前回の記事「VRの没入感はなぜ阻害される? 見落としがちな原因と対策」でもご紹介したように、現状VRコンテンツはイベントや展示会のブースで体験してもらうのが一般的です。
その際に大切になるのが環境作り。VRの世界にスムーズに入り込み楽しんでもらうためには、コンテンツを提供する側の細かい心配りが欠かせません。
VRではコンテンツの中身に注目しがちですが、環境整備は体験価値を向上するために重要なポイント!
そこで今回は、VRイベントを成功させる運営のコツBEST5をご紹介します。
イベント会場では人気の高いVRコンテンツほど体験待ちの行列が長くなりますが、ただ待ってもらうのはナンセンス。並んでいる人がVRコンテンツの世界観にスムーズに入っていけるよう工夫しましょう。
たとえばブース周辺の照明をコンテンツ内と同じ程度まで暗くしたり、作品に登場するアイテムを飾ったりするのも1つ。デジタルサイネージを設置してストーリーや操作方法のデモ動画を流せば、雰囲気作りだけでなく説明の手間も省け、並び時間の短縮にもつながります。
テーマパークのアトラクションと同様に、VRコンテンツも本当に満足できるかどうかは待ち時間から始まっています。
椅子の形状はVR体験に思った以上に影響します。椅子を選ぶうえで基本的なポイントは回転することと、床に足がつくこと。座ったまま足が固定された状態で360°見回すのは難しく、回転させるためには床に足をつける必要があるからです。
背もたれや高さなど安全面にも配慮して適した椅子を用意しましょう。もちろん専用のゲーミングチェア(フットペダルや振動スピーカーが付いたVR体験用の椅子)ならより高い没入感が期待できます。
また、女性の体験者はVRゴーグルを付けた状態だと視界と音が遮断されるので恐怖心を持つ方も多いようです。そのような方のケアのためにも、座った状態で背面が包まれるような球体型の椅子もよく使用されています。
イベントや展示会で何百人も続けてVRゴーグルを装着すると汗や化粧品が付着します。ニオイや汚れが気になるとコンテンツを楽しむことはできませんよね。
これを解決するのがニンジャマスク(VRゴーグルの下につける不織布の使い捨てマスク)です。通販サイトなどで100枚入りが3,000円程度で購入できますから、あらかじめ用意しておきましょう。
ニンジャマスクと消臭・除菌スプレーなどを併用することで、3~4日間のイベント期間中もVRゴーグルを清潔に保てます。
意外と見落とされがちなポイントかもしれませんが、地下スペースを利用したイベントなどではブースの設置場所に電波が届かないことがあります。
場所によってはスマホの電波も届かず応急処置ができないことも……。ネットワークを利用するVRコンテンツの場合は、会場のネットワーク環境を事前に確認しておきましょう。
万が一のトラブルに備えて、VRゴーグルやPC、スマートフォンは予備のデバイスを準備しておくのがおすすめです。とりわけスマートフォンを差し込むVRゴーグル(サムスン「Gear VR」など)の場合、スマートフォンのバッテリーの消耗が非常に早く、数時間でバッテリー切れを起こすことがあります。
ブースの稼働が1度止まってしまうとオペレーションの効率が落ちるばかりか、並んでいた人も興ざめになりVRコンテンツへの期待感も薄れてしまいます。できれば稼働数と同じ数だけの実機を確保しておきましょう。
さらに、数台のデバイスで同時再生ができるシステムにしておくと運用もより簡単になります。
映画や家庭用ゲームと比べるとVRはまだまだ発展途上のコンテンツです。参加者の中には体験に慣れていない方もいますので、心から楽しんでもらうためには、スムーズな運営になるようコンテンツを提供する側の心配りが欠かせません。
イベントや展示会にVRブースを出展する際は、今回ご紹介した内容をぜひお役立てください。
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