一眼レフ動画をPhotoshopで編集するメリット・デメリットとは

YouTubeやSNSによって、身近になった動画コンテンツ。これまでスチール撮影をしてきたフォトグラファーにも動画撮影が求められることも。そんなときに役立つPhotoshopでの動画編集のメリット・デメリットを写真家・茂手木秀行さんが紹介します。

※本稿は、2016年7月22日(金)に開催された「一眼レフで動画撮影&フォトショップで編集」講座の導入説明会の内容を元に作成しています。

動画を知り、慣れるための第一歩は「ワンマンオペレーション」

セミナー講師の茂手木秀行さんは、「ターザン」や「ブルータス」など人気雑誌のフォトグラファーと活躍された、デジタル撮影・編集の第一人者。そんな茂手木さんが最初に触れたのが、「ワンマンオペレーション」というキーワードでした。

茂手木 「スチル撮影に慣れたフォトグラファーの方なら、撮影のライティングはお手のものだと思います。でも、動画はやらなくてはいけないことが多い。動画の制作は分業が基本ですが、まずは撮影から編集まで全て1人でやってみる、『ワンマンオペレーション』を体験するのがおすすめです。全体的にかかる時間や作業ボリュームが分かり、どう分業するかも見えてきます

分業が中心の動画制作に慣れるためには、まずは一度全部自分でやってみること。その点からも、スチル撮影が中心だったフォトグラファーにとって、Photoshopで編集作業できる(=新たなソフトの習得を頑張らなくて良い!)というのは、何よりやる気につながりますね!

Photoshopの機能&メリットとは?

続いて、「Photoshopを使って実際に動画を編集されている方はいますか?」という茂手木さんの呼びかけに対して、手を挙げた参加者の方は1人‥‥やはりPhotoshopによる動画編集は、まだまだ一般的とは言えないようです。

 

「プレミアで編集をなさっている方?」との質問には、多くの参加者が手をあげました。

 

数多くの動画編集ソフトがある中で、Photoshopを使うメリットはどこにあるのでしょうか?

茂手木一番大きなメリットは、色が補正しやすく、自分だけの色を作りやすいこと。動画編集ソフトの場合、色の調整には「輝度」や「色差」といった要素が関わってきますが、Photoshopの色の基準は「RGB」。写真の編集と同じように、色のバランスをチェックしながら細かく調整できるんです」

なるほど! クオリティの高い動画を作るうえで「色」はとても大切な要素。それが、使い慣れたソフトで自由に表現できるなんて、スチル撮影を中心に仕事をしてきたフォトグラファーにとってとても心強いですね。さらにPhotoshopにはプラスアルファのメリットがありました!

茂手木16ビットで動画を書き出しできるのもPhotoshopの強みです。動画編集ソフトは8ビットのため、ちょっと修正しただけで色が崩れることがあります。それに対してPhotoshopならモニターに表示された色をそのまま出力することができます。また、ノイズや不要物を除去しやすいのも特徴で、シャープネスの機能も実はPhotoshopが一番充実しています

色の表現や書き出し、補正などは動画編集ソフトよりPhotoshopにアドバンテージがあるようです。動画専門のソフトではないのにこれは意外! しかし一方で苦手なこともあるようです。

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Photoshopによる動画編集、デメリットは‥‥?

茂手木ファイルの書き出しが遅いのがPhotoshopの弱みです。動画編集ソフトよりも書き出しに2〜3倍の時間がかかることもあります。レイヤーの少ない動画ならそれほど影響はありませんが、フィルターを多用した4K動画などの場合は注意が必要ですね」

クオリティにこだわる場合はPhotoshop、スピードが必要なときは動画編集ソフトを使うと良さそう。Premiere Proなどの動画編集ソフトで全体を制作し、色の調整をPhotoshopで行うというやり方もあるそうです。メリット・デメリットをしっかり理解していれば、作業効率にもつながる効果的な使い分けもできそうですね。

Photoshopによる動画編集、最初につまずくポイントは?

動画編集でPhotoshopを活用するメリット、デメリットについて理解をした後は、いよいよその編集方法の紹介です。

茂手木 「まずはファイルを開きたいのですが、MP4などの動画ファイルをダブルクリックしても、Photoshopで開くことはできません。実は一番多くの人がつまずくのがココ。最初のステップなんです」

え・・? 開けない? これではつまずくもなにも、「Photoshopで動画編集作業はできないのか」と思ってしまいますよね(笑)どうやら、開き方にポイントがあるようです。

茂手木 「Photoshopで動画を開くためには、Photoshopのアイコンに動画ファイルをドラッグ&ドロップすればいいんです。」

まさかのドラッグ&ドロップ‥‥! これが知れただけでも参加してよかったと思いました(笑)さて、実際の編集作業では、どんな点に気をつける必要があるのでしょうか?

茂手木 「Photoshopに慣れている人ほどコマンドを使うことが多いですよね。それ自体は問題ないのですが、例えば動画の色を調整する場合、いつものショートカットを利用すると、動画の中に一瞬フラッシュのような光が入ります。これは1秒間にある30フレーム中、1フレームだけに色の変更が適用されるためです。これを避けるために、調整レイヤーから色調整を行うことが必要になります」

なるほど。日ごろ使い慣れたPhotoshopとはいえ、動画編集ならではのお作法があり、押さえておくべきポイントも多いんですね!

動画編集に思った以上のメリットをもたらすPhotoshop。わたし自身、このセミナーに参加するまでは「動画編集=専門の動画編集ソフト」と思い込んでいたので、まさに目からウロコ。Photoshopの活用は、一眼レフによる動画撮影で差をつける一つのポイントかもしれません。

ただ実際の動画編集にPhotoshopを役立てるためには、やはり知っておくべき知識があるのは事実。参加者の多くがフォトグラファーだったように、昨今の一眼レフ動画需要に応えるためには、こういったセミナーに参加するなど、制作側も勉強する努力が必要なんですね……

※本セミナーは「一眼レフで動画撮影&フォトショップで編集」講座の導入説明会として、2016年7月22日(金)に開催されました。

Profile

プロフィール

茂手木 秀行

1962年、東京都大田区生まれ。1986年、日本大学芸術学部写真学科を卒業後、マガジンハウス入社。以来24年間フォトグラファーとして雑誌「クロワッサン」、「ターザン」、「ポパイ」、「ブルータス」を経て2010年フリーランスとなる。

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