イベント新時代、オンラインで体験価値を高める配信サービス活用法

カンファレンスやセミナーなど、イベントコミュニケーションはコロナ禍でそのほとんどがオンラインベースになっています。いかに“伝わる”コミュニケーションを構築し、顧客をエンゲージさせながら企業のプレゼンスを高めていけるか。ポイントは、「リアルを再現する」と考えるのではなく、オンラインやバーチャルだからこそ広がる表現の幅を活かすことにあります。

イベント新時代に必要なマインドセット

今年6月にオンラインで開催された、アップルの年次イベント「WWDC(世界開発者会議)」。冒頭から引き込まれるような映像や、バーチャル背景のクリエイティビティを存分に活かしたプレゼンテーションなど、オンラインであるメリットを踏まえた巧みな演出が注目を集めました。

 

「WWDC 2020 Special Event Keynote — Apple」(Apple 公式YouTubeチャンネルより)

コロナ禍を経て、さまざまな状況変化の中を生き抜く術が求められる今。不確実性の高いフェーズにおいて、小手先のノウハウやトレンドテーマは瞬く間に陳腐化していきます。プレゼンスを高めるためには、その企業やブランドが持つ世界観や思想を多角的に表現し、そこに人々を引き付けていくことでエンゲージメントを高めることが重要になってくるでしょう。

スピーカーの言動を通していかにその企業やブランドの世界観を伝えられるか、そしてそこにいかなるインタラクションを生めるかが勝負。

非言語要素も含めて、参加者の視覚や聴覚にあらゆる角度からアプローチすることで、デジタルデータを通して伝わる情報量はいかようにも広げていくことができます

リアルよりも深く、伝わるライブ体験を

ポイントは、ロジカルに理解させる左脳的なアプローチだけでなく、感性に訴えかける右脳的なアプローチを有効に使うこと

そのひとつのショーケースとして、アマナが今年6月に制作・実施したのが、マツダ株式会社の創立100周年特別記念車を発表するプレスカンファレンスです。

 

100周年という節目に感謝を伝えるとともに、マツダがこれまで歩んできた歴史の系譜の中で、100周年特別記念車をお披露目し、いま改めてマツダのアイデンティティを表現する機会。当初、都内会場での実施が予定されていましたが、コロナ禍の影響によりオンライン配信に変更になりました。

スピーカーは、マツダのデザインを率いる前田育男さん(同社常務執行役員デザイン・ブランドスタイル担当)。前田さんご自身の言葉で、今回のデザインに込めた想いを語るプレゼンテーションを、アマナの次世代型バーチャル・ライブ・ビジュアルソリューション「deepLIVE」で制作。バーチャル空間に、実写のプレゼンテーション映像を組み合わせます。

バーチャル空間上に、いかにマツダらしさを表現できるか。前田さんとの討議の中で、マツダの次世代デザインを象徴する「引き算の美学」、すなわち余白の中に見出す美しさや繊細な光の表現にヒントを得て、その世界観を踏襲した空間づくりをすることに。

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実在する空間のように見えながらも、ロケでは実現しがたい贅沢な空間使いや柔らかな光の差し込み、壁の質感の作りこみなど、バーチャルだからこそできる演出を随所に盛り込んでいます。

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バーチャル空間構成にあたっての検討資料と、実際の撮影の様子。まずはラフなCGで空間イメージを作りながら(左右上)、プレゼンテーションの展開やスピーカーの動きにあわせてシーンごとのアングルとカメラワークを検討(左下)。グリーンバックのスタジオには、4Kカメラを含む計5台のカメラを設置して撮影を実施(右下)。

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場面に応じて、背景に動画やCGをリアルタイムに合成。前田さんの背景にあるのは、今回発表された「100周年特別記念車 ロードスター」(右)と、そのモチーフとなった「R360クーペ」(左)。

バーチャルだからこそ広がる表現の可能性を追求することで、リアルよりも参加者を引き込むイベントの作りこみはいかようにも工夫していくことができ、よりリッチな表現を実現していくことができます

今回の制作を終え、前田さんからは以下のようなコメントを寄せていただきました。

完成した画像を見て、まずその自然な印象に驚いた。

バーチャル・ライブという手法においては、「伝える」ことを目的としたコンテンツの自由度、リアルでは表現できない世界観、またプレゼンテーターと伝えたい画像を同じ空間に同時に描ける手法など、色々な創造の拡がりを期待出来るし、その将来性を強く感じた。

背景をバーチャル、話し手はリアルという組み合わせは、スピードが求められる現代において適切なアプローチだと感じた。

実際、制作現場では、とてもクリエイティブな時間を過ごすことが出来たことも印象的だった。

 


deepLIVE」は、顧客体験の中でオンラインイベントをフルに機能させるためのUX設計から、さまざまなビジュアルソリューションを活かしたディテールの作り込みまで、トータルにサポートしています。

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イベントコミュニケーションを機能させるために

日々たくさんのウェビナーやカンファレンスが開かれ、配信ソリューションも多様化してきている今。オンラインでの体験価値やプレゼンスを高めるには、リアル、バーチャルそれぞれの強みや表現幅を活かしながら、より豊かなコミュニケーションを考えていく必要があります。

イベントをどのように機能させるか。まずはそのファンクションポイントを明確にしたうえで、そこで目指すコミュニケーションにあわせて、より深く、そしてシャープに伝わる方法を追求していきましょう。

文・編集:高橋 沙織(amana)

※次世代型バーチャル・ライブ・ビジュアルソリューション「deepLIVE」についてはこちら

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