コミュニティを形成する際の3つの壁

Businessman planning and analyse investment marketing data.

コミュニティマーケティングを実施している企業の方々とコミュニティ形成について話をすると、同じような壁にぶつかっていると感じます。大きく「社内の理解」「費用対効果」「顧客との接し方」の3つに分かれています。

これらの壁をクリアすることができれば、コミュニティの形成はより進み、顧客とブランドの成長につながります。

今回は、コミュニティを形成する際の3つの壁とその対応方法について考えていきます。

この記事を通じて、コミュニティに関わる方々の意識や姿勢、及び、コミュニティに対するアクションやコミュニケーションがより有意義なものになればと思います。

①社内の理解〜他部署のメンバーを巻き込むには?〜

はじめに、弊社(株式会社amana)が開催するコミュニティのセミナーの中で最も多い質問は、「社内の(他部署も含めた)メンバーをどのように巻き込めば良いのか?」という社内の壁です。

コミュニティ”マーケティング”と呼ぶくらいなので、コミュニティはマーケティングチームが率先して行う施策のように思われがちです。しかし、コミュニティのメンバーとして参加していただく顧客と実際に接しているのは、営業チームやカスタマーサクセスチームだったりします。コミュニティマーケティングを実施する上で適切なメンバーの巻き込み方に答えはなく、会社にとってそれぞれであります。

そのため、まず社内の壁を超えるためには、「どのようなコミュニティにしていきたいか?」その問いを社内のメンバーで考えることです。自分たちの顧客を巻き込んでワクワクすることは何か。

例えば、BtoBのSaaSであれば、自分たちの製品を利用してくれている顧客に、最近使い始めた別の顧客にノウハウを伝えてもらいたい。BtoCの飲料メーカーであれば、新商品を開発するにあたって、その味について顧客同士で感想を言い合ってもらいたい。

社内の壁をクリアする最善の方法は、「コミュニティの目的を決めること」です。誰から見てもわかりやすい目的が定義されることにより、各部署の利害関係やベネフィットが明らかになり、社内のメンバーにもわかりやすい指標ができます。

社内のメンバーを巻き込めないようであれば、社外(顧客)を巻き込むのは難しいと思います。わかりやすい目的を定義し、社内を巻き込むことができれば、それを顧客にも応用してコミュニティの形成に勢いをつけることができると言えます。

②費用対効果〜KPIをどのように設定するか?〜

続いて多い質問は、「費用対効果、主にKPIをどのように設定しますか?」という会社の壁です。

前提として、コミュニティがもたらす効果は1つとは限りません。コミュニティに参加した顧客の満足度が高まった結果、その顧客が別の顧客を呼んできてコミュニティが大きくなるサイクルが生まれたり、新商品に関するアンケートの思わぬ意見から既存商品のプロモーションアイデアが生まれたりと、部署をまたいで効果を発揮することがあります。

その上で、KPIを考えるポイントは

  1. 単一部署で設定せず、事業全体においてのコミュニティの役割から数値にできる項目と数字にできない項目を設定すること
  2. デジタルマーケティングの施策ほど数字にできる項目が少ないため、顧客の声を基に自分たちの状態を把握すること
  3. 短期間でPDCAする意識ではなく、中長期でどのようなコミュニティになっていたいかの姿を定義すること

の3つをベースに考えてみてください。単純な数字や論理ではなく、顧客と接した中で得た情報をどのように扱うかが重要です。「人」が関わる仕事は読めない部分があるため、KPIで設定した数値にズレはつきものであるのが前提にあります。その時に、コミュニティの動きは読みにくいからやめるのか、そのズレを許容した上でコミュニティを続けてみるかは重要な分岐点になります。

読めないからこそ競合他社も同じように悩んでいる可能性は高いです。競合他社と並んで頭を抱えるのか。成功する可能性を模索してチャレンジするのか。会社の壁の本質は、費用対効果やKPIの設定ではなく、コミュニティに本気で関わるかの「覚悟」を持てるかと言えます。

③顧客との接し方〜コミュニティと接する際の意識は?〜

最後は、「顧客との接し方をどのように行えば良いのか?」という顧客の壁です。

前提として、コミュニティに参加したメンバーに対して、企業側は「何かを与えなきゃ!」「おもてなしをしなきゃ!」と必死になる必要はないということです。自分たちのブランドやサービスのどの点が顧客に喜んでもらっているのか?何に期待をしてくれているのか?など、メンバーのインサイトに耳を傾けてみる意識が大切です。

その時に大切なスタンスは3つの「きく」です。

メンバーのインサイトを知るのであれば、「教える」スタンスではなく、あくまで「きく」姿勢が重要です。高校の部活動で例えるなら、野球部の監督というより、サッカー部のマネージャーのようなちょっとした気配りや気遣いができる存在になることです。

コミュニティの主体はコミュニティメンバーです。コミュニティメンバーが居心地の良い時間や空間にするために、時には企業側からお題を出して場を盛り上げることで、自然とありたいコミュニティの姿になっていきます。

コミュニティの仕事は一人で担当している方もいらっしゃると聞きます。社内において一人で仕事をしていると悩むことも多いと思いますが、そんな時こそコミュニティメンバーである顧客と話をすることが遠回りなようで近道になります。顧客の壁の本質は、顧客との接し方ではなく、コミュニティ担当者の「素直さ」である心の壁と言えます。

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