企業のビジョンを伝えるためのビジュアル戦略

「企業が掲げるビジョンをうまく伝えるにはどうしたらよいか」。これは、さまざまなビジネス・コミュニケーションだけでなくブランド価値にも関わる重要な課題です。

石灰石から紙やプラスチックをつくることができる新素材「LIMEX(ライメックス)」を開発したベンチャー企業TBMは、これからの事業展開の鍵を握る自社のビジョンを、さまざまなビジュアルを用いて明快に打ち出しています。執行役員兼コーポレート・コミュニケーション室長の笹木隆之さんにお話を伺いました。

写真を大胆に用いて想いを伝えるコンテンツに

——(以下、佐藤) TBMのビジュアル・コミュニケーションをすぐに体感できるのは、ライメックスに架ける想いを感じ取ることができるウェブサイトです。ABOUTでは、3分あまりにわたる事業紹介の質の高いムービーのほか、プレゼンテーションと言ってよいほどの充実したコンテンツが掲載されています。さらにMISSIONは、“MISSION STORY”と“VISION STORY”の2本立て。どちらもビジュアルを大胆に使ったわかりやすいコンテンツが印象的です。

笹木 先日、採用面接にこられた方から“御社のウェブサイトは質にこだわって制作されていますね”と、ずいぶん具体的にほめられました(笑)当社の特徴は、コミュニケーション戦略と経営戦略がとても近いポジションにある点だと思います。コミュニケーション活動などを行った結果が、どう企業活動に結びつくかを常にフロントの意識を持って活動しています。

そのためウェブサイトはとても重要なもので、当社の掲げるビジョンがあらゆるステークホルダーに伝わるように考えながら制作に取り組んでいます。ご覧になった方の心を動かし、ビジョンに共感してもらい、ライメックスのファンになっていただきたいですから。(参考:TBM Webサイト

<PROFILE>笹木 隆之|Takayuki Sasaki 執行役員(コーポーレート・コミュニケーション担当) 株式会社電通に入社後、経営者と企業のあらゆる事業活動を“アイデア”で活性化させる未来創造グループに所属。マーケティングを起点にした 新規事業開発、新商品開発、店舗開発のプランニング及びプロデュースなど、 チーフプランナーとして活動。2016年4月に株式会社TBMに入社。

——美しい石灰鉱山の写真など、ビジュアルが効果的に使われていますが、どんなところをポイントにしながら制作していますか?

笹木 もちろんベンチャー企業ですから、信用や信頼を獲得していくために企業情報をわかりやすく伝えることも大切ですが、ウェブサイトを最初に企画する段階で大きなテーマとなったのは、私たちの次の時代に架ける想いをどう表現するかです。

そのためにビジュアルの力はとても重要でした。抽象的かもしれませんが、ものづくりというヒューマンな事業の性質から、浅いより深いイメージを選び、その1枚のビジュアルからストーリーを感じられものを選択するようにしました。基調となるカラーは白・グレー・黒というモノトーンで、そこに水や森などの自然の要素が効果的に入るバランスをキープしていきたいと考えています。

“世界にインパクトを与えるような素材革命を起こして、1兆円企業まで何があってもやり遂げよう”は私たちの社長の口癖ですが、私たちの想いが顕在化したウェブサイトはおかげさまで評判もよく、こちらをフックにして毎日のように企業の方からお問い合わせをいただいています。

新オフィスの会議室のコンセプトは“時代を超える架け橋”

——クリエティブの一貫性にもこだわられていて、工場で使うラベルやセールスツールだけでなく、今度移転する新しいオフィスにもブランドを感じる設計やアイデアが採用されるそうですね。

笹木 そうなんです。設計を担当されるのは、9.11犠牲者を悼む記念碑を手がけたNY在住の建築家・曽野正之さん。ライメックスという石の新素材から未来を創造していく企業ですので、石に対してインスピレーションを持たれている方にお願いしたくて、こちらからお声かけしました。

TBM=Times Bridge Managementの”100年後も事業を創り、時代の架け橋となる会社にしたい”という私たちの想いに共感していただき、曽野さんにはそのTimes Bridgeをコンセプトにして新しいオフィスづくりに取り組んでいただいています。曽野さん自ら石灰鉱山に行って石を選定。オフィスのエントランスで、石灰石のオブジェをお披露目する予定です。

TBM 新オフィスエントランス完成イメージ

——そのコンセプトは、エントランス以外のところにも?

笹木 例えば3つの会議室があるのですが、PAST・PRESENT・FUTUREと会議室のテーマを設定して、テーマに合ったビジュアルを曽野さんともディスカッションしながら選んで配置する予定です。過去のイノベーションや培ってきた伝統の延長線上に今があって未来がある。そして私たちが時代を超えてその架け橋をつくっていくことを感じ取れる空間になればと考えています。

 

ボーダレスのビジュアルが世界をつなぐ

——今後、どのようなコミュニケーションを展開していく予定ですか?

笹木 ライメックスという新素材ブランドをメッセージとして届けていくために、イベントなどにも積極的に参加していく予定です。そしてすでに国内だけでなく海外展開にもチャレンジしているので、グローバルに考えた時のコミュニケーション活動として各国ごとにぶれずに伝える手法が課題になると思います。そうした時にある意味、ビジュアルはボーダレスですので、ますますビジュアル・コミュニケーションが重要になってくると感じています。

<LIMEX Webサイトに掲載の紹介ムービー>

出典:地球を救え!石灰石からつくる革命的新素材「LIMEX」

企業の想いをかたちにするのは、容易いことではありません。でも、その想いやブランドイメージに合うビジュアルをコンテンツに採り入れ、コミュニケーションに活用していくことで、想いをより伝わるかたちに変えていくことができるのではないでしょうか。石で地球の素材革命をビジョナリーに起こしていくベンチャー企業TBMの日々の挑戦を通して、コミュニケーション活動と企業活動をリンクさせる大切さを実感しました。

本記事は、同テーマで連動したセミナーも開催されました。
※本セミナーは終了しております。

セミナー概要

「新素材LIMEX」のTBMと「earth music&ecology」のストライプインターナショナルが語る『ビジネスを伝えるビジュアル力と、社員を繋ぐコミュニケーション術』

日程:
2016年10月18日(火) 14:30〜17:30
会場:
株式会社アマナ 天王洲オフィス/T2ビル(品川区東品川2−2−43)
参加対象:
経営企画/人事/コーポレートコミュニケーション/広報/宣伝の担当者
参加人数:
50名
参加費:
無料
詳細:
株式会社アマナ ニュース

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