トッププレイヤーが描く、2020年のVRと中国市場とは?【Japan VR Summit 2】前編

11月16日(水)、グリー株式会社と一般社団法人VRコンソーシアムが共同開催する「Japan VR Summit 2」へ行ってきました。当日は約550人の参加者が集まって会場はほぼ満員。VRの未来に対する関心の高さがうかがえました。

登壇者は、主催者の1人でもあるグリー株式会社代表取締役会長兼社長 田中良和氏や、ゲーム雑誌「週刊ファミ通」の創刊から編集に携わった浜村弘一氏、Playstation VRの開発に尽力した高橋泰生氏。海外からもGoogleのChief Game DesignerのNoah Falstein氏や、Oculus社Head of publisingのJason Holtman氏など、錚々たるメンバーが集まりました。

テーマは次の5つ。

●「VR トッププレイヤーが描く2020年のビジョン」
●「世界最大?中国VR市場のポテンシャル」
●「先駆者から学ぶ〜VRアトラクション編〜※レポート後編
●「VR/ARはゲーム/エンタメから各産業へ花開く」※レポート後編
●「投資家が展望するVRの収益化※レポート後編

どのテーマでもVRの現状と未来のあり方をベースに、登壇者のバックグラウンドが活かされた幅広いディスカッションが展開されました。

グリー株式会社と一般社団法人VRコンソーシアムが共同開催するJapan VR Summit 2 の様子

【Session Ⅰ】
VR トッププレイヤーが描く2020年のビジョン

最初のテーマである「VR トッププレイヤーが描く2020年のビジョン」では、VRの今を紹介しつつ、来るべき2020年に向けてVRがどのように発展してゆくか未来予想をするものとなりました。

【モデレーター】
浜村 弘一氏 (カドカワ株式会社/取締役 ファミ通フループ代表)
【パネリスト】
Jason Holtman氏 (Oculus/Head of Publishing)
Joel Breton氏 (HTC Vive/VP Global VR Content)
高橋 泰生氏 (ソニー・インタラクティブエンタテイメント/グローバル商品企画部 担当課長)
Noah Falstein氏 (Google Inc./Chief Game Designer)

2016年はVRが身近になった年

「2016年は技術革新が進み、価格的にも個人がVRを手にできるようになった年」とJoel氏。さらに「コンテンツを世界に対して配信できる環境が整い、ハードウェアとコンテンツの両方の準備が整った」と続けます。

一方、高橋氏も「注目すべきはVRが一般家庭で体験できるようになったこと。開発者がVRを通して伝えたいことを思う存分伝えられるようになった」と応えました。

さらにコンテンツ面でも、「目や手をどのように使えばいいのか?」、「没入とはどういうことなのか?」という基本的な認識が広まり、フルプレゼンスのVRコンテンツが作れるようになったのも今年の特徴であるという共通意見が語られました。

しかし、まだまだVRの定義は定まっていないといいます。「いまVRと呼ばれるものはたくさんある」と高橋氏。たしかに「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着する360°フルCGのゲーム」は誰もがVRと呼ぶ一方、「Webで配信される360°動画や静止画の視聴」は、「360°動画」と表現するされることもあれば、「VR」と表現される場合もあります。これについては、制作側でも一致した見解がないのが現状です。

VR元年が過ぎようとしている今、VRはどう枝分かれし、VRとARとの関係はどうなっていくのか見極めることも大切かもしれません。

2020年に向けてVRはどう変わるのか?

これまでのVRはクイックエクスペリエンス、つまり強い刺激やスピード感のあるコンテンツがユーザーを驚かせ楽しませると考えられてきました。しかし、「これからはVRの裾野が広がり、じっくり体験できるものに変化してゆくかもしれません」とJason氏は言います。

たしかに映画をVRで視聴したり、VRで旅行を楽しんだり、ゲーム以外のコンテンツが広がってゆくことがVRの未来を決める重要な要素。身近なところでは、アバターに服を着せて試着させたりするなど、ネットショップもVR空間を活かしたものへ変化してゆくに違いありません。

また、Noah氏からは「VRは本のように安心して椅子に座って楽しむものにしたい。」という意見もありました。現状のVRのネガティブなイメージとして「1人でしか楽しめない」という点がありますが、本だって基本的には1人で楽しむもの。だからといってネガティブな意味合いはありません。「1人でしか体験できない」というVRに対するイメージも、今後変化していくかもしれませんね。

【Session Ⅱ】
世界最大?中国VR市場のポテンシャル

ゲーム以外の日常生活にも広がってゆくVRですが、VR機器の開発をリードし、巨大な販売マーケットが広がるお隣の中国はどのような状況なのでしょうか? 2つ目のセッションは「世界最大?中国VR市場のポテンシャル」です。

【モデレーター】
田中 章雄氏 (インフィニティ・ベンチャーズLLP/共同代表パートナー)
【パネリスト】
Karen Zu氏 (Beijing Pico Technology Co., Ltd./CMO)
George Lin氏(3Glasses/執行役員 & CFO)
Zeng Xianzhong氏 (BaoFeng Mojing/Vice President / Partner)
Frederick氏 (Shanghai Famiku Co.,Ltd./CEO)

中国市場で日本は活躍できるのか?

最初に語られたのは、中国のVRはまだまだ浸透し切っていないということ。「ハード・ソフトとも海賊版の占める割合が大きく、コンテンツも海賊版が多いため、まだまだレベルが低いと言わざるを得ない」とKaren氏。

とはいえ、VR関連のハードウェアの生産量は世界随一であり、海外から多くのバイヤーが買い付けに中国を訪れているのも事実。それに対してもKaren氏の見解は、「出荷量が多いとはいえ海賊版が多く含まれており、それをもって判断するのは間違い」といいます。大切なのは、「VR機器が一般家庭に浸透し、生活に活かされる状況になること」。

気になったのは、日本への影響です。

中国では国内で開発されたもの以上に、日本企業が制作したVRコンテンツが人気を集めるケースもあるといいます。日本と中国の企業が手を組み、現地の文化や習慣に根ざしたコンテンツを供給できるようになれば、さらに市場を活性化させることができるのではないでしょうか。

「VR元年」と呼ばれた今年、たしかにVRは身近なものになりました。ただその一方、VRに対する明確な定義は定まっておらず、中国では海賊版の問題もあります。VRが本当の意味で定着するのは、Noah氏が言うように、私たちが本を読むように手軽にVRコンテンツを楽しむようになった時なのかもしれません。

次回は「Japan VR Summit 2」後半の模様をお届けします。

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