空撮を成功させる、ドローン撮影のプロの掟

撮影機材の急速な普及によって、ますます注目を集めているのがドローンでの空撮です。しかし、さまざまなトラブルも相次いだため、航空法の一部が改正され、新たなルールが定められました。CMやPVに、ぜひドローンで撮った映像を使ってみたいけれど、どうも手を出しづらい・・という方も多いのでは? まずは、ドローンの特性や撮影のポイントを正しく把握しましょう。

企画する前に知っておきたいドローンのこと

アングルは自由自在

ドローンといえば空撮ですが、撮影ができる領域は広く、地面すれすれの低空域から地上150メートルの高空域まで自由なアングルで幅広い撮影に対応することができます。

搭載できるカメラがちがう

個人でも手軽に空撮ができるドローンですが、CMやPV、映画の撮影クオリティに対応できる機材をドローンに搭載できる会社は、国内では数社に限られます。

飛行時間はかなり短い

ドローンの機種にもよりますが、大型カメラを搭載する場合には、連続飛行時間は冬場で3分、夏場で6分程度です(気温が低いとバッテリーの消耗が早くなります)。もちろん撮影ポイントまでの移動時間も考慮すると、実際の撮影可能時間はさらに短くなります。ドローンのバッテリー残量を余裕を持って確保し、安全な撮影を心がけることが大切です。

強風と雨は苦手

一般的に、カメラが安定した状態をキープできるのは風速4〜5メートルくらいまで。動画か写真撮影かによっても対応が異なります。また、風が吹いているとドローンは、自ら機体を維持する機能によってパワーを使い続けるため、バッテリーもその分、消耗することになります。もちろん雨の場合には、防水性などの問題で飛行は困難です。

飛行環境だけでなく電波環境も

ドローンの操縦だけでなく、バッテリーや高度などの情報把握、撮影しているモニター映像の受信など、ドローン撮影には空と地上での電波のやり取りが欠かせません。そのため、ロケ地の電波環境には神経を使います。飛行するにあたっての障害物だけでなく、電波の妨げになるものがないかをあらかじめ確認する必要があります。たとえば、旗を掲揚するポールや鉄筋のたくさん入っている建物なども、電波を妨害する障害物になることがあります。

改正航空法を遵守して

昨年12月、改正航空法が施行され、都心などの人口が集中する地区の上空では、原則としてドローンの飛行は禁止されました。また、ドローン撮影を行う場合には、事前に国土交通省に申請し許諾を得る必要があるため、その期間もあらかじめ考慮しなければなりません。

撮影までに注意したい大事なポイントは?

では、スムーズな撮影を行うためにはどのような準備をすればよいのでしょうか? そこには従来のロケとはちがう、ドローンを使った撮影だからこそ実践したいポイントがあります。

企画段階から撮影スタッフに参加してもらう

ドローン撮影の基本がわかっていても、経験を積んだスタッフでないとわからないことがたくさんあります。ロケ地の選定などが始まる前の企画段階からドローン撮影のスタッフが加わることで無駄なくスムーズに、より魅力的な企画を立てることができます。

ロケハンの際にもドローンを飛ばしてみる

一般的な地上のロケハンとは異なり、空撮の場合には上空から見て初めて何かに気がつくことがよくあります。たとえば、地上からは立派な建物なのに上から見たらイマイチだったとか、屋上に古いエアコンの室外機が雑然と並んでいたとか・・。小型のドローンでよいので、十分なアングルハンティングを行いましょう。撮影の精度と映像のクオリティを高めることができます。

ロケ地の近隣にはしっかり事前に通知を

トラブルを避けるためにも、ロケ地の周辺に住宅がある場合には、案内書を投函するなどして、撮影を行うことをあらかじめお知らせするよう手配します。いつどこで、何の撮影で、どんなことを行うか、お宅は撮らないのでご安心を、など。管轄の警察署にも事前連絡しておくとよいでしょう。

どうしても空撮というと、上空から俯瞰する映像ばかり思い浮かべてしまいますが、自由に移動できるドローンなら、狭い室内をすり抜けるスリルのある映像や、低空をすべっていくような滑らかな映像など、これまでの機材では再現が難しかった映像表現ができます。魅力的な作品に仕上げるためにも、ドローンの特性をきちんと把握してから撮影に臨みましょう。

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