ブランドのファン獲得の手段として欠かせないInstagram。アカウントを作るだけでは、知名度やファンが増えるわけではありません。ファンを増やし、購買に繋げるためには、こちらからアクションを起こす必要があります。
今回はファンと一緒にInstagramを盛り上げるUGC(ユーザー投稿コンテンツ)の醍醐味とコツを事例を交えて紹介します。
Instagramを活用してブランドのファン獲得、購買促進を目指すなら、ファンを巻き込んだプロモーションを展開していきましょう。そこで重要なのがUGC(ユーザー投稿コンテンツ)。UGCは一般ユーザーが投稿するものなので、商品のリアルな使用感や魅力が伝わりやすく、見ている人に親近感を感じてもらえるというメリットがあります。
UGCを使ったプロモーションをする際に知っておきたいのが、「ULSSAS」(ウルサス)です。
これはSNS時代における行動購買プロセスのことで、ULSSASの頭文字はそれぞれ、UGC(ユーザー投稿コンテンツ)、Like(いいね)、Search1(SNS検索)、Search2(Googleなどの検索エンジンでの検索)、Action(購買)、Spread(拡散)を指しています。
この好循環を作るためには、最初のきっかけとなるUGCを作れるかどうかがポイント。しかし、UGCなら何でもいいというわけではありません。好循環を生み出すためには、質が高いことはもちろん、思わず写真に撮りたくなるような商品設計や、企業側から発信する魅力的なクリエイティブの制作、参加したくなるキャンペーンの実施など、企業側のさまざまな努力が必要です。
UGC連動キャンペーンは、専用のオリジナルハッシュタグを用意し、ユーザーにそのハッシュタグを付けてInstagramに投稿をしてもらうというもの。企業のアカウントで投稿を紹介したり、投稿数を増やすためにプレゼントを用意するケースも多くあります。
しかし、闇雲にキャンペーンを行うだけでは、思ったようにユーザーに参加してもらえず、失敗する可能性も大きくなってしまいます。多くの人に参加してもらうには、ユーザーがマネしたくなるようなオリジナルハッシュタグの開発や、投稿する写真の見本を用意できるかどうかが鍵です。
ハッシュタグを作るときのポイントは、親しみやすさとマネしやすさ。ユーザーからの共感を得ようとするとき、いわゆるコマーシャルのようなガチガチに作り込んだ投稿は好まれません。ユーザーの生活の延長で楽しめるような、ビジュアルとハッシュタグを考案しましょう。
「#朝活」「#タピ活」のように行動に紐づくものや、「#壁部」「#セルフネイル部」などコミュニティ感のあるものは、マネしやすく、投稿されやすい傾向があります。一方、「#〇〇好きと繋がりたい」などは、使いやすい印象を受けるかもしれませんが、敬遠される可能性も。ターゲット層の性質を理解し、どのようなハッシュタグが好まれたり、嫌われたりするのか、入念にリサーチしましょう。
また、写真の見本は、ユーザーにキャンペーンのイメージを定着させるための重要な要素。見本がなかったり、曖昧なものだと、ユーザーがどんな写真を撮ったらいいのかわからず、ブランドが想定した写真が投稿されない場合があります。ハッシュタグ同様“マネしやすさ”を意識しながら、テーマとルールをしっかりと設定して、見本を提示することが大切です。ただし、必ずしも型にはまった投稿だけがいいわけではありません。予想を超えた発想をしてくれるユーザーは、大いに歓迎しましょう!
InstagramでのUGC活用方法の二つ目が、ユーザーが“写真を撮り、投稿したくなる理由”を作ること。これは、店舗などリアルな“場”がある場合におすすめの方法です。
写真を撮るのを目的に出かけるのは珍しいことではなく、インスタ映えする壁や食べ物を目当てにカフェへ行ったり、日本各地を期間限定で巡回する「VINYL MUSEUM」や、ニューヨークの「Dream Machine」のように、フォトスポットを提供する場も多くあります。
しかし、今は単なる“インスタ映え”スポットはたくさんあるため、差別化のポイントは、つい投稿したくなる体験を設計できるかどうか。写真に撮りたくなる空間設計はもちろん、サービスや商品のクオリティを高めることで、つい投稿したくなる体験を提供することができるのではないでしょうか。
【ここがポイント!】
ハーゲンダッツでは、オリジナルハッシュタグ「#クリスピーマニア」を付けて、クリスピーサンドの写真をInstagramやTwitterに投稿してもらい、毎日1名にクリスピーサンド20個をプレゼントするキャンペーンを実施。キャンペーン動画では、“クリスピーアイスへの愛を表現する”というテーマと、投稿の見本を提示しており、ユーザーが真似しやすい工夫がされています。
また、投稿されたUGCを公式アカウントで紹介するなど、ユーザーのモチベーションアップにつながる工夫もされていて、積極的にファンとのコミュニケーションが行われています。
◆HOTEL SHE, OSAKA/HOTEL SHE, KYOTO
「HOTEL SHE,」は、L&Gグローバルサービスが運営するホテルブランド。大阪と京都にホテルを構えています。「HOTEL SHE,」のアカウントは、世界観の作り込みもさることながら、特筆すべきはUGCが多く投稿されていること。日本のみならず、海外からの旅行客も、「HOTEL SHE,」のアカウントをタグ付けしたり、スポットを設定したりして、ホテルで撮影した写真を投稿しています。
UGCを見たユーザーが新たな顧客となり、その顧客が新たにUGCを投稿する「ULSASS」の流れが完成されているのは、写真を撮りたくなる空間設計のみならず、接客や食事などのサービス、期間限定のイベントなど、UGCが生み出されるような体験をトータルでプロデュースしているからではないでしょうか。
【ここがポイント!】
世界中の宿泊施設や民泊を提供するAirbnbのアカウントは、ほぼすべての投稿が宿のホストの投稿で構成されています。より多くの人に宿泊してもらうためにホストが力を入れるのは、素敵な空間を用意することだけでなく、クオリティの高い写真を撮影して掲載すること。
Airbnbをタグ付けしてポストされたホストの投稿は、UGCであっても自ずと魅力的なビジュアルが集まります。ホストからすると、Airbnbのアカウントで紹介されるのは、認知度を上げるまたとないチャンス。Airbnbとホスト特有の関係があるからこそ成立しているアカウントです。
UGCを活用するなら、“マネのしやすさ”を意識して、思わず参加したくなるキャンペーンを打ち立てたり、わざわざ行きたくなる、体験したくなる目的を作ることが大切。話題となるUGCを生み出して、ファンと一緒に盛り上げていきましょう。