広告やWebサイトのビジュアル制作では、最初のペルソナ設計がキーポイントです。具体的な1人をイメージすることで、ビジュアルは見る人の心に届くものになります。そこでペルソナ設計をする上で効果的な“写真”を使う設計方法をご紹介します。
普段ペルソナはどうやって設計していますか? Excelの表を使って、年齢、性別、居住地、年収、趣味などを書き出していくという人も多いかもしれません。もちろんそれも良いのですが、数字や言葉だけだとペルソナのイメージがブレることがあります。
例えば、「都会的で先鋭的な30代の女性」というペルソナも、受け取り方は人それぞれ。芸能人やモデルをイメージする人もいますし、身近な友人を思い描く人もいます。また、時間が経つにつれてイメージがぼやけ、いつの間にか違った人物像になってしまったりもすることもあります。
あいまいなペルソナからはあいまいなコンセプトとテイストしか生まれません。こうしたペルソナのブレは、制作物に直結してしまうのです。
やはり、ペルソナは文字や数値だけでなく、ビジュアルを使って視覚化したいもの。そのための具体的な手法の1つが「エモーショナルスケール」です。
「エモーショナルスケール」とは、以下の図のように、「Cool&Warm」「Soft&Hard」の2軸のマトリックスによって写真を11のテイストに分類し、感性的なイメージを見える化する手法のことを言います。
ここに写真を当てはめていくだけで、自然と同じトーンやテイストを作っていくことができるんです。試しに見てみましょう。
例えば、前述の「都会的で先鋭的な30代の女性」は、洗練されていて、知的でシャープなイメージがありますので、エモーショナルスケールに当てはめてみると、右下の「モダン/アーバン」、「りりしい」といったゾーンにマッピングできます。
さらにターゲットを広げて「ナチュラルで素朴な10代の女性」とすると、左上の「素直な」、「親しみやすい」といったゾーンに当てはまります。
「清楚で若々しい20代の女性」の場合は、フレッシュでアクティブなイメージなので右上のゾーンに。
「品の良いプレミアム世代の女性」では、格式高いクラシックなイメージですので、左下のゾーンに当てはまります。
このように、写真と「エモーショナルスケール」使ってマッピングすることで、ペルソナのイメージや印象は、より浮き彫りになります。文字や数値だけでは想像しにくい、声や感情といった個性も、格段にイメージしやすくなってきたのではないでしょうか?
さらに「エモーショナルスケール」を使うと、ペルソナにマッチした写真のテイストやコンセプトを決めることもできます。例えば、ベーグルの商品画像を撮影する場合。先ほどの人物像に合わせてみてみましょう。
「都会的で先鋭的な30代の女性」をターゲットにすると、これがマッピングされる右下のゾーンのワード「洗練された」、「都会的な」をヒントにし、同じゾーンに当てはまるこんな写真が選べます。
「ナチュラルで素朴な10代の女性」に向けた、「自然な」、「穏やか」といったテイストなら、左上に当てはまるこんな写真。
「清楚で若々しい20代の女性」は、右上のゾーンにはまりそうなこんな写真。
「品の良いプレミアム世代の女性」には、左下のゾーンに当てはまる、重厚感やエレガントさをまとったこんな写真がぴったり。
このように、「エモーショナルスケール」はペルソナだけでなく、ペルソナにマッチしたテイストやコンセプトを設計するのにも効果的なんです。
実際にそれぞれのペルソナ像の人物写真、と商品画像を組み合わせてみましょう。
これだけで広告ポスターとして通用するほど、同じテイストの印象があります。
「エモーショナルスケール」でペルソナや、テイスト・コンセプトを見える化すると、マッチング精度を飛躍的に高められます。これにより、それぞれのペルソナの生活の中で見えている画に近づいていくため、より心に届く写真になるんです。ペルソナ設計は、言葉や数値だけでなく「エモーショナルスケール」を使って視覚化するのがおすすめです。「エモーショナルスケール」は、いわば企業の想いやメッセージと、ターゲットのライフスタイルをつなぐツールと言えるかもしれません。
今回は言葉で描いたペルソナを見える化してみましたが、反対に「エモーショナルスケール」のテイストとキーワードから、新しいターゲットを発見することもできるでしょう。コンテンツマーケティングや販促PRにも広く使える手法なので、ぜひ試してみてください。