今や個人から大企業まで、自らを世界へ発信するために欠かせなくなったSNSの1つ、Instagram。企業の商品PRに使われたり、“インスタ映え”する被写体を撮影・シェアされることも多いですが、自身が持つ哲学をも表現できるのがビジュアルの力。Instagramは、自分と似た思想を持つ人や、自分にはない価値観を持つ人とつながれるツールでもあります。
この連載では、広告業界の第一線で活躍するアマナのフォトグラファーが普段どのようなビジュアルにインスピレーションを受けているのか、おすすめのInstagramアカウントを通してご紹介。第1弾はアマナ所属の秦和真がお届けします。
ペッレ・キャスさんは、ブルックリン在住の写真家。彼の作品を見たとき、まず感じるのは写真から溢るるばかりの質量ではないでしょうか。そして次に違和感が襲います。どうやって撮影しているんだ……?
このトリッキーな作品、定点撮影した膨大なポートレイトを重ねて作っているのです。写真を撮る立場からすると、あまりにも細かい作業に気が遠くなります。これだけ作り込んでいるのは本当にすごい。
第14回写真「1_WALL」グランプリ受賞をきっかけに、『GINZA』(マガジンハウス)、『bis』(光文社)、インディペンデントマガジン『HIGH(er)magazine』などの雑誌で活躍し、写真展「生きる女」などでも評価を得る佐藤麻優子さん。
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作品の特徴は、なんといってもライティング。足元から上に向けて当てるライトは通称「お化けライト」と呼ばれ、人物撮影ではタブーとされているのですが、誰も手を出さないその手法が作品のユーモアを増長させています。
どんな被写体でも、彼女の手にかかれば佐藤麻優子らしさが垣間見える。クライアントワークでも同じように撮影しているのがすごいですよね。人物写真の概念を超越するインパクトがあります。
続いてご紹介するのは、イタリアを拠点に活躍するアーティスト、小池健輔さんのアカウント。ビジュアルアーティストの小池さんは、1枚の写真から切り出したパーツ使い、当初とは異なる構図で元の写真にはめ込む作品を多く生み出しています。浅間国際フォトフェスティバル(2018年8〜9月)に出展された作品『Ikebana』は、古いポストカードから人の顔から目や口、鼻を部分的に切り抜いて並べ、まるで花が生けられているような不思議な風景を作り出しました。
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Yes! I finally met my dears ?at @asamaphotofes.jp ?? #photomiyota #kensukekoike #todayscuriosity
Instagramでは、制作の一部始終を収めた動画も閲覧できるのですが、巧みな技に感嘆します。ぜひ一度ご覧になってください。
続いては韓国生まれ、ニューヨーク在住の写真家、イナ・ジャンさんのアカウント。日本では資生堂の企業誌『花椿』に掲載され、他にも『The New York Times Magazine』、『the British Journal of Photography』などさまざまなメディアで作品を発表しているアーティストです。
遊び心のあるカットアウト*の手法を用いた立体感のある作品は、写真作品とは思えないほど。ガーリーで繊細な表現に心踊が踊ります。ぜひご覧ください。
*生地をくり抜いたり、切り抜いたりして、肌や下地をみせる手法のこと。