スケジュールを押さえるのが難しいうえに、撮影時間も限られ、簡単にはいかない社長の撮影。撮影が決まれば、当然気合いが入りますよね。とっておきのフォトグラファーを手配して、スケジュールもしっかり調整、当日の撮影の流れもバッチリ!その結果、狙い通りの写真を手にできれば言うことはありません。
ですが、良い写真が撮れたからといって、その写真をWebサイトや社内報など複数のメディアに流用しようとしているとしたら‥ちょっと考え直した方がいいかもしれません。安易な使いまわしは、思わぬデメリットを生むことがあるからです。
社長の写真を使いまわすデメリットに触れる前に、社長の写真が持つ効果について、あらためて整理してみましょう。
社長の写真は一般社員のポートレートとは影響力が違います。服装や表情、髪型、撮影場所など、ビジュアル化された企業トップの情報は企業のイメージに直結します。インタビュー記事などでも、社長の表情ひとつから消費者や株主に対する姿勢・温度感をうかがい知ることができますよね。
また、関連記事「儲かっている会社のWebサイトに共通する写真と、驚きの効果!」でもご紹介しているように、業績が安定している企業ほど、自社のWebサイトに社員・役員の写真を掲載しています。企業価値を高めるうえで、社長の写真は欠かせない要素なんです。社長の写真が持つ効果、影響の大きさを、あらためてお分かりいただけるのではないでしょうか?
さて、社長の写真の使いまわしには具体的にどんなデメリットがあるのでしょう? なかには、「構図も決まっていて表情もバッチリ!なのに、なぜ?」、「苦労して良い写真を撮ったのだから、いろいろなメディアで使いたい」という方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、社長の写真を掲載するうえでクオリティは大切です。ただそれ以前に、社長の写真を掲載する媒体には、下のようにそれぞれの目的・訴求イメージがあるはずです。
それぞれの媒体で異なる目的があるのに同じ写真を使ってしまったら、どれも同じ印象になり、目的に合わせた訴求ができませんよね。
具体的に、各媒体別の特徴を見てみましょう。
まず、多くの人が目にするコーポレートサイトは、まずリーダーシップや安心感がポイントです。多くの人がイメージするいわゆる「社長の写真」、オーソドックスなポートレートがいいでしょう。撮影場所を工夫すれば、カジュアルな雰囲気などその会社ならではの色を出すこともできます。
では、それと同じ写真がアニュアルレポートや社内報に流用されていたらどうでしょう? 株主や取引先の方は、表情の変化の乏しいポートレートから、よそよそしさや不誠実な印象を受けるかもしれません。同じ写真が使いまわされていることによって、「怠慢な企業」というイメージにつながる可能性もあります。アニュアルレポートでは、熱心に説明している姿など、ステークスホルダーに対する誠実な姿勢や信頼感が伝わる写真がおすすめです。
仮にあなたがその会社の社員だったとして、社長インタビューが掲載された社内報を手に取り、最初に目に飛び込んできたのが変わり映えしないポートレートだったら、「また、この写真‥」と、がっかりして読み進める気も削がれてしまうのではないでしょうか? 普段見ることの少ない意外な表情や、プライベートを垣間見せることができれば、大企業でも社長をより身近に感じてもらうきかっけになるかもしれません。
また、カジュアルに運営されることの多いSNSでは、社長が登場する機会は少ないかもしれませんが、コーポレートサイトの簡易版のような挨拶を載せてみたり、新商品のPRを社長自ら行ってもらったりするのも、消費者に向けたPRとしてひとつの方法です(社長のポートレートの撮り方は、「社長のポートレート写真撮影でやってはいけない4つのこと」でご紹介しています)。
では、どのように違いを出すと効果的なのか、実際にコーポレートサイトとアニュアルレポートで異なる写真を使用している企業の事例を見てみましょう。
上記のように、各社、コーポレートサイトとアニュアルレポートでは、雰囲気の違う写真で企業訴求を行っています。ほんのすこしの違いでも、その細やかな姿勢から企業力が伝わってきますよね。
「クオリティの高い写真が撮れた」と思っていても、目的が変わればクオリティの意味合いは変わってきます。1枚の写真にこだわらず、シーンや季節ごとにさまざまな社長の写真を目的にあわせて掲載してこそ、活気や勢いのある企業というイメージを与えることもできるんです。
注目を集めやすい社長の写真は、クオリティと同時にバリエーションが大切です。無難な写真を使いまわして結果的に企業イメージを下げていては、せっかく苦労した撮影も水の泡。何かと大変な社長撮影ですが、目的を見据えたうえで、やはり、できればその都度撮り下ろしに臨みたいものです。
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