疑似体験が人を集める、食イベントのWeb&SNS活用法

前回の記事『応募者2300人超。「ハーゲンダッツファンの集い」成功の秘密』でご紹介した通り、試食会やワークショップといった食イベントはイベントそのものを1つの体験として楽しんでもらうことで、ファンを作る絶好の機会になります。でも、それだけでは充分ではないかもしれません。

というのも、試食会やワークショップには必ず物理的なハードルがつきまといます。会場のスペース、定員、用意できるメニューの数、開催期間。さらに有料イベントの場合、いくら興味があっても参加費を払うことをためらう方もいらっしゃるでしょうし、都内で開催されるイベントに足を運ぶのが難しい方も多いでしょう。

趣向を凝らした食イベントを作り上げても、すべてのお客様に参加していただくことはできません。そこで大切になってくるのが、WebサイトやSNSで”疑似体験をしてもらう”こと。そのためには、イベントの全体感が伝わる素材をたくさん用意して、出し惜しみをしないことが大切です。

Soup Stock Tokyoと森永乳業、2つの事例からその手法をご紹介します。

出典:Soup Stock Tokyo おいしい教室

Soup Stock Tokyo 「おいしい教室」

都内を中心に60店舗以上を展開し、若い女性から支持を集めるSoup Stock Tokyoは、食を起点に参加者のみなさんと一緒に「おいしいって何?」を考えるワークショップ「おいしい教室」を月に数回開催しています。身近な食材にひと手間加えたレシピや料理を通じて海外の習慣や文化も紹介する人気のワークショップで、その模様をWebコンテンツとして公開しています。

コンセプト動画からも、「おいしい教室」で体験できることや目指す世界観を感じることができます。

出典:Soup Stock Tokyo おいしい教室

2016年11月に東京・自由が丘で開催された「暮らしのじかん~ジャムとりんごの話」というワークショップのレポートを見てみましょう。

りんごをベースにスターアニスやクローブを加えたジャムのレシピはもちろん、参加された方の食材にまつわるエピソード、日本のりんごの品種、ジャムに合うスウィーツなどが余すことなく紹介されています。

出典:暮らしのじかん ~ジャムとりんごの話~

会場の写真もあえて俯瞰で撮られているので、ワークショップ全体の雰囲気が伝わってきますよね。内容もレシピ紹介だけにとどまらず、見た目でわかるりんごのおいしさといった食材にまつわる豆知識まで細かく紹介されていて、イベントに参加できなかった人も参加者同様の知識が身につきます。

さらにWebコンテンツとしてのレイアウトが工夫されているのもポイントです。

ページはホワイトスペースを広めにとっている分、見る人が、食材や盛り付け、テーブルウェアの写真に集中できます。PCやスマホ越しでもイベントの全体感と雰囲気が伝わり、商品にも興味がわいてくるのではないでしょうか。

森永乳業「Pino」インスタグラム公式アカウント

場所や時間といったハードルを乗り越えて食ブランドを浸透させていくためには、SNSも欠かせないツールの1つです。大手乳製品メーカー・森永乳業は早くからSNSを活用してきました。

出典:pino 公式アカウント morinaga.pino

2015年、森永乳業は東京・表参道に「ピノフォンデュカフェ」を期間限定オープン。来場者それぞれが「Pino」をオリジナルでデコレーショションできるイベントと共にフォトキャンペーンを開催し、カフェの様子や投稿された写真をインスタグラムに掲載しました。

出典:pino 公式アカウント morinaga.pino

掲載されている写真は、ポスターモデルを務めた泉はるさんが来店したときの様子や、参加者オリジナルのデコレーション、参加者とスタッフのポートレートなど、バラエティに富んでいます。

こうしたSNSのキャンペーンは、参加者同士の交流など主催者側からだけでは捉えきれないイベントのリアルな魅力を届けることができます。また投稿キャンペーン自体が1つのアーカイブとして残ることで、時間が経過しても、スマホ1つでイベントの温度感や雰囲気を知ってもらうこともできます。さらに写真がメインになるインスタグラムなら、海外の消費者へのアピールにも向いています!

このイベントもすでに終了していますが、投稿された200枚以上の写真を見ると、参加者が楽しんでいる様子やイベントの活気が手に取るように伝わってきます。次のイベントへの期待感も高まりますよね。翌年には、東京・表参道と大阪・梅田でも期間限定でオープンしており、こちらも多くのお客様を動員しました。

食品はおいしさはもちろん、「誰とどこで食べたか」、「どのように楽しんだか」という体験が商品のイメージを大きく左右します。そうした意味でWebやSNSをうまく使って“食”を疑似体験させることが、食ブランド浸透の鍵を握っているといえるかもしれません。

そのために大切なのは、イベントの全体感が伝わる素材をたくさん用意して、出し惜しみをせず、ブランドに合ったメディアと表現方法で届けること。弊社でも相談を受け付けているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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