか、大学講師として次世代クリエイターの育成にも尽力している。

AI生成特有の壁と、プロと初心者を分ける「実現可否」の判断力

中島:制作スピードが上がり、チェックのタイミングも前倒しできるようになった一方で、AIが入ってきたからこそ難しくなったことや、新たな悩みはありますか?

Takka:AIの生成は、毎回「0から1」を作り出すような性質があります。 従来の制作ならフィードバックをもとに少しずつ修正を加えて前進できるのですが、AIは画像全体を一気に再生成する仕組みのため、一部分だけの微調整が効きにくく、偶発性に左右され、どうしても絵全体が別のものに変わってしまうんです。 チェックバックが多発すると毎回ゼロからの出し直しになるため、良くなっているという前進感が得られず、心理的に辛さを感じることもありますね。

中島:手戻りの心理的ダメージが大きいんですね。 クライアント側からの要求にも変化はありますか?

Takka:クライアントの求めるクオリティや期待値は間違いなく上がっています。「AIを使えばギリギリの難しいショットもできるのでは?」と実写では不可能なカメラワークや光の質感など、攻めた要求をされることも多いです。 打ち合わせで「これ、AIでいけそうですか?」と聞かれたとき、正直やってみないと分からない部分も多いのですが、これまでの蓄積や経験値、膨大な検証データに基づき、「これならクオリティが担保できる」という確信を持って判断しなければならない難しさがあります。だからこそ、昨日AIを始めた人と、2年間実務で使い倒している人とでは、できる・できないの判断力に大きな差が生まれています。

Takka氏による「A³ School」の教材の一部。「CG×AI」による画像生成の実践例。3DCG(Maya)のプレビューをベースとし、画像生成AI上でカメラレンズの焦点距離(35mm〜135mm)を精密に制御する手法を示しています。CGの正確な構図やパースを保ちつつ、プロンプト通りにリアルな被写界深度や質感を反映できるのが特徴。

Takka氏による「A³ School」の教材の一部。「CG×AI」による画像生成の実践例。3DCG(Maya)のプレビューをベースとし、画像生成AI上でカメラレンズの焦点距離(35mm〜135mm)を精密に制御する手法を示しています。CGの正確な構図やパースを保ちつつ、プロンプト通りにリアルな被写界深度や質感を反映できるのが特徴。

Takka氏による「A³ School」の教材の一部。 キャラクターシートを生成して、ネイティブ音声付きで動画を生成した完成例。

Takka氏による「A³ School」の教材の一部。 キャラクターシートを生成して、ネイティブ音声付きで動画を生成した完成例。

AIと人間の境界線は消え、「自分の拡張」になる

中島:ご自身の中で「ここはAIに任せる」「ここは自分でやる」といった明確な線引きは設けていらっしゃるのでしょうか?

Takka:実は最近、私自身とAIが融合してきていて、どこまでがAIでどこまでが自分なのかという境界線がなくなってきている感覚があります。 明確に「ここを任せる」というより、AIが完全に自分の道具として馴染んでいる状態です。

中島:もう脳内でAIとやり取りをして電気信号でつながっているような状態ですか?

Takka:はい、イメージとしては脳に直接「ニューラリンク」が繋がっているような感覚に近いです。 頭の中で思いついた瞬間に、脳からAPIが動いて画像生成が始まっているような感覚すらありますね。 昔はキーボードで打ち込み、今は音声で指示を出していますが、いずれは脳の信号で直接AIが動く時代が来るでしょうし、私の中ではすでにその感覚がイメージできています。

中島:Takkaさんは、もうすでに次世代を生きている印象ですね。

誰もが作れる時代のクリエイターの価値とは

中島:AIの民主化が進み、今や誰でもある程度のアウトプットが出せる時代です。 その中で、プロのクリエイターの価値はどこで大きくなると思われますか?

Takka:AIを使えば、プロンプトを入力するだけで、それなりの出来で仕上がることもあります。 だからこそ「何を作るか」という一番大事なプロデュースの部分が究極的に問われます。 道具は揃っていても、どこに向かうかによって出力されるアウトプットは全く違います。 私が授業で同じ手法を教えても、生徒さんごとに全く違う制作物が出てくるんです。

中島:人間の内面やバックボーンが反映される、ということでしょうか?

Takka:おっしゃる通りです。 その人の人間性や考え方、思想、哲学、そして「経験」がそのまま反映されます。 AIはある種、「第2の自分」を生み出している感覚に近いですね。 だからこそ、リアルな体験や、自分と違う価値観を持つ人や、見知らぬ人と話すことなど、現実世界のインプットの深さが重要になります。

中島:ご自身でも普段から心がけていることはありますか?

Takka:私自身、読書を大切にしています。本はAIに要約させて読める時代になりましたが、その一方で、AI(LLM)が出力した文章を読むには「速読力」が求められるという、逆説的なおもしろさもあります。 

Takka

著作権・類似性リスクへの実務的対策―プロが実践する「制作過程の記録」とツール選び

中島:商業利用において避けて通れないのが、著作権や類似性、説明責任といった問題です。 プロとしてどこまで考えておくべきでしょうか?

Takka:大きく「類似性」と「著作権(学習データ)」の2つに分けて考えています。 まず類似性についてですが、私はAIから出力されたままの状態をそのまま世に出すことは1つもなく、必ず何かしらの編集を加えていますので、そこに対するクリエイティビティの担保はできていると考えています。

中島:インプットやプロンプトに関してはどうですか?

Takka:映画や既存のキャラクターなど、リファレンスとして与えるものには細心の注意を払います。 例えば、ある映画のようなルックにしたいけれど特定の作品に似せたくない場合、そのジャンルに精通した専門家と話し合い、「こうするとあの作品に見えてしまうから避けるべき」といった議論を交わし、類似性から逃れる工夫をしています。

また、説明を求められた際に即座に出せるよう、プロンプトの履歴や制作過程を記録して残しています。 商用利用できるツールは基本的に絞られており、案件では事前に使えるツールを確認し合うなど、リスクヘッジは徹底しています。

アマナ×生成AIの可能性——プロの知見が掛け算になる

中島:我々アマナもAIを活用するシーンが増えてきましたが、Takkaさんから見て「アマナらしいAIの使い方」への期待はありますか?

Takka:アマナさんには、写真や映像のプロフェッショナル、トップクラスのアーティストが多く所属している強いイメージがあります。 そうした「既存の深い知見や技術」を持つ方々がAIを取り入れたとき、ものすごい力が出ると確信しています。

中島:AI専業のクリエイターとは違う強みがあるということですね。

Takka:はい。純粋にAIから始めた人だけで主要なコンテストの賞を総なめにしているかというと、まだそこまでには至っていない印象です。 

元々映像や写真の文脈を知り尽くしている人がAIを使うと、その能力が何倍にも拡張されます。 コンテキスト(文脈)をどれだけ持っているかで、AIの出力は変わります。

1の力の人にAIの力を10かけても10ですが、元々10の力があるプロのクリエイターにAIをかけ合わせれば100になります。 

だからこそ、長年培ってきた審美眼や、独自の視点を持っているアマナのクリエイターがA³ Schoolで学び、現場で最先端のAIを使いこなすことへの期待値は非常に高いですね。

中島:ありがとうございます。社内でも制作フローの見直しが進み、現場レベルでAIを安全に活用するためのトライ&エラーを重ねる機運が高まっています。AIという新たな武器によって、クリエイティビティの可能性が着実に広がっていると実感しています。

中島 輝(なかしま てる)  フィルム時代からデジタルへの移行期を制作現場で経験し、CGやレタッチなど、広告ビジュアル制作に28年携わる。長年培ってきたプロの審美眼を活かし、現在は社内のAI推進担当として、新たな制作スタンダードの構築に努めている。

中島 輝(なかしま てる)
フィルム時代からデジタルへの移行期を制作現場で経験し、アマナにてCG制作やレタッチに携わる。長年の現場経験を活かし、現在は社内のAI推進担当として実務への生成AI導入や制作環境の構築に取り組んでいる。 

これからの時代を生き抜くクリエイターの条件

中島:これからのAI時代にクリエイターに求められる技術やマインドセットは何だとお考えですか?

Takka:1つ明確なものがあります。 それは「AIをどれだけ好きになれるか」です。 企業に勤めていると、どうしても会社から言われてAIを使う「やらされ感」が出てしまうことがあります。 しかし、私は24時間ずっとAIのリサーチをしていても全く苦にならないほどの「やりたい感」を持っています。

中島:AIの可能性に没頭し、好きになれるかどうかが勝負の分かれ目なんですね。

Takka:その通りです。 使わされているうちは決して伸びません。 AIを使っていて楽しいという感覚を持ち、自分の可能性をどれだけ感じられるかが、これからの時代のクリエイターに最も必要なマインドだと思います。

中島:アマナとしても、クリエイター一人ひとりの美意識や深い知見とAIを掛け合わせ、新たな手法を用いたビジュアルとブランド体験を提供していきたいと思います。

Takka、中島輝

取材・文:中島 輝(アマナ)
編集・撮影:計盛祐子(アマナ)


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