統合型マーケティングにおけるビジネスケースの構築方法

Urupong

統合型マーケティングが与えるビジネスへの明確な影響と、成功した場合によって生み出される成果についてはすでにご理解いただいていることでしょう。次のステップは、リーダーシップとマーケティング組織全体から賛同を得ることです。

賛同を得るために重要な一部の観点は、ビジネスケースを構築し、ビジネスの理想的な状態を教育し、伝道し、擁護し続けることです。統合型マーケティングのコラボレーションの性質により、支持者とクロスファンクショナルなサポーターが必要になります。ここでは、プロセスを容易化するために、主要な意思決定者と利害関係者に提示するビジネスケースに必要なすべてのリソースを含む、決定版リストをまとめました。

アーキタイプにもとづくビジネスケース

あなたが実践する大部分は、変更管理です。この慣行は、多くの場合、利害関係者の影響調査、ワークショップ、そしてプロセスの設計を担当する経営コンサルタントに関連しています。変更管理とは、組織を変更に備えさせるために実装された、あらゆるタイプのプロセスを表す包括的な用語です。

組織内の人々は、諸要素の中でもっとも難しく、もっとも重要な部分です。 人間は非常に複雑ですが、中には変化に受容的な人もいます。変更管理コンサルタント企業のNoblによると、賛同を得るために3タイプの利害関係者に直面する可能性があると言います。これらの原型は、チャンピオン、日和見主義者、皮肉屋として大まかに分類されます。ここからは、それぞれのタイプで期待できること、自分の味方に付ける方法を詳しく説明します。

1. チャンピオン

このグループは、理想的な状態からインスピレーションを得て、物事は変化する可能性があり、変化するはずだと信じています。そして、その過程であなたをサポートするでしょう。バイインから実行までの過程でこのグループを関与させ、何れかの統合型マーケティングにおける変更またはプロジェクトの共同所有者にしましょう。彼らを教育し、攻撃材料を提供して、組織全体に統合型マーケティングを拡散させ、より多くのチャンピオンを見つけて参加の手助けをします。このようなタイプの人々はあなたのタイガーチーム(特定の項目を検討する専門家チーム)に適した素晴らしい候補者になるでしょう。

2. 日和見主義者

このタイプに該当する人々は、統合型マーケティングが機能していることを確認するまで待機してから関与するタイプです。ですから、彼らに早期の勝利または成功を示し、関与することについて彼らがワクワクするように仕向けてください。このグループがプログラムに興味を示し始めるまでにある程度の教育が必要です。彼らは十分な情報がある、またはプログラムに前向きな勢いがあると感じたときに参加します。必ずしも変化の支持者ではありませんが、立証済みの成果によって彼らを説得することが重要です。

3. 皮肉屋

皮肉屋は名前の通り、参加させるのがもっとも難しい人々であり、統合型マーケティングプログラムを実装するのに一番大きなハードルとなる可能性があります。彼らは、懐疑論や同様のイニシアチブで悪い経験によって、変化に抵抗します。そのため、ここでも政治的議題や変更案によって全般的な恐怖感を抱くなど、その他の要因が関係している可能性があります。否定論者を却下するのは簡単なことですが、変更を成功させるための重要な側面は、全ての従業員、とくに抵抗感を抱いている人々(場合によっては、そのような人々は組織内で高いレベルの権限を有する可能性があります)に参加してもらうことです。この課題を乗り越える優れた方法は、彼らに重要なリーダーシップ的な役割とオーナーシップ(所有者)の感覚を与えることです。

チームにもとづくビジネスケース

部門または機能ベースでの統合型マーケティング向けにビジネスケースを提示する際のガイドは次のとおりです。

コンテンツチーム

マーケティング組織の設定方法によっては、コンテンツ、クリエイティブ、またはコンテンツマーケティングチーム(別の機能の場合)も参加してもらう必要があります。 彼らがまだ参画していない場合、あなたの最大の支持者になる可能性があります(そして、そうなってもらうべきです)。彼らは、その組織のコネクタ(連携要素)として、コンテンツの価値を理解していますが、コンテンツ制作に関して、重複する無駄を苦痛に感じています。そして、プロアクティブなプランニングとスケーリングが、事後対応型のアドホックコンテンツ制作よりも優れていることを知っています。コンテンツがすべてのチャネルをまたいでカスタマーエクスペリエンスを結び付けることがわかっているため、統合型マーケティング組織の価値提案を高く評価することでしょう。このようにコンテンツ制作に取り組むことで、彼らの仕事をより効果的かつさらに効率的に実行できるのです。

セールスチーム

統合型マーケティングは行動を促進します。Gartnerの調査によると、4つ以上のデジタルチャネルを統合するキャンペーンは、シングルチャネルまたはデュアル チャネルのキャンペーンを300%上回るそうです。マーケティングに統合型アプローチを含める最大の利点の1つは、(統合型マーケティングは)購入に至るまでの顧客体験をサポートできることです。フルファネルの統合型キャンペーンは、コンテンツがファネルにおける各タッチポイントとステージに合わせて調整され、バイヤージャーニー全体にわたって顧客を育成し、最終的にはセールスに利益をもたらす大きな効果を持っています。

ソーシャルチーム

ソーシャルチームのメンバーは、統合型マーケティングの施策を強化するにあたって優れた候補者です。ソーシャルチームへの売り込みは、統合型アプローチはすべてのソーシャルチャネルが一貫性のあるホリスティックなナラティブで活用されることを示すことです。ソーシャルチームを諸要素に取り入れることにより、コラボレーションが促進し、彼らがコンテンツ配信の中心になる助けとなります。キャンペーンのプランニングから相談を受けるようになるため、アセットとコンテンツの制作が効率化され、チャネル全体の一貫性が高まります。

ヒント: すべてのチームと統合型マーケティングを実現するために、一元化されたテクノロジーを活用することを検討してください。ソーシャルのコンテキストでは、すべてのチャネルを1つのプラットフォームに接続させることを意味し、これによってソーシャルチームは、個々のプラットフォームではなく、NewsCredのコンテンツマーケティングプラットフォームなどの単一のシステム上で簡単に作成、設計およびスケジュールを設定できます。詳細については、デモをリクエストしてください。

企業のコミュニケーション

とくに製薬や金融サービスなどの規制の厳しい業界において、コミュニケーションチームおよびPRは評判、ブランドの保護、そして完全性の維持をつねに気に掛けています。彼らの仕事は、一般の人々、メディア、投資家、そして従業員の目にその組織を好意的に提示することです。統合型マーケティングは、ブランドの完全性を保持するのに役立ちます。承認されたメッセージングとブランド要素を一貫して使用することは、企業のコミュニケーションアジェンダに影響を及ぼすからです。統合型マーケティングは、ブランドの評判と利害関係者の関与に数多くの見返りをもたらす、低リスクの取り組みであることを示してください。

ブランドチーム

統合型マーケティングは、大規模で統一されたストーリーテリングを通じてブランドを高めます。企業のコミュニケーションと同様に、ブランドチームは、統合型マーケティングが一貫性のあるメッセージングとブランドのポジショニングに及ぼす良い影響について興味を持っています。彼らへのセールスポイントは、コラボレーションを強化することで、マーケティング組織が統合型キャンペーンを実行できるようになり、市場での声のシェアが増えること。統合型マーケティングの規模により、ブランドが消費者の目に留まり、気付かれ、注目される可能性が高くなり、ブランドの構築につながります。また、ガバナンスは、ブランドチームにもたらされる重要なメリットです。メッセージングや価値観からカラーやフォントに至るまで、ブランドのガイドラインを順守することは、強力なブランドを維持する重要な側面です。

マーケティングオペレーションチーム

マーケティングオペレーションは、マーケティング組織によるテクノロジーとデータの使用方法に関する戦略とエクセキューション(実行)を主導しています。彼らの目標は、マーケティングチームが市場、ビジネス戦略および顧客行動の変化に迅速に適応できるようにすることです。このチームは、統合型マーケティングと潜在的なチャンピオンにとって主要な利害関係者グループの1つになる可能性があります。彼らは、組織がより効率的で、収益性が高く、説明責任を果たすために役立つソフトウェア、テクノロジーおよびツールに関心を持っています。そのため、組織の統合型マーケティングを容易にするソフトウェア(たとえば、コンテンツマーケティングプラットフォームなど)の実装を支援できるのです。彼らの仕事は、市場のトレンドや要件を先取りし、マーケティング組織を可能な限り効率化することであるため、このビジョンを促進するのに役立つあらゆるプロセスやツールが歓迎されるでしょう。

ケースの構築に役立つ統計

説得すべきさまざまなチームへ統合型マーケティングを実装する方法をお伝えしたところで、ビジネスケースに組み込み、価値を実証するために役立つ統計をいくつかご紹介しましょう。

カスタマーエクスペリエンス

  • マーケターの52%は1つ、またはそれ以上のチャネルにわたってリアルタイムで顧客とエンゲージメントしています。 (Salesforce
  • オムニチャネル戦略を実行している企業は、顧客満足度が23倍向上しています。 (Aberdeen Group
  • 消費者の73%が複数のチャネルで買い物をしています。(Harvard Business Review
  • 統合型およびカスタマイズキャンペーンは、非統合型キャンペーンより57%効果がありますが、測定されたキャンペーンの半分未満が統合およびカスタマイズの両方が行われていました。(Kantar Milward Brown)

ガバナンス・技術運用

  • 大規模なチャネル全体で顧客をエンゲージさせる既存の能力に完全に満足していると回答したマーケターはたったの28%です。 (Salesforce
  • 73%の回答企業が会社の部門が連携していないと回答しています。(Wunderman Thompson)
  • マーケターの60%が7〜20以上の異なるマーテックベンダーを使用しています。 (Gartner Marketing Symposium
  • マーケターの83%は、顧客データが組織内の複数のシステムに存在し、サイロ状態であると述べています。(Gartner Marketing Symposium
  • マーケターの78%は、マーケティングテクノロジーが連携することを望んでいますが、それを実現できていません。(Gartner Marketing Symposium
  • 組織がすべてのコンテンツアクティビティとリソースを管理するフォーラム、ポリシーおよび手順を備えた完全に機能するガバナンスモデルを持っていることに強い同意を示した回答企業はたった27%でした。(Accenture

ブランディング

  • 顧客の90%は、チャネル間で一貫したブランディングのインタラクションを期待しています。 (V12データによる
  • ほぼすべての組織にブランディングガイドライン(95%)がありますが、一貫して実施されている正式なガイドラインがある組織は4分の1にすぎません。(Lucid Press
  • 統合型キャンペーンは、ブランド構築において31%より効果的です。(Kantar Milward Brown)

業績

  • 調査により、さまざまなチャネルで一貫性のあるメッセージを目にしている消費者は、購入意思が90%向上することが示されています。(IAB
  • マーケターの93%が成果を促進するためにはマーケティングチームと分析チーム間のコラボレーションが不可欠であることに同意しています。 (ThinkWithGoogle
  • オムニチャネルの顧客エンゲージメントが非常に強い企業は、オムニチャネルが弱い企業である3.4%と比較して、年間収益が前年比で9.5%増加しています。 (V12データによる
  • 「インテグレーター」であるマーケター(統一されたデータとクリエイティビティのあるマーケター)は、S&P 500企業の平均2倍の割合で収益を伸ばします。少なくとも年間で10%対5%です。(McKinsey

予算・効率・無駄

  • 企業は、コンテンツ関連の活動に年間1億5,000万ドルから2億5,000万ドルを費やしています。(Accenture
  • Rakuten Marketingが世界中の1,000名のマーケターを対象に行った調査によると、回答者は、効果のないチャネルと戦略に予算の平均26%を浪費していると推定しました。(eMarketerによる)
  • CMOによるデジタル メディア投資の25%がターゲット オーディエンスに到達するため、200億ドルを超えるマーケティングの無駄、非効率性および無効性を示しています。(ANA
  • 作成された全コンテンツのうち20%が配信されていません。(Accenture

元記事「How to Build a Business Case for Integrated Marketing 」は2019年7月23日にInsights.newscred.comに掲載されました。

この記事は、NewsCred BlogのLieu Phamが執筆し、Industry Diveのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。

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