レオス藤野社長インタビュー、社長の顔写真の有無が株価に影響する

投資運用会社レオス・キャピタルワークスの代表取締役社長、藤野英人さん曰く「社長や役員の顔写真をWebサイトに掲載している会社ほど、株価が高く推移する傾向がある」とのこと。なぜでしょうか?お話を伺いました。企業の広報・IRご担当者必見のお話が展開します。

Webサイトは会社の玄関、会社の“本音”が表れる

——(以下、川上)会社の業績とWebサイトの関係に注目された理由は?

藤野 私たちは投資運用会社ですので、いろいろな会社の隅々まで見て価値判断をするというのが仕事です。本社の佇まい、社員の様子、社内にはどんな調度品があるか、創業者の胸像があるか、時にはその会社の最寄り駅から会社まで歩いてみることもあります。これは良し悪しを判断するためではありません。会社の個性を把握したいから行うことです。

中でも特によくチェックするのが玄関にある傘立てです。清掃状況はどうか、雨が止んだら率先して片付ける人がいるか。

晴れているのに、傘立てに傘がたくさん残っている会社に投資しても不思議と儲からないんですね。玄関は会社の姿勢が表れる大切な場所なんです。

藤野 その点、現代ではWebサイトも大切な会社の玄関です。実際の会社の玄関に訪れる人よりも、Webサイトに訪れる人のほうが圧倒的に多いはずです。だから、会社のWebサイトをきれいにする、見やすくする、整理整頓することは、社内の清掃と同じようにとても大切だと思います。

写真掲載の有無は、株価のパフォーマンスに差を出す

——Webサイトのコンテンツの中でも、特に社長や役員の写真が大切なんですね。

藤野 私たちは、実際の会社の隅々を見るのと同じように、会社のWebサイトも隅々まで見ます。どんな人が社長なのか、どのような役員が揃っているのか。それなのに社長の写真がない、役員の写真がないとがっかりするわけです。どうしてないのだろうと、なにか隠す理由があるのかなと……。

これまでの経験から、Webサイトに社長や役員の写真が掲載されている会社に投資することが多く、さらにリターンも高いなと感じていました。それで実際に調べてみたら、事実その通りだったんです。会社の規模や業種などは全く関係なく、写真が載っている会社の株価のパフォーマンスのほうが高くなる傾向がありました。

でもこれは当然の話なんです。会社は商売をしているわけで、商売というのは人と人とのつながりで成り立つものです。お客様がいちばん訪問してくれる「玄関」である場所に社長が出てこない、お迎えにこないというのはおかしな話なんです。どんな人か素性を隠さないで前に出るということはすごく大切なのに、そういう基本的なことができていない会社は、お客様や社員を大切にしないのではないかと思うんですね。そういう意味で、株価のパフォーマンスに差が出るのは当然と言えるんです。

知りたいのは、どんな“人”がいるのか

藤野 これからデジタル化がさらに進みAIが進展するとしても、会社に付加価値を出すのは、やはり人間です。ゆえに、どんな社長や役員が経営しているのか、どういう社員がいるのか、とても大切なことなんですね。

講演会などで企業の社長が「うちの会社は社員を大事にしていて、人材の“材”は財産の“財”と書いているんだよ」と話すのを聞きます。立派なことを言っているなと思ってWebサイトを見てみると、社員の写真が1枚も載っていなくて、かわりにあるのは工場のパイプの写真ばかり、なんてことはよくあります。社員じゃなくて本当はパイプが財産だと思っているのではないかと(笑)。

みなさんあまり気づいていませんが、Webサイトって会社の本音が出るんですね。

写真掲載は当たり前、これからは写真のクオリティが重要に

——企業がWebサイトに写真を掲載する際、どんなところに注力したらよいでしょうか?

藤野 米国のほとんどの会社のWebサイトには、社長と役員の写真が載っています。それもみんな格好いい。日本の会社は、せっかく写真が掲載されていても、まだ証明写真のレベルに近い写真が並んでいて結構、残念な感じがするし、それぞれバラバラで全体のテイストが合っていないことが多いです。各々が自宅にあった写真を持ち寄ってきたみたいなところもあります。

Webサイトに社長や役員の写真を載せるのは当たり前。これからはその写真がいい感じで撮れているかどうか、つまり写真のクオリティによって株価のパフォーマンスに差が出てくるのではないかと思います。おそらくテストしてみたら、感じがいいと思われる写真を掲載している会社とそうでない会社では業績にも差が出るはずです。

さらによくある話ですが、社長や役員のポートレートを、社内の“アマチュアだけどちょっとカメラが上手い人”に撮らせるのもあまりよくないです。玄人顔負けのアマチュアカメラマンはたくさんいるのですが、そこはプロのカメラマンに頼むことが大切です。写真のクオリティは本当に重要なので、プロとアマの差は確実に出てくるものです。Webサイトをデザインから作り直すとなると相当な金額になりますが、それに比べるとプロのカメラマンに支払う撮影料のほうが、投資対効果は抜群だと思います。

プロに撮ってもらうからには、会社としての“意図”が必要

藤野 プロのカメラマンの手にかかれば、どんなふうにも料理できるわけで、容姿が良いか悪いかは関係ありません。根本的に重要なのは写真の意図です。どんなテイストの写真で、どんな印象を与えたいか、会社としての意図がなければいけません。例えば、プロフェッショナルの集団だと伝えたいなら、ちょっと格好いいクールな感じで。あるいは親しみのある信頼あふれる集団だと伝えたいなら、笑顔の温かな表情でということになるでしょう。プロのカメラマンは顧客の要求に対してそれに応えることができる点でプロなんです。会社としての意図を伝えればその通りに表現してくれるはずです。
海外の会社には多いのですが、これからは経営陣の全体写真があるといいですね。公園や本社の印象的な一角で、みんな思い思いのスタイルで揃って撮る。全体でチームであるという雰囲気が伝わり、このチームに夢を託そうという気にさせられると思います。まだ日本の大企業でも全体写真は滅多に見ないですが、プロの手を借りてちゃんと照明やバランスなどを考えて撮影すれば、とてもよい印象の写真が撮れるのではないでしょうか。

レオス・キャピタルワークスでは、運用メンバーのポートレートを受付に飾っている

株価のパフォーマンスにも関わる、Webサイトの社長や役員のポートレート写真の実際がおわかりいただけたのではないでしょうか。
今の時代、企業のWebサイトに社長の顔写真が載っているのは当たり前。これからは、その質へのこだわりが、お客様をつかむために欠かせない要素と言えそうです。

Webサイトには会社の本音が出る——

あなたの企業のWebサイトには、しっかりとプロの撮影してもらった社長の写真が載っていますか? より確かな信頼につなげるために、役員陣の写真掲載や、質の追求を検討してみてはいかがでしょうか。

Profile

プロフィール

藤野 英人

レオス・キャピタルワークス株式会社
代表取締役社長・最高投資責任者

1966年、富山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。野村證券系、JPモルガン系、ゴールドマン・サックス系の投資運用会社を経て、2003年レオス・キャピタルワークスを創業。中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネジャーとして豊富なキャリアを持つ。
運用する「ひふみ投信」は4年連続R&I 優秀ファンド賞を受賞。JPXアカデミー・フェロー、明治大学商学部兼任講師も務める。
著書に『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『ヤンキーの虎-新・ジモト経済の支配者たち』(東洋経済新報社)など多数。

SOLUTION

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