企業のInstagramを運用する中で、「もしかしたら投稿があまり見られていないかも……」と思ったことはありませんか? ユーザーに見られる投稿を作るためには、プラットフォームの特性を理解しておく必要があります。今回は、“見られる”アカウントにするためにあらかじめ理解しておきたい、Instagram特有のアルゴリズムについて解説します。
Instagramのアルゴリズムは不明な部分も多いですが、公式に発表されているものもいくつかあります。その1つが、タイムラインは投稿の時系列順ではなくユーザーの関心度の高いものが先に表示されるということ。以前は時系列順表示だったものが、2016年のアップデートで変更されました。ユーザーが日頃からよく見ているアカウントや、コメントやいいね!をしたりするアカウントから先に表示されるのです。
そのため、思わず見たくなる、コメントやいいね!をしたくなる魅力的な投稿にしないと、たとえフォローされていたとしても、ユーザーのタイムライン上で表示順が下がり、見られる可能性が低くなってしまいます。自発的にチェックしたくなるInstagramアカウントにするためには、次の3つの要素をバランスよく持たせることが大切です。
◆コミュニティとしての機能
コメント欄でユーザーとやりとりしたり、アカウントオリジナルのハッシュタグを作ったりと、ターゲット層がコミュニティに所属していることを感じられるようにします。コメントへの返信は、トーン&ボイス(キャラクター設定)も重要です。フレンドリーな口調にするのか、上品な印象にするのかなど、企業やブランドのブランディングに合わせて、一貫させるようにしましょう。
◆メディアとしての機能
雑誌のように、時代性や季節を感じさせる内容を挟みながら、今この瞬間に知っておきたい情報が日々投稿されているようにします。
◆ブランド・商品の魅力を伝える機能
ターゲット層が好むテイストをふまえながら、ブランドや商品の魅力を発信しましょう。ただし、Instagramでは宣伝色が前面に押し出されている投稿は嫌われる場合が多いので、そのブランドらしさを反映させながらも、宣伝っぽくならないように注意が必要です。
【時系列順に表示されないから、何時に投稿してもいいの?】
ユーザーのタイムライン上に時系列順に表示されないからといって、何時に投稿しても同じというわけではありません。Instagramの投稿のゴールデンタイムは朝と夜、週末とされていますが、ユーザーから興味を示してもらっている状態であればリアルタイムに表示されるので、ゴールデンタイムに投稿することも大切です。
2019年9月末から、投稿した側以外にはいいね!の数が表示されないようになりました。導入検討の理由は、2018年頃からいいね!は購買アクションにはほとんど関係しないと指摘され始め、むしろいいね!数を気にして投稿を控えたり、負担になってしまう心理が働くことが考えられます。
実際、効果的な運営ができているかをチェックするために見るべきなのはいいね!だけではありません。エンゲージメント数(※)を意識しましょう。いいね!だけでなく保存やコメント数も重要です。
では、保存されたりシェアされたりする投稿とはどのようなものなのでしょうか?
ある食品メーカーのアカウントでは、商品の紹介やモデルを起用した雰囲気のある写真よりも、料理のレシピやエクササイズのHOWTOなど、生活の中で役に立つ知識を伝える投稿が保存されやすい傾向にありました。ユーザーの暮らしに活用できる内容を考えることも効果的です。
※…ユーザーとのつながりや反応を示す数値。エンゲージメント率を算出する場合は、いいね!数、コメント数、保存数を足したものをフォロワー数で割る。
Instagramでは、1投稿で複数枚の写真や動画をアップすることができますね。タイムラインを見ていると、2枚目が表示されている投稿に気づいたことはありませんか?
このアルゴリズムについての公式なコメントは出ていませんが、タイムライン上に複数枚の投稿が表示され、一度スルーされると、次にユーザーがタイムラインを見たときに2枚目が表示されるようになっているのではないでしょうか。ただし、今の所3枚目以降が最初に表示されることはありません。
複数枚投稿をすると、見られる可能性と滞留時間を上げられるので、ぜひ活用したい方法です。1枚目と2枚目は構図と被写体を変え、わかりやすく変化をつけたうえで作り込むといいでしょう。
テキサス州オースティンで毎年3月に行われる世界最大のクリエイティブ・ビジネス・フェスティバル「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」。2019年は、Instagram創業者のケヴィン・シストロムとマイク・クリーガーがキーノートスピーチを行いました。その中で「なぜInstagramがここまで成長したのか?」という質問がありました。
それに対して彼らは、「時代に即してアルゴリズムを変化させてきたからこそ、Instagramはここまで成長した」と答えています。つまりInstagramのアルゴリズムは決して一定ではなく、変化していくもの。その変化を見逃さないためには、自分で毎日Instagramを使うことが重要です。
Instagramは、ユーザーのことを考えて、アルゴリズムだけではなくインターフェース(UI)も日々変化しています。毎日触れる中でその変化を感じ取り、効果的な投稿を考えて実践してみましょう。
効果的なアカウントにするためには、ターゲット層が自発的に見たくなる投稿をすることが重要です。それを具体的にイメージするためにも、毎日Instagramを使って、人気のアカウントや投稿を見てみましょう。毎日触っていると新たなアルゴリズムやインターフェイスの変化に気づき、対応する術を見いだすこともできます。
テキスト:吉永美代
トップ画像・作図:メルクマール
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