フォトグラファーとCG・ムービーの合同展「LEAP2019 out into the field」が2019年4月20日(土)~25日(木)まで天王洲アイルで開催。そこで、見どころを「フォトグラファー編」「CG・ムービー編」の2回に分けて紹介します。クリエイティブな感性を刺激する、若いエネルギーあふれる作品との出会いを期待して!
若手クリエイターたちの作品が並ぶ展覧会「LEAP2019 out into the field」が4月20日からスタート。厳しい審査を経て「アマナ専属のクリエイター」として新たに認められたフォトグラファーやCGクリエイターたちのフレッシュな作品をご紹介します。今回の記事ではフォトグラファーにフィーチャー。フォトグラファー、レタッチャー、CGクリエイターなど専門性の高いクリエイターが多く所属する「amana visual」のプロモーションを担当するMarketing Producerの武野綾香に展示に込められた思いや写真作品の楽しみ方を聞きました。
――展示「LEAP2019 out into the field」のタイトルに込められた意味は何ですか?
武野綾香(以下、武野):LEAPは“跳躍”という意味。今回の展示の根本でもあるのですが、リアルな競争の場、厳しいfieldの中に飛び込んだ若手クリエイターたちがこれから、自分の才能を信じて羽ばたいてほしいという願いを込めています 。実は、この展示タイトルですが映画『インセプション』の中にある、“leap of faith”というセリフからヒントを得ています。跳躍という、力強く、背中をプッシュするようなポジティブな意味を込めて決定しました。
――アマナでは、次世代のクリエイターをピックアップした作品の展示は初めての試みだと聞きました。
武野:そうなんです。アマナにはインハウスクリエイターがおよそ150名在籍しており、クライアントの期待に応えるため、さまざまな制作業務に従事しています。こういったクライアントワークは、チームで制作していくため、自分1人の作品として世の中に発信することはほとんどありません 。そのためこの展示は、個人の作品を通し、彼らのクリエイティブな一面を見ていただける貴重な機会 。若手フォトグラファー7名と、レタッチャーやCGディレクターなど4名が出展しますが、それぞれの作者の背景や思いに触れながら、豊かな感性を楽しんでいただけると思います。
――さまざまな分野のクリエイターの作品が見られるということですが、ここではフォトグラファーの展示について伺いたいと思います。いろいろな個性のフォトグラファーがいますが、見どころはどんなところですか。
武野:写真作品の中で、特に注目してもらいたいのが、異素材を使った展示 です。たとえば上村可織は、自身が撮影した写真をコラージュし、さらにそれを複写することで絵画的なアプローチの“写真”を表現。彼女ならではの世界観を作り上げました。その作品は、オリジナルの蛍光アクリル板のフレームに入れることで、
猪飼ひよりは、3年という時間をかけて取材し、撮りためてきた日本の農家の風景写真を作品にしました。木製パネルでシンプルに展示することで、光や農家の日常、温かな人の気配をとらえた穏やかな雰囲気が伝わってきます。
また少しユニークなのは、黒滝千里の作品です。黒滝は、幼少期から長年バレエを続けており、彼女にとってパーソナルな部分の“バレエ”が作品のテーマになっています。バレエ教室に2年間密着しながら切り取った少女の肖像を、舞台の垂れ幕のイメージで大判の布に出力 することで、鑑賞者にとって少女が等身大の存在に感じられるようこだわりました。
――見る側もいろいろな発見がありそうですね。なぜそのような展示が叶ったのですか?
武野:実は今回の展示にあたりフォトグラファーたちは、プリント技術に定評のあるFLAT LABOと作品の見せ方についてディスカッションを重ね、作品の選定や展示方法を詰めていきました 。写真作品は、出力・額装素材やサイズなどによって印象ががらりと変わるので、組み合わせを探る過程にも力を注いでいます。先ほど紹介した3名の作品だけではなく、ほかのフォトグラファーたちもそれぞれに個性を発揮しています。
――おもしろそうですね。フォトグラファーたちがどのように表現したかを見るのが楽しみです。
武野:はい。クリエイターを目指す学生の方々や新しい才能を探している企業の方々にお越しいただけたらと思います。展示方法にも趣向を凝らしているので、十分に楽しめる内容になっています。天王洲アイルにお散歩がてら気軽に、個性豊かなクリエイターのみずみずしい感性を感じにいらしてください 。
◼️展示監修をしたFLAT LABOにも聞きました◼️
フォトグラファーのみなさんとは1人1人と直接会って、作品についてじっくりと話し、より作品の魅力が伝わる工夫がされた展示となるよう監修しています。広告の仕事で撮影をすることはあっても、何を展示するかを一から考え、外へ発信するのが初めてという方も多く、自分自身と向き合うきっかけにもなったと思います。それぞれの世界観を踏まえ、出力・額装素材選びや、展示点数などもアドバイスして作り上げているので、実際に見ていただいて、個性を感じていただければと思います。(FLAT LABOの小須田翔)
取材・文/高橋瑞穂(六識)
『LEAP2019out into the field』