日本の常識で作ると失敗する、海外ビジュアル制作のポイント

こんにちは。amanacliq上海にビジュアルプロデューサーとして赴任している西村です。

今年で赴任3年目。それなりに現地の生活に慣れてきたかなとは思っているのですが、やはり海外ではビジュアル制作1つとっても文化や習慣の違いが出ることもあります。

今回は、そんな僕が海外での広告制作を通じて見えてきたビジュアルに対する考え方の違いや、制作における注意すべきポイントをいくつかご紹介します。少しの時間お付き合いくださいね。

タイやインドネシアといった東南アジア向けのビジュアルを制作する場合、「とにかく彩度を高く、ハッキリクッキリさせるように」とリクエストされることが多くあります。ちょっと例を見てみましょう。

例1)マクドナルド「マックフルーリー」

(左:インドネシア/右:日本)

出典:左 TandaSeru Detailed Imaging WORK / 右マクドナルド ニュースリリース

 

例2)KFCコーポレーション「ケンタッキーフライドチキン」

(左:タイ/右:日本)

出典:左 ILLUSION Portfolio / 右 KFC JP Facebook

 

日本の感覚だと「ここまでやっちゃっていいの‥?」という気もしますが‥、これには科学的な2つの理由があるんです。

1つは経度による色の見え方の違い。地球上では北極・南極に近づくほど太陽光が通る層が厚くなり、波長の短い青い光が散乱します。反対に赤道に近いエリアでは青い光の散乱が少なく、赤が強調されます。つまり、赤道に近い東南アジアの人々は日ごろから明るい暖色系の色に慣れているんですね。

もう1つは、季節・環境の影響です。東南アジアには日本のような四季の変化がありません。季節ごとの色の移ろいを感じることができない分、より鮮やかな色やコントラストが好まれる傾向があります。色の見え方や身近な色が違えば、好まれる広告のトーンが変わるのも当たり前なのかもしれません。

花嫁のシンボルカラーといえば、「白」ですよね? でも、これが世界的な常識かというと‥。

中華圏の場合、伝統的な結婚式のウェディングドレスは「赤」。同じように、お正月のお祝いの場でも赤い衣装が人気です。中国や朝鮮半島では、白に「悲しみ」、「不吉」といった意味合いもあり、おめでたい席では好まれないことがあります。

文化や習慣が違えば、色が与える印象や意味合いも変わるもの。中国や韓国といった比較的身近な国でさえ、僕たちの「当たり前」が通用しないことがあるんです。     

グローバル展開している企業のビジュアルを納品した時、ヨーロッパの代理店からクレームを受けたことがあります。「1枚の写真がイギリスでは使用できない」と。

問題になったのは、若者が友達との時間を楽しんでいるシーンの写真。一見、和気あいあいとした何の変哲もない写真なのですが、被写体の1人が手の甲をカメラに向けたピースサインをしていました。

実はこれがクレームの原因。イギリスではこの「裏ピース」は相手を挑発する時に使われることがあるそうです。詳しく調べてみると、15世紀のフランスとの戦争の時、イングランドの兵士がこのポーズで相手を挑発したのが由来とか‥。

他にも、例えば仏教が強く根付いている国では、子どもをなでる時の頭に手を置く動作がタブー視されることもあるようですよ。

海外向けのビジュアル制作では外国人モデルを起用することが多くなります。その場合、手軽なのは日本在住の外国人のキャスティングですが、これはアジア向け広告の場合​は​特におすすめできません。

まず、アジア系外国人モデルの絶対数が少ないのでモデルに適した人材が見つかりにくいんです。また、西欧人の多くが日本人と中国人、韓国人を見分けられないとはよく聞く話ですが、私たち日本人も東南アジア人は見分けにくかったりします。やはり外の人間からは分かりにくい国や地域ごとの顔の特徴があるものです。現地のクライアントや消費者に受け入れられるビジュアルを作るためには、キャスティングもできるだけ現地で行うのがおすすめです。

あと、日本ではあまり意識されないのですが、海外ではモデルの肌の色にも配慮しましょう。複数のモデルが写っている写真の場合、黒人やヒスパニックが含まれていないとクレームやトラブルになることがあります。モデルの起用1つとっても、日本と海外ではやはり”常識“に違いがあるんですね。

海外向けのビジュアル制作では、日本の常識をいったん置いて、現地の習慣や価値観に目を向けるのが大切。外国人の同僚がいる場合は、ビジュアルの見本を見せて意見を求めたりするのもいいかもしれませんね。

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