こんにちは、airvisionの横濱です。
以前、アマナで開催しているドローンスクールに、造船所で働いている方が参加されました。ドローンと造船、意外な組み合わせだったのでお話を伺ったところ、造船所では船の組み立て資材を確認するためにドローンを使っているとのこと。
私は長年ドローンの撮影に携わっていますが、これはちょっとした驚きでした。ドローンは私たちが感じている以上に幅広いジャンルで利用されているのかもしれません。そこで今回は、5つの分野におけるドローン活用事例をご紹介します。
小型ヘリコプターによる農薬散布など、いち早く先端技術を取り入れてきた農業分野。最近では農薬散布だけでなく、農作物の育成状況のチェックにもドローンが使われています。
たとえば、漢方薬の原料となる生薬。海外が原産地の生薬は、土壌や天候の異なる日本で栽培するのが難しく、稀少な品種は収穫までに数年を要することも。そうした中、生薬の安全を保ち、かつ効率的に栽培するために、ドローンを使って成長過程を管理する農家や企業が増えています。
また、山梨県などのぶどう農家では、日当たりや風当たりをよくするために枝をカットする「剪定」という作業に、ドローンを利用しています。
ぶどうの枝を見上げて歩き回りながら1本1本確認していくのは大変な作業です。そこにドローンを取り入れ、撮影した画像で日の当たり具合などをチェックすることで、短時間かつ一定の基準で剪定できるようになりました。
続いてご紹介するのは、防犯・セキュリティ分野。大手警備会社のセコムは、2015年からオフィス・家庭向けの「セコムドローン」というセキュリティサービスを開始しています。
これは監視カメラとLEDライトの付いたドローンが建物の上空を回遊し、接近した人や車を撮影して同社のコントロールセンターに送信するというもの。固定防犯カメラでは難しい顔の特徴や車のナンバーも鮮明に撮影できます。セコムはこの「セコムドローン」でサービス業初となる「攻めの IT経営銘柄2016」に選ばれました。
また防犯とは少し違うのですが、オーストラリアのビーチではレスキューの一環としてサメの発見・追跡のためにドローンが導入されているそうです。
こちらは前述の造船所の事例です。造船所で組み立てる貨物船やコンテナ船は、大きいもので全長200m以上。造船所の規模によって作業面積は10万㎡以上になり、必要な資材がどこに置いてあるのかを確認するだけでも時間がかかります。
従来はそうした確認作業を自転車(!)で行っていたそうですが、ドローン撮影を取り入れることでリアルタイムに確認できるようになりました。また、ある造船会社では、ドローンの撮影画像を使って組み立て作業の効率化を図る取り組みも始まっています。
2016年、楽天やAmazonがドローンでの商品配達に対応したというニュースがありましたが、シンガポールの外食チェーンは2014年末から国内6店舗のレストランでドローンの給仕を実用化しています。ただしまだ、調理場からホールまでという短距離のようですが。
このドローンは搭載されたセンサーで障害物をかわしながら最大2kgまでの料理を運びます。開発した企業によれば、導入によって飲食店舗の生産性が25%アップするとのこと。
生産性もさることながら、小さなドローンが人やモノを避けながら一生懸命(?)料理を運んでくる様子にはつい頬が緩みますよね。
最後は公共事業などの測量におけるドローン活用です。数日を要していた測量でもドローンを使えば短時間で行うことができるうえ、撮影画像から取得した距離や高低情報によって、土地をならすために必要な土の量も自動的に算出できます。
実際、airvision のドローンスクールも含めて測量士の方がドローン教室を受講することも多く、大規模な測量ではドローンの撮影会社が依頼を受けることも。
国土交通省も、情報通信技術を使って建設現場の生産性向上を図る「i-Construction」という取り組みを2015年末から始めており、今後ドローンへの大きな需要が見込まれる分野です。ちなみに2013年の噴火によってできた小笠原諸島・西之島の測量にもドローンが使われています。
ドローンは元々、軍事用に開発された技術。それがこれだけ幅広いジャンルで活用されるようになったのは、やはり使う側のアイデア・視点があってこそだと思います。
最近では新卒採用サイトでオフィスを紹介するドローン動画を配信する企業が出てくるなど、活用の幅は広がるばかり。airvisionでも企画の段階から相談を受け付けているので、「こんなことがしたい」というアイデアがあれば、お気軽にお問い合わせください。