以前、コンテンツがすべてのマーケティング活動の結合組織になっているという記事を書きました。
これを表現する「ハブアンドスポークモデル」という言葉もあります。
わかりづらいという方は、中心にあるコンテンツハブが、SEO・ソーシャルメディア・PRといった多数のスポークを介して他のすべてのマーケティングチャネルに燃料を供給している“車輪”を想像してみてください。
コンテンツジャーニーはコンシューマージャーニーを反映しているので、これは真実のように思えます。
消費者に届けられたコンテンツは、消費者が購入への意思決定を進める道中で発生するあらゆる質問に答えます。
現代の消費者は、街の看板、インフルエンサーのInstagramページ、テレビなど、さまざまな媒体を経由してブランドに触れるため、ハブアンドスポークモデルはとくに重要です。
顧客がDomino’sに
という絵文字でピザを注文できてしまう今の時代、自身のスマホやコンピュータから実店舗へと移行するときにシームレスなインタラクションを期待しています。
これがまさにオムニチャネルマーケティングです。オムニチャネルマーケティングとは、コンシューマージャーニーが断片化し、非線形であっても、顧客がジャーニーに沿うにつれて、一貫性のあるパーソナライズされたメッセージを組織的に伝えることです。
しかし、ブランドと顧客の関係をシームレスにするだけでなく、取ってほしい行動を促しているかを測定するには何をすべきでしょうか?
オムニチャネルマーケティングで成功しているブランドは、顧客をマーケティング活動の中心に位置づけ、コンテンツを活用してコンシューマージャーニーを効果的に構築・測定しているブランドです。
これを実行するには、オンライン活動とオフライン活動の間にフォローできるユーザープロフィールを持っていなくてはなりません。
コンテンツマーケティングと聞いてパッと頭に浮かぶ、従来型のブログフォーマット以外のチャネルに目を向けてください。
「コンテンツ」とは、顧客に有益な行動を促すために顧客に価値を提供するものです。
しかし、今は素晴らしいブログ記事を書き、それをソーシャルメディアでシェアして、すぐに製品を購入してもらうことが期待できない時代です。
むしろ私たちは、あらゆるインタラクションにおいて、魅力的で価値や一貫性のある体験を顧客に提供すべきなのです。この記事では、効果的なオムニチャネル体験を生み出すための3つの方法を紹介します。
記事・アプリ・ツール・地図など、コンテンツを通じて顧客に価値を提供しているのであれば、彼らは見返りとして喜んで情報を提供してくれるかもしれません。
私が好きなNewsCredのクライアントの一社にBig Heart Pet Brandsがいます。(子犬が可愛いからという理由だけではありません)彼らはThe Nose Printという愛らしい名前のブログを運営しています。
Big Heartは、自社製品の大半が店頭で購入されているにもかかわらず、デジタルマーケティング活動の効果を測定しなければならないという難しい立場に置かれています。
同社は、この状況に対処するために、「パーソナライズされたコンテンツと顧客やペットに対する特別オファー」を約束することで、The Nose Printの訪問者に「パックに参加する(会員になる)」よう勧めています。
このCTAによって、顧客情報を入力することと引き換えに、面白いコピーや可愛い動物の写真といった貴重なコンテンツを保証しているのです。
サインアップして会員になると、Big Heartは顧客が好むコンテンツの種類を学習し、店頭で購入してもらうためにクーポンのような販促資料を顧客に送付できます。
Big Heartは、「愛犬にハイタッチを教える方法」や「美しい猫の目10選」といった付加価値の高い記事に加えて、犬の飼い主が近所でペット可のお店を見つけやすいようにYelpと提携しています。
The Nose Printは、コンテンツを使用して、デジタルの世界にいる愛犬家をオフライン活動の場所に結び付けているのです。
このような思慮に富んだアプローチによって、犬やブランドとの関係全体を考慮して顧客に価値を提供するだけでなく、コミュニティで共感を呼んでいるコンテンツやツールを正確に把握し、それに応じて最適化することもできます。
Big Heartは、オンラインで記事を読むだけでなく、公園で犬を散歩させたり実店舗で買い物したりする人を顧客としています。同社のメンバーシッププログラムは、こうした人々を一貫したオムニチャネル体験に結びつける洗練された方法です。
優れたオムニチャネルマーケティング戦略を実施しているもう一社はNikeです。同社は最近、ニューヨークのソーホーに5階建ての小売店をオープンし、多くの「没入型体験」を提供しています。
Nikeは、顧客の多くが店頭ではなくオンラインで靴を購入している点で、Big Heartとはほぼ反対の課題を抱えています。
WD PartnersのLee Peterson氏によると、Nikeストアの従業員はこのように考えているそうです。「顧客が製品を店頭で買わなくても気にしない。私たちが望むのは、顧客とエンゲージし、顧客の目標達成をサポートすることだ。店頭で販売している製品のほぼ90%がオンラインで購入できるのだから、私たちの仕事は、顧客とブランドとの関係を築くこと」。
マーケティング担当者にとってはおなじみの言葉ですね。
Nikeは、対面/オフラインのコンテンツマーケティング体験を生み出していると言えるでしょう。
Nikeは、新しいエアジョーダンを履いて3ポイントシュートを練習したり、Nike+ Expertを使って自分だけのスニーカーをカスタマイズしたりすることによって、顧客との関係を築いているわけではありません。同社は店内体験をデジタル世界における存在感へとつなげる方法についても考えているのです。
ジャンプシュートをきめたり、シミュレートされたセントラルパークでランニングを行ったりすると、カメラがその動きを追跡し、Nike+アプリに直接転送します。つまり、実店舗での体験をスマホに移すことができるのです。そしてNikeは、パーソナライズされたコンテンツを使って、顧客を購入決定へとさらに近づけることができます。
Nikeは、顧客が一貫した方法でさまざまなチャネルに触れ合えば触れ合うほど、購入する可能性が高まることを認識しています。
Nikeは、常にユーザーの目を自社のデジタルプロパティやソーシャルプロパティに向けさせることで、店内での可能性を広げています。靴底や壁など、店内の至るところに「Nike.com」という文字を目にするのもそのためです。NikeiDステーションで靴をカスタマイズすることで、店舗でのショッピング体験をオンラインに移行させることもできます。
Nikeは、ミュンヘン店でCommunity Wallを構築しました。これを使用すると、スポーツ愛好家のコミュニティとつながり、コンテンツやツールを使ってインタラクションを行うことができます。
顧客が実店舗にいる間、Nikeは、コンテンツとのインタラクションを進めてデジタルプロフィールを充実させるよう促しますが、これは顧客が店舗を後にしてからも、アプリやソーシャルメディアで顧客と連絡を取り合うためです。
顧客とアプリのアカウントを結び付けることができれば、彼らがどこにいてもコンテンツを届けることができます。それによって、顧客との関係を築き続け、購入ファネルに沿って彼らを前進させることができるのです。
オムニチャネルコンテンツマーケティングについて話すなら、REIに言及しないわけにはいかないでしょう。同社は、従来型のブログや記事以外のチャネルに目を向けながら、コンテンツマーケティングに真剣に取り組んでいます。
REIは自社の顧客について深く理解しており、実際に店舗で製品を試す前にオンラインで検索する人が多いことを認識しています。
REIのオムニチャネルにエンゲージしている買い物客は、店舗でブランドとインタラクションするだけの顧客よりも支出額が2~4倍も高いと言います。
さらに、別のチャネルでREIとインタラクションを行った人は、実店舗に行ったときに購入する可能性が40%高くなるそうです。
REIは、アウトドアアパレルブランドとして、顧客がオンラインストアや実店舗の外では非常に現実的な生活を送っていることを理解しています。
そして、真の意味でモバイル中心のオムニチャネル戦略を策定し、REIアプリに時間を費やすよう顧客に勧めています。
Yahooの分析によると、消費者がモバイルで消費する時間の90%がアプリに費やされています。しかし、ほとんどのブランドは、読者が集まる場所であるアプリに貴重なコンテンツを提供する機会を逃しています。
一方REIは、ディープリンクを使用してすべてのモバイルアクティビティをアプリに集めています。スマートフォンにアプリがダウンロードされた状態でREIから届いたメールに掲載されている製品をクリックすると、自動的にアプリが開き、一番近くにある在庫を備えた店舗を教えてくれます。
REIは、米国国立公園局とパートナーシップを締結して、「公園を見つける」のに役立つ別のアプリもリリースしています。このアプリは、Big Heartの犬の散歩マップと同じように、「食通におすすめする4つの国立公園」といった記事を配信しつつ、公園で遊ぶ際に役立つ地図やツールを提供しています。
「公園を見つけ」て、ソーシャルシェアリングオプションを使うと、自身の体験を友人に共有して、REIのコンテンツにエンゲージしているアウトドア愛好家のコミュニティに参加することができます。
REIは、その強力なオムニチャネルマーケティング戦略により、アプリを通じて見つけた国立公園への旅行に必要な備品をシームレスに顧客に販売することができるのです。
すべての国立公園への旅行プランには、REIのeコマースサイトに直接リンクしているお勧めアイテムとそれを補完する道具リストが掲載されています。
REIのCEO兼社長によると、店頭で購入する顧客の75%が、検討中の製品を調べるために事前にREIのウェブサイトやアプリにアクセスしているそうです。
モバイルファーストのアプローチは、店頭にいる顧客をフォローし、アプリと店内のショッピング体験を結び付けています。
従業員は、製品の在庫状況をリアルタイムで確認できるよう、スマートフォンを携帯しています。REIの全店舗はWiFi完備のため、ユーザーはアプリにログインして道具リストをチェックしたり、検討中の製品のレビューをREIのウェブサイトで読んだりすることができます。REIは、顧客の行動に対する理解を深めることで、自社のコンテンツを顧客のモバイルライフスタイルに統合し、オムニチャネルマーケティングを通じて購入を促すことができるのです。
オムニチャネルマーケティングが提示する課題を完全に解決したブランドは存在しませんが、顧客は、各情報やデバイス、チャネルにまたがった自身のニーズをブランドに知ってもらうことを期待するようになりました。複数のタッチポイントで顧客をコンテンツにエンゲージさせれば、成功に向けた取り組みを推進することができます。
オムニチャネルマーケティングで先導的な役割を果たすブランドは、3つの重要な手段を心に留めています。
Esti Frischlingは、NewsCredのプラクティスディレクターです。
元記事「Thinking Outside the Blog: How Content Can Power Omnichannel Marketing Efforts」は2017年4月14日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はNewsCred BlogのEsti Frischlingが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
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コンテンツマーケティングの本場であるアメリカで、業界を牽引するリーディングカンパニーであるIndustry Dive。国内唯一の独占パートナーであるアマナがその集合知を活用し、成果へと繋がるコンテンツマーケティングをサポートします。
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