「すべては“Happy Life”のために“Happy Home”を提供する」。そのミッションステートメントを実現するソリューションの一環として、タマホームは企業写真部を立ち上げました。社員が自ら撮影しその技術を向上させて、インナーコミュニケーションや営業活動に活かすことが目的です。
そこで生まれた写真の力は、会社にどのような変化をもたらしたのでしょうか。写真部の中心メンバーが、プログラムを提案したアマナ担当者と一緒に活動の軌跡をたどります。
田中寛子(アマナ/以下、田中):写真部のデビューは1年前、2017年度のタマホームの入社式でした。改めて写真部を立ち上げた経緯をお聞かせください。
東條誠さん(タマホーム 総務部コンプライアンス室 課長代理・MS委員/以下、東條。敬称略):写真部はMS(ミッションステートメント)委員会というプロジェクトから生まれました。MSを実現するために何をすればいいかを委員会で話し合う中で、電通の小柴尊昭さん、アマナの片岡圭史さんから写真を使った「フォトコミュニケーション」の提案がありました。
それまで、当社には支店のグランドオープンや記念式典など、いい場面がたくさんあったにもかかわらず、いい写真が残されていないという課題があがっていました。小柴さんと片岡さんの提案に共感し、「タマホームの社員が写真力を身につけ、社内行事を撮影する」ところからMS委員会の有志数名と共に写真部がスタートしました。
片岡圭史(アマナ/以下、片岡):写真は、コミュニケーションの課題を解決する1つの手法として有効だと思います。人を動かすためのツールになればと提案させていただきました。
田中:写真部の最初の研修では、講師としてナオミサーカスさん(UN/フォトグラファー)、電通の小柴さん、ラーニングプロデューサーとして私がプロジェクトに加わりました。タマホームの本社で募った7名の受講生にタマホーム豊洲展示場に集まっていただき、まずは機材に慣れたり撮る楽しさを感じるため、実践を交えて実施しました。
片岡:ナオミさんは、被写体の自然な表情を引き出すことが上手なフォトグラファーです。撮影中の声のかけ方や関係の築き方など相手の心に入りこむことが得意なので、講師としても、みなさんの心を開いてくれるんじゃないかと。そのテクニックとコミュニケーションの取り方を写真部に伝授してもらいました。
東條:本当にそうです。ナオミ先生に相手との距離の縮め方を教わりました。
田中:アマナの海岸スタジオでの研修は、後に予定されていたハワイへの報奨旅行の撮影をテーマに実施しました。前回の復習で、人物と集合写真の撮り方をレクチャー。その後、チームに分かれ撮影、発表・講評をするという、写真を選ぶ力を身につけるメニューとなりました。水戸支店の大西俊寛支店長が参加されたきっかけは?
大西俊寛さん(タマホーム 水戸支店長・MS委員/以下、大西。敬称略):担当する支店の取り組みとして、完成したお客様の家の写真を撮らせていただき事例集を作っています。それまで自己流で撮っていたので、改めて技術を学びたいと思いました。
東條:私達としても、営業ではお客様へ家の引き渡しのときに記念写真を撮ったり、家作りの過程を収めたフォトブックをお渡しする機会があるので、社員の撮影技術が向上していい写真を提供することができたら、MSの実現に繋がるのではないかという考えがあります。
大西:自身の経験からも、営業スタッフの写真力が上がれば、お客様にタマホームの魅力が伝わって、たくさんの“Happy Home”が増えて“Happy Life”がもっと広がる可能性があると思います。
田中:大西さんは、研修前後で写真の撮り方に変わったことはありますか。
大西:お客様の自然な笑顔が撮れるようになりました。先日、タマホームのCMに参加していただいたお客様のところへ「撮影の勉強をしたので、写真を撮らせてください」とお願いして、引き渡しのシーンを再現していただきました。お客様に撮った写真を見せたらとても喜んで、パソコンのデスクトップに置いてくださって。距離がものすごく縮まったように思います。
田中:家を作ることは、シビアな面も見られると思いますが、写真というツールがあると気持ちをポジティブに動かせますね。
大西:そう思います。
片岡:タマホームの横浜展示場での研修は、その後に控えていた新入社員研修で写真部がスマホ撮影を教える技術を身につけるという目的がありました。そこで、講師の経験が豊富な黒川隆広(アマナ/フォトディレクター)から、人物や家を撮影するポイントを2チームに分けてレクチャー。新入社員も理解し実践できるよう、写真部のメンバーと撮影術をまとめたオリジナルの教材を作成しました。
田中:このとき、東條さんら主要メンバー3人には、2017年度の入社式の写真を撮るというミッションがあったので、テーブルごとのグループ写真と、新入社員約300人の集合写真を撮るためのテクニックや声がけの指導もありましたね。
東條:入社式の当日はアマナのプロカメラマンの先生方にリハーサルから見てもらいました。プロ機材をレンタルしたので、技術サポートとして立ち会っていただいたんです。約300人の集合写真はドキドキでしたが、研修の成果を発揮できたと思います。
田中:(集合写真を見ながら)東條さん渾身の一枚ですね。
東條:はい。研修と実践で撮影技術は向上しましたが、それ以上に、プロカメラマンの先生方が同じ式典で撮った写真を見て、どこに目を付ければ、その場の空気が伝わる写真になるのか勉強になりました。
片岡:いい写真は、たった1枚でもその時のシーンを呼び起こす力がありますね。
田中:御社では社内イベントがたくさんあって、写真を撮る機会も多いですよね。
東條:はい。入社式以降、優秀社員の表彰式、内定式、九州での祝賀会でも撮影の社内オファーを受け、社内報の「タマホームプレス」では社長・副社長の撮影も担当しました。
片岡:前年度の入社式で、撮ったらすぐにFacebookにアップできるツールや、撮影後に写真を選んで保存する作業が負担にならない方法も、写真部のメンバーと一緒に考えました。
東條:インナーコミュニケーションとして、タマホームは全社員が参加する社内Facebookに力を入れています。イベントに参加していない人にも臨場感が伝わって、その場にいるような感覚になり、会社への帰属意識が強まるのではないでしょうか。
大西:ビジュアルとして目に入ってくる情報の効果はすごく大きいと思います。全国に支店があり、なかなか横の繋がりを実感することが少ないですが、いい写真を撮って発信していくと普段見えない会社の雰囲気や良さに改めて気づき、たくさんの人が笑顔になるいい会社だということがもっと伝わっていくと思います。
田中:写真部で活動していちばんよかったことは何ですか。
東條:写真を撮ることでコミュニケーションの数が増えたことです。私自身は、コンプライアンスというやや固いイメージの仕事をしていますが、社内のいろんな人と話せたことがよかったと思います。
田中:カメラを通して人との距離が縮まることを、お二人の話を伺って再認識できました。アマナの「ビジュアルコミュニケーションで世界を豊かにする。」というミッションと合致していて、それを御社の力にしていただけているのがとても嬉しいです。
東條:個人的な思いとして、当社の全国各地区を写真部と回って、社員の写真への興味を向上させたいですね。伝わる写真とは何なのかを社内に広めていきたいです。
大西:写真部のメンバーが増えてノウハウを蓄積し、最終的には全国の支店で一人一台カメラを持ち、みんなが自発的にいい写真を撮りたいと言うようになると会社の可能性はもっと広がるのではないでしょうか。
田中:仕事というミッションに写真を通してパッションが掛け合わされることで、働いている人たちもハッピーになると思います。写真部の活動が広がっていくといいですね。
テキスト: さとうともこ 撮影:豊田佳弘
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