コミュニティマーケティングをはじめる3つの心構え

コミュニティマーケティングを実施している企業、または実施を検討している企業の共通の悩みが「どうやってコミュニティを運営したらいいんだろう」ということではないでしょうか。

弊社(株式会社アマナ)では、コミュニティマネジャーのためのコミュニティを運営していますが、そこに集うコミュニティマネジャーの方は、多種多様な業種におけるコミュニティを運営されています。

その方たちと話をする中で見えてきたことは、コミュニティの形成や活性化に関するノウハウやTIPSももちろん重要ですが、その一方で大事なのことは「心構え」である、ということでした。

今回は、弊社が運営する「コミュニティマネジャーのためのコミュニティ」の集いから、実際にコミュニティを運営している方々に聞いた、コミュニティマーケティングをはじめるにあたっての意識や心構えを、3つのステップ・9つのポイントで整理しましたのでご紹介します。

準備(目的→役割→顧客理解)    

やることは手段。目的に立ち返る。

コミュニティを運営し始める前に、そもそもの「目的」に立ち返ることです。

例えば、ビジネスシーンにおいて営業がお客様と商談する際に、目的を説明しないとどうなるか。何を伝えたらいいか?お客様からの何の課題を解決するのか?もわからず、商談が前に進みませんよね。

「何を達成したくて、何を解決したくてコミュニティが必要なのか?」はじめから数字にこだわる必要はないので、「こんな風にしたい」という目的を設定することが大切です。

鳥の目、虫の目、魚の目

目的を決めたら、次は「役割」です。

顧客に自社のブランドを選んでいただくためのマーケティング手法は、TVCMやWEB広告、DMやイベントなど様々あります。その中で、「コミュニティがどのような役割を果たすのか?」を決めておくと、社内の他部署との連携にも役立ちます。

例えば、商品開発部にコミュニティ内で得た顧客の声をフィードバックする、TVCMを放映する前にコミュニティメンバーに意見をもらうことができます。

会社全体の施策の中で、自社のコミュニティの位置付けを鳥の目で、コミュニティそのものの機能や価値を虫の目で、社会や経済の流れからどのようなコミュニティ施策を企画するかを魚の目でみる意識すると役割が明確になります。

文脈の理解こそ顧客の理解につながる

役割を決めたら、次は「顧客の理解」です。

コミュニティの目的や役割は会社側の視点ですが、一方で、このコミュニティに自分は参加したいと思う顧客側の視点を考えることが大切です。

顧客はブランドのどこが好きなのでしょうか?どのようなシーンで、どのような気分やテンションの時に利用してもらっているのでしょうか?友人や知人にどのように勧めているのでしょうか?

これらはブランドの「価格」「機能」「スペック」などでは定義が難しいです。顧客がブランドを利用しているシーンや心理を読み解くこと、なぜそのブランドを使っているのか?という文脈を理解することが顧客を本質的に理解することにつながるのです。

実行(社内の理解→スモールスタート)

社内をマーケティングする

コミュニティマーケティングに関するセミナーを開催すると、「コミュニティはやりたいけれど、社内の理解が得られない」という参加者からの声が必ずあります。正直に申し上げると、身近にいる社内メンバーを説得できないのに、コミュニティの実施は難しいです。

そのような時は、「相手と同じ角度で話すこと」がポイントです。例えば、コミュニティイベントを実施するリスクについて指摘を受ける場合は、イベントをやらない場合のリスクを提示することで同じ土俵で議論ができます。

やるリスクがあるなら、やらないリスクもある。相手がリスクの話をしていて、こちらがチャンスの話をいくらしても、暖簾に腕押しになってしまいます。

一人でやるより仲間でやる意識

企業活動は、基本的にスピードが重要なのは言うまでもありません。一方で、コミュニティの運営の知見やノウハウを会社の資産にしていく場合は、みんなで運営するという意識が必要です。一人の力やアイデアには限界がありますよね。

「If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together. 」(早く行きたければ、ひとりで行け。遠くまで行きたければ、みんなで行け。)というアフリカのことわざにもあるように、時にはコミュニティのメンバーに任せる・頼るなど、フラットな関係性であり続けることが、コミュニティマーケティングを継続して成長させるのです。

労力に見合わないこともある

コンテンツを制作している方はわかると思いますが、例えば、記事を1本(3,000字)書くのに3日かかったとします。次に2本目の記事を書く場合、今度は2日で書けるようになったりするなど、人は経験と共に成長しますよね。

コミュニティも同じように、最初は慣れないことが多く、労力の割に成果が少ないと思われますが、実はその経験こそ重要なのです。やればやるほど知見やノウハウは蓄積されていくので、継続することで立派な競争優位性になるのです。

「このクオリティで発信するのは・・・」という場合は、まずは社内メンバーに発信し、反応を得ると良いです。最初から求めすぎず、経験を蓄積していくことがコミュニティを実施する時に持っておきたい姿勢です

集中(強みと弱み) 

強みでしか強くなれない

コミュニティを運営しているとよくあるのが、すべての顧客の声に応えなくてはいけないということです。

結論から言うと「No」です。すべての顧客の声に応えることが決して正しいとは限りません。

ブランドには必ず「ビジョン」や「パーパス」などあるべき姿や世界観があります。そこからブランドにしかない強みが生まれてきます。その強みを最大限に表現する、顧客に価値提供することが大切です。顧客もそのブランドの世界観に共感しているのです。

コミュニティへの参加も同じで、ブランドの世界観に惹かれて参加者が集まります。参加者の声を参考にしてブランドをより好きになってもらうアプローチは必要ですが、参加者の声に流されて、ブランドが提供する価値が下がってしまうような事態は避けなくてはいけないのです。

まずやらなければ、やらないことは決められない

いきなりやらないことを決めるのは、やってもいない場合には非常に難しいです。やってみてよかったこと、よくなかったことはまずやってみるからわかってくるのです。

「最も重要な決定とは、何をするかではなく、何をしないかを決めることだ」というスティーブ・ジョブズの名言がありますが、忘れてはいけないのは、ジョブズは様々な挑戦をしてきた結果として、やらないことを見出したのです。

「失敗したくない」という気持ちは仕事をしている上では誰にでもありますが、失敗という枠にいる状態ではいつまでも枠を超えることはできません。失敗することで基準となる枠ができ、枠を超える判断ができるのです。挑戦した上での失敗から学べる姿勢がこの変化の激しい時代には大切なのです。

「あなたと“誰か”」は立派なコミュニティである

何十人、何百人と顧客がいる場をつくることがコミュニティというイメージもありますが、会社組織も立派なコミュニティです。その場では、仕事の相談をしたり、休日にしたことを雑談したり、メンバーでランチに行ったりしますよね。仕事で悩んだ時には、同僚や上司に相談したりすることもありますよね。

悩んだ時こそ信頼できる人に相談することです。コミュニティはそういう場であり、課題や悩みを解決することにもつながるのです。

コミュニティマーケティングの実施や運営の際も同じです。まだまだ実践経験が豊富な会社も少ないし、相談すべき相手も限られている場合もあると思います。

弊社は、コミュニティについてのセミナーやコミュニティマネージャー同士の交流会を開催しておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。

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