統合型キャンペーンを開始するには(パート3/3)

これは、コンテンツマーケティングの統合型キャンペーンに関する3部編成のシリーズです。パート1では、コンテンツマーケティングへの統合型アプローチ向けのビジネスケースを構築。パート2では、NewsCredの視点から、キャンペーンのベストプラクティスを提供しました。パート3では「キャンペーンを開始する方法」のガイドから、バイイン(承認)の取得方法、新しいチームとのコラボレーション方法、適切なプロセスの確立方法等、よくある質問にお答えします。


統合型キャンペーンについて、どこから着手するべきかよく分からないと思っているのは、あなただけではありません。

理想は、マーケティング組織全体で調整されたキャンペーンカレンダーを作成・実装するためのベストプラクティスとなるプランニングモデルを導入することです。それによって、アセットの再利用、クリエイティブなアイデアの共有、そして承認取得の合理化の好機をより適切に特定することができます。ただし、これをマーケティング組織全体に適用させるのが困難な場合があります。

3部編成シリーズの最終回では、統合型キャンペーンを成功させるために戦術的なプレイブック「統一されたオムニチャネルキャンペーンへの道のりで役立つ7段階のプロセス」を提案します。

1. タイガーチームを編成する

タイガーチームとはNASAにより考案と着想されたものです。NASAは、通常のチーム以外のエンジニアリングと安全性の問題を解決するために、すべてのNASAセンターの科学者とエンジニアで構成される統合技術チームを設けたいと考えていました。マーケティングに関しては、タイガーチームは、マーケティング組織のさまざまな機能を代表するクロスファンクショナルなチームです。このチームは組織上の変化を先導するために信頼と影響力を必要とするため、通常はリーダーやエグゼクティブで構成されます。

タイガーチームの目標は、サイロを解消するために共有・標準化されたアプローチを形成し、共有された目標と単一のビジョンを通じてコラボレーションを促進することです。このクロスファンクショナルなリーダーで構成されたチームは、統合型キャンペーンの実施とアジェンダの推進に全力を注がなくてはなりません。あなたが責任者であれば、ビジネスケースを構築し、仲間を教育し、マーケティングに対する統合型アプローチに向けて仲間をチャンピオンやエバンジェリストに変えるための知識と特質で仲間を武装させましょう。念のため、統合型マーケティングキャンペーンに投資することがどれだけ役立つかを説明してください。

  • マーケティング組織全体の運用有効性と効率を向上させる
  • サイロを崩壊させ、コラボレーションと効率を促進する
  • 組織内のチャンピオンオムニチャネルマーケティングにする
  • コンテンツをすべてのビジネス資産と同様に管理の必要がある資産として位置付ける
  • エンタープライズマーケティングに対して、より戦略的で洗練された(高度な)アプローチを採用する
  • 消費者向けにシームレスで一貫性のあるエクスペリエンスを形成する

2. 新たなプロセスを導く

タイガーチームの最初のタスクは、統合型キャンペーンのパイロットを作成することです。

全員が協力して、新しい働き方をテストできるキャンペーンが迫っていると考えてみてください。可能であれば、キャンペーンのアイデアのインスピレーションを得るために、既存の年次および/または四半期毎のマーケティング戦略を見直しましょう。

今後のイニシアチブを決定したら、統合型キャンペーンを実装するために、次の手順を実行するかどうかはタイガーチーム次第です。私たちがこの最初の試みを「パイロット」と呼んでいるのには理由があります。多少の問題は想定されますが、最終的には、マーケティング組織にとって何がうまくいって何がうまくいかないか、将来のキャンペーンに向けたプロセスをどのように改善できるかを学ぶ機会とするためです。

3. 文書化されたガバナンスを展開する

サイロを破壊するタイガーチームを結成したら、基本ルール、共有のビジョン、ゴールを確立し、どのように協力するかを決めてください。これに該当する別の言葉はガバナンスです。ガバナンスは、プロセスとワークフローを設定するための構造化されたアプローチを提供し、チームが継続的にキャンペーンとコンテンツを実行できるようにします。サイロから合理化された運用へと移行するために必要なシステムと構造を提供しなくてはなりません。

ガバナンスはコンテンツ運用の中核であり、人(利害関係者と意思決定者)、プロセス(ガイドラインとポリシー)、そしてプラットフォーム(滞りなく実行するために必要なテクノロジーとシステム)の3つのカテゴリーに分類できます。ガバナンスはすべての組織にとって固有ものであり、既存のスキルとリソースを考慮しなくてはなりません。時間をかけて明確なガバナンスを確立できれば、チームは、リスクを管理し、コストを削減し、インフラストラクチャを編成し、カスタマーエクスペリエンスを向上させてエンゲージメントを向上させながら、効率よくゴールを達成できるようになります。

キャンペーンのガバナンスと全体的なマーケティング活動を文書化するには、カレンダー、タクソノミー、ワークフロー、目的、ガイドラインおよびツールを共有してください。統合型キャンペーンを作成するために標準的な構造を設けることは、以下のようなプラスの影響をもたらします。

  • リソース: チームが自分たちで可能な範囲よりもはるかに幅広いリソースのプールを利用できるようになる
  • アジリティ: ライブキャンペーンの頻度を増やし、容易に継続的な改善ができるようにする
  • アカウンタビリティ: ローカル市場がブランドの価値と基準を遵守していることを確認する
  • エフィシェンシー(効率性): 市場投入までの時間を短縮し、より効率的に作業し、重複作業を回避するための標準的な方法を提供する

4. 先を見越して計画を立てる

先を見越してプランニングすることは、1回限りのコンテンツを作成するのではなく、統合型キャンペーンの施策をサポートするコンテンツ計画を作成することを意味します。

タイガーチームまたはセンターオブエクセレンスは、年次および四半期毎のプランニングセッションを実施しなくてはなりません。年次計画により、チームがその年の優先順位や主要なテーマと足並みを揃えることができるようになるためです。このテーマは、ビジネスをより広い焦点へと向上させ、各四半期の包括的なマーケティング目標に合致します。アウトプットには、主要なキャンペーンのカレンダーの概要、目的、テーマ、利害関係者(およびワークフロー)、そして割り当てられた予算を特定する個別のブリーフが含めてください。これは、コンテンツのニーズを知らせる際に役立つだけでなく、経営幹部とより広範なマーケティング組織の両方に不可欠な見通しを提供します。

次に、年間カレンダーを活用して、四半期毎のコンテンツプランニングセッションを知らせましょう。これにより、キャンペーンのライフサイクル全体で再利用できるサステナブルなコンテンツを優先して、アドホックなコンテンツを制限します。四半期ごとのセッションは、次の四半期が始まる前にスケジュール化し、計画と実行の時間を十分に確保してください。年次のプランニングセッションで特定されたより広範な統合型キャンペーンイニシアチブに沿った特定のアイデアを、ブレインストーミングするフォーラムにする必要があります。計画されたすべてのコンテンツは、共有のエディトリアルカレンダーに表示しなければなりません。

プランニングモデルは、今後のキャンペーンを考慮しながら、コンテンツの配信リズムと論理的根拠を確立するのに役立ちます。毎週、毎月、四半期ごと、そして毎年のプランニングセッションは、今後の施策についてマーケティング組織全体でコンセンサスを確立し、その過程において利害関係者の承認を得るのに役立ち、推奨されている試みです。

ヒント: 統合型キャンペーンをサポートするコンテンツを計画するときには、戦略に幅広いフォーマットとチャネルを組み込み、スケーラブルかつ費用対効果が高く、各々のチャネルに適した適切なコンテンツを利用しましょう。何よりも重要なのは、統一されたカスタマーエクスペリエンスを心がけることです。

5. キャンペーンツールキットを構築する

統合型キャンペーンの実行計画を成功させるためには、説明責任のために一連の文書を作成しなければなりません。サポートツールにはどのようなものがありますか? すべての利害関係者が適切なプロセスに従い、共有のビジョンに沿っていることを確認するために、次の文書の作成を検討してみましょう。キャンペーンごとに作成する必要がないように、再利用できるテンプレートを作成しておくといいでしょう。

  • キャンペーンの簡単なテンプレート: すべてのコンテンツには戦略的な意図があり、コンテンツが目標、ペルソナ、ピラー、チャネル、そして購買者のステージにどのようにマッピングされているかを示す文書。キャンペーン関連のすべてのコンテンツには、明確なCTAと測定可能な効果を含めましょう。
  • ユニバーサルタクソノミー(全員に共通する分類法): 文書化されたキャンペーンとコンテンツタクソノミー、いわゆるキャンペーンプログラムの階層構造は、メタタグとキャンペーン要素間の関係性に対する共有の理解をサポートします。タグ付けのルールと共有言語を含む参照資料があると、一貫性のあるタクソノミの確保に役立ちます。
  • ブランドガイドライン: ブランドの歴史、ビジョン、パーソナリテイおよび重要な価値観をまとめたもの。これには、ブランドのメッセージまたはミッションステートメント、トーンオブボイス、ロゴの使用法およびデザイン作業用のカラースキームを記載します。すべての要素にわたる一貫性が統合されたキャンペーンのストーリーラインを統一するうえで重要となり、これをすべて一元化することで、クリエイティブなキャンペーンアセットのブリーフを作成できるようになります。
  • コンテンツポリシー: 編集方針は、ブログ投稿、インフォグラフィック、ビデオ、ポッドキャスト等のすべてのコンテンツタイプの定義と、そのコンテンツのフォーマット、開発、および表示方法が対象です。また、すべての成果物についてフリーランサーとエージェンシーパートナーに概要を伝える方法、クロスファンクショナルチーム(各コンテンツ・タイプのオーナー)の役割と職責を定義する方法、ブランドの文体とベストプラクティスのガイドとして機能します。

6. 統合されたワークフローを展開する

ワークフローは、もっともも過小評価されている運用プロセスの1つです。The Content Marketing Institute (CMI) は、ワークフローがトップのコンテンツマーケターと成功していないコンテンツマーケターとの重要な差別化要因であると述べています。うまくいっているとは言えないと回答した14%に対して、成功しているB2Bマーケターの70%は自分たちのフローが優れている、または非常に良いと評価しました。

キャンペーンのアプローチを特定し、ブリーフを用意したら、次は運用を合理化するための手順を特定しましょう。タイガーチームは、キャンペーン全体とキャンペーンをサポートするために作成する各アセット、両者のエグゼキューションをガイドするワークフローの設計に集中してください。ワークフローを文書化して共有し、チームがプロセスの手順に迅速に実行できるようにしましょう。ワークフローの設計に関して考慮すべきは次のとおりです。

  • そのワークフローは、さまざまなユースケースと作成されたアセットまたはキャンペーンで全過程(主要なアクションの責任者を含む)を考慮に入れたものですか?
  • 他のワークフローへのゲートウェイとなる可能性のある1つのワークフローにおいて、重要なマイルストーン(つまり、潜在的な障害)は何ですか?
  • ワークフローで自分の順番が来たときに、チームメンバーにどのように通知されますか? ワークフローのステップを可視化し、次のステップのオーナーに通知するテクノロジーは導入されていますか?

ワークフローでは、キャンペーンに必要なさまざまなタスクとアセットタイプに加え、何かを公開する前に従うべき承認やプロセスを考慮しなくてはなりません。

7. パイロットキャンペーンの成功を評価する

最初の統合型キャンペーンは、新しいモデルとそのプロセスをテストするための「パイロット」キャンペーンであるため、成功を評価するための基盤を設定する絶好の機会となります。恐らく、オムニチャネルキャンペーンの実行に伴う成功例/成果と(避けられない)課題にもとづいて、反復する必要があります。

あなたのブランドにとって、成功とはなんですか?成功とはキャンペーンのタイプと組織によって異なりますが、何がうまくいったか、何がうまくいかなかったか、次回の統合型キャンペーンをどのように改善できるかを判断するのに役立つ質問の一部を以下にてご紹介します。

  • 最大の障害はどんなことでしたか?あなたのチームはコミュニケーションやクロスファンクショナルな(部門間の)コラボレーション上で問題に直面しましたか?
  • キャンペーンプロセスは、計画から構築、実行まで、どれくらい有効でしたか?パイロットキャンペーンが効率性に欠けていたのは、マーケティング組織が共有カレンダー、キャンペーンタスクの可視性、キャンペーンアセットの保存場所を備えた一元管理型のプラットフォームで作業していなかったからですか?
  • メッセージングは一貫性のあるものでしたか? そのキャンペーンの複数の箇所でコンテンツを再利用できましたか?
  • すべてのターゲットにおいてKPIを達成できましたか? ゴールを達成するために、敏捷にキャンペーンを反復できましたか?

パイロットキャンペーン中にマーケティング組織がコラボレーション、コンテンツ管理、可視性、測定 -に苦戦した場合は、NewsCredのCMPのデモをリクエストして、弊社のプラットフォームがどのように課題解決ができるかをご確認ください。

元記事「How to Get Started with Integrated Campaigns (Part 3 of 3)」は2019年6月19日にInsights.newscred.comに掲載されました。

この記事は、NewsCred BlogのLieu Phamが執筆し、Industry Diveのパブリッシャー・ネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。

また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

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