どんな企業が向いてる? コミュニケーションを活発にする社内Webメディア

社内コミュニケーションを活性化し、企業の組織力を上げるインナーブランディングの手法のひとつとして注目を集めているのが、社内Webメディア(Web社内報)を使ったコミュニケーション。その狙いや効果について、株式会社アマナで社内Webメディアに携わるプロデューサーの乗松裕介に話を聞きました。

企業にとって社内Webメディアの役割とは?

——ここ数年、紙の社内報に代わり、社内Webメディアを導入する企業が増えているそうですが、社内Webメディアはどのような目的で取り入れられているのでしょうか?

乗松裕介(以下、乗松。敬称略):社内の情報を共有するツールというと、まだまだ紙の社内報が多いです。ただ最近では、社内の活性化が目的だったり、会社の理念や方針を現場にリアルに伝えたいという理由で導入を検討する企業が増えてきていますその主な目的は、社員間のコミュニケーションのため、営業スキルや技術的なナレッジを共有し、売り上げや生産性アップのためなど、企業によってさまざまです。

特に、部署を超えて横断的に業務をする際、初めて会う社員の人となりや、スキル、やってきた仕事などを、社内Webメディアの記事で事前に知ることで、社員同士のコミュニケーションがスムーズになります。つまり、“社員を知る”ためのプラットフォームとして社内Webメディアを活用することができるのです。

——部門を越えて”社員を知る”ことが求められているのは、どのような背景があるのでしょうか。

乗松:以前は、1つの部門や部署で仕事が完結できていました。でも現在はビジネスにスピードや多様性が求められていて、部署を超えてシームレスに業務を進めなくては企業としても成果に繋がらないという状況があります

また、もう少し広い視点で見ると、企業同士が提携して新しいビジネスを作る“共創”が注目されていますが、他社と“共創”するには、まず自社の社員同士のコミュニケーションが円滑であることが重要です。そこで社員を繋げるハブとして社内Webメディアを活用するという背景もあります。

——なるほど。では、そのような情報共有やコミュニケーションをWebメディアでやるメリットはなんでしょうか。

乗松:社内Webメディアは、情報がすぐに出せる“即時性”、記事を通してやりとりができる“相互性”、離れていても同じレベルで全社員に情報を届けられる“平等性”という3つのよさがあります。
これらがベースにあって、社員同士のナレッジ共有やコミュニケーションはもちろん、経営側から理念や方針をいつでも社員に伝えられるメリットがあります。記事として発信するので堅苦しくなく、社員も気軽にメッセージを受け取れるのもいいですよね。

どんな課題をもつ企業が導入するべき?

——では、社内Webメディアはどのような企業に適していますか?

乗松社員数でいうと、200人から数千人程度の企業が適していると思います。この規模になると一人ひとり、対面しながらのコミュニケーションをとるのが難しくなりますし、誰がどんなスキルや経験があるかなど共有するのは困難になります。

——もう少し小さな規模の企業ではどうでしょうか?

乗松社員数が少ない企業では、コミュニケーションが取りにくいという状況が生まれにくいので、導入する必要はないと思います。ですが、社員数が少なくても、経営陣のメッセージが社員に伝わらないとか、もっと社員の団結力を高めたいといった課題や目的があれば、社内Webメディアを導入することで効果は得られる思います。

具体的にイメージしやすいように、下記に社内Webメディアの効果が発揮されやすいパターンをご紹介しますので、それを踏まえて検討してみるのもいいかもしれません。

【物理的にコミュニケーションが取りにくい】

Web社内報の図解

物理的に離れている場合、その距離を埋めてくれるのが社内Webメディア。タイムラグなく情報共有ができ、見逃しても検索して確認もできるメリットも。

乗松:会社は組織上、物理的にコミュニケーションがとりにくい場合があります。
例をあげると、本社と製造工場や店舗と拠点が分かれていたり、部署ごとでフロアが分かれている場合です。
このような状況は、多くの業界・企業に当てはまるのではないでしょうか。

物理的な距離は、社員同士のコミュニケーションの機会を減らし、意見のすれ違いや意識を揃えることが難しいといった課題に繋がることも。そういった物理的距離を社内Webメディアを活用することで埋められる可能性があります

ただ、そのためには、社員の興味を引く記事の切り口が重要です。たとえば、「製造工場で働く人の1日」や「社員おすすめの店紹介」、「○○さんのここがすごい」など人にフォーカスした記事にすることで、部門はもちろん、プロパー社員、中途社員、非正社員といった枠組みを超えて、仲間意識を育てるきっかけになります。

 

【縦の関係を近くしたい】

会社の理念や方針は、なかなか社員にしっかりと伝えるのは難しい。いつでもアクセスできて、難しく感じることを、楽しく読んでもらうようにするだけで、社員への浸透度も深まっていく。

乗松:大きな会社になると、社長を含めた経営陣の“思い”を全社員に伝えるタイミングは、上期・下期といった大きな区切りや、朝礼などに限られます。それに、話した内容を社員が全てを完璧に覚えておくのは難しいですよね。
でも、
経営層の考えや方針を社内Webメディアで定期的に発信すれば、いつでもアクセスでき、何度も読み返せるので、浸透しやすくなります

見せ方も、社長の写真を入れながら対談形式の記事にしたり、強調したい点をビジュアル化したり、動画を使うなど伝え方の手法も工夫すれば、より社員に伝わるメッセージになります。

 

【企業の節目で結束したい】

周年事業や社内プロジェクトがスタートするタイミングで、社内Webメディアを導入すると、社員の意識がアップしていく。

乗松:企業には必ず“周年”という節目があります。一般的にも周年でインナーブランディングを考える企業も多いのです。

企業の節目は、社員の意識が高まるタイミング。ただ、周年事業やイベントを担当している社員は、その意味や意義を理解していますが、関わらない一般社員は、その詳細をしっかりと理解しないまま、イベント当日を迎えるということも少なくありません。せっかく社内で一体感を生むチャンスなのに、その機会を逸してしまうのはもったいないですよね。
そこで、社内Webメディアを周年事業が動くタイミングで導入し、活動報告や目的を伝え、アイデアを求めるなどすることで社員を巻き込むことができます。

同様に新しく社内プロジェクトが発足する時にもおすすめです。
新しいプロジェクトはどんなものか社員への認知・浸透に活用できるのはもちろんですが、うまくいったこと、課題などを細かく記事にすることで、仮にメンバーが途中で入れ替わっても、これまでのプロジェクトの経緯を記事を読むことで知ることができ、引き継ぎ資料として活用することもできます。

社内のコミュニケーションは、社員数が多くなればなるほど取りにくくなります。ただ、難しいと諦めるのではなく、社内Webメディアで解決できる課題も多くあるのです。

まとめ

社内のコミュニケーションを円滑にするだけでなく、仕事の認識のズレを解消したり、情報共有によってスピーディーな業務を実現したり。社内Webメディアは、単なる社内報のデジタル版ではなく、企業が抱えるさまざまな課題を解決する手法のひとつでもあります。社内はもちろん、社外ともシームレスなつながりが求められる今、社内Webメディアが担う役割はこれからますます大きくなっていくはずです。

取材・文/小川尚子 イラスト/諸橋南帆(amana)
デザイン/下出聖子(amana design studios)

 

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amana XBOARD(アマナクロスボード)は、インナーコミュニケーションを促進する社内報・ナレッジ共有のWebサービスです。人を軸にしたコンテンツ作りで従業員エンゲージメントを深めナレッジを適切にカテゴライズすることで見つけやすいコンテンツ配信が可能です。

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