コンテンツ×デジタルトランスフォーメーション 〜大手銀行が語る6つの戦略的インサイト

NicoElNino

この記事は、ロンドンを拠点としたNewsCredのヨーロッパチームが作成しました。

今日、金融機関は目まぐるしく変化しています。

立ち上がったばかりのフィンテック企業は、従来型の銀行の競合です。彼らのアジャイルでデジタルなアプローチによって、従来型の銀行は自社サービスの再考を余儀なくされ、デジタルトランスフォーメーションを推進しています。

大手の銀行は、このプレッシャーにどう対処しているのでしょうか?

市民の目と競合とのプレッシャーにさらされている銀行は、どのようにして生き残り、24時間サービス・デジタルセキュリティ・オンラインアカウント管理など、顧客が望む最先端のサービスを提供しているのでしょうか。

私たちは、イギリスの大手銀行グループ、Lloyds Banking Groupのグループデジタル・トランスフォーメーション部門でカスタマーエクスペリエンス戦略&プランニング担当責任者を務めるLucy Donaldson氏にインタビューを行い、同社のアプローチについて聞きました。

彼女は、グループ全体にわたるエンドツーエンドのデジタルカスタマーエクスペリエンスを担当しており、Scottish Widows、Bank of Scotland、Lloyds Bank、Halifaxといった4つの主要ブランドのデジタル分野をカバーしています。つまり、彼女は小売と商業の両方に携わり、約75,000人の従業員からなる組織での幅広いサービスに責任を負っているのです。

「私たちのチームの役割は、デジタルカスタマーエクスペリエンス、ジャーニーマッピング、カスタマーエクスペリエンス測定フレームワークの管理など、事業に関する助言・相談・サービスを提供することです」とDonaldson氏は言います。「今まで、必要不可欠なことは何かを理解しながら取り組んできました。たとえば、口座開設手続きを迅速かつ直感的に行えるようにすること、顧客が素早く簡単にお金を管理できるようにデジタルへ移行を手助けすること、当社の言語がすべての顧客に正しく伝わるように発展を遂げることなどです」。

Lloyds Banking Groupでの彼女の任務には、コンテンツと編集機能の管理も含まれています。彼女のアプローチは経験的で真のカスタマーエクスペリエンスに焦点をあてたもので、これらのインサイトを利用したデジタル戦略を定義しています。戦略の中には、コンテンツの配信方法だけではなく、デジタルと銀行のマルチチャネルで適切にコンテンツを管理するためのチーム構成方法も含まれています。

「当社の全体的な企業戦略は『英国の繁栄を支援する』ことです。デジタル戦略には英国を豊かにするために私たちができることは何でも取り入れ、小売や商業を問わず、チャネルを超えた顧客との関係性をカバーしています。他の金融機関とやっていることが変わらないように見えるかもしれませんが、Lloydsの投資額は段違いです」。

彼女とのインタビューで明らかになったように、Lloydsのような銀行がデジタル戦略を本格的に展開し始めたことで、顧客のプライバシーとセキュリティに関する予防策、アクセス可能なデジタルサービス提供のバランスが取れ、変化のスピードが加速しているのです。

この記事では、デジタルトランスフォーメーションの一部としてDonaldson氏が彼女自身の言葉で語った、コンテンツを管理するための重要なインサイトを紹介します。

 

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Lloyds Banking Groupのグループデジタル・トランスフォーメーション部門のカスタマーエクスペリエンス戦略&プランニング担当責任者、Lucy Donaldson氏

 

インサイト1: 顧客の考えを重視したデジタルサービスを展開する

当社がデジタルトランスフォーメーションを実施してから今年で3年目を迎えました。私たちはカスタマージャーニーを中心に、よりアジャイルな作業方法の再構築・再フォーマット・再編成を行いました。これによって、銀行の運営方法を変革し、より顧客の考えに寄り添うことができたのです。

私たちは、継続的に経験を最適化する段階へと移行し、顧客とのmoments of truth(真実の瞬間)を促進しています。私は常に、「当社は、顧客がいてほしい場所に存在しているだろうか?」と、顧客の立場から物事を考えています。Amazonのようなオンライン小売業者は実店舗をオープンしていますので、私たちも、顧客のニーズに合わせて実店舗とデジタルをうまく両立させなくてはなりません。人々は、口座開設、住宅ローンの取得、離婚や家族の死別への対処など、特定の事柄については対面で直接話したいと思っているので、支店は人生の大事な瞬間で重要な存在としてあり続けるでしょう。また、支店はLloydsの職員が顧客にデジタルスキルを教え、口座開設のサポートを行い、デジタル移行へのサポートするためにコミュニティと会話する機会を創出することで、顧客がデジタルについて探求できる場所にもなっています。

インサイト2: 優れたコンテンツはすべてインタラクションである

私はコンテンツを単なる言葉とは考えていません。

コンテンツとはインタラクション−− つまり、私たちが発信することで顧客がどのように行動するかを理解する方法です。私たちはすでに、アンケートをはじめとした複数のツールにアクセスしていますし、調査ツールやテクノロジーで顧客のインサイトを獲得する新しい方法を模索しています。特定のパートナーについては言及しませんが、多くの分析やデータソースなど、世間一般で使われているものを使用していると思います。

私たちはすべてのプラットフォームにわたって、あらゆるレベルでエンゲージするよう取り組んでいます。その取り組みのひとつに、顧客のオンラインバンキングを職員が手助けできるよう、支店にタブレットを導入しました。私たちは、アプリの開発、プッシュマーケティング、アクティブユーザー数向上に向けた戦略にかなりの力を入れており、コミュニケーション戦略では、優れたオンボーディング体験の創出と顧客をデジタル取引に慣れさせることに重点を置いています。

一方で、私たちはAIと認知に関するシナリオをテストし、通常の会話とは別でチャットボットをうまく実用化させる方法を検討しています。このような実験を行うと、スクリプトライターや顧客とエンゲージする人々を訓練するために、銀行が必要な能力を理解することができるのです。当社には多くの素晴らしいコピーライターがスクリプトを書き、それぞれのプラットフォームで異なる会話を生み出しています。また、チャネルテレフォニーチームと緊密に連携し、彼らの経験、理解内容、コメントをウェブチャットのディスカッションに活かしています。そのため、顧客との会話をテストする方法を多数備えることができました。最良の結果を得るためには、顧客や同僚との共創活動が欠かせません。

インサイト3: 社内外のダイバーシティは顧客にリーチする上で必要不可欠である

私たちは、女性だけでなく、エンゲージしているすべての人々を受け入れなければなりません。これは、当社が推進したい非常に根本的な部分です。端的に言うと、幅広く多様なオーディエンスにテストやアンケートを行い、彼らと共創していくべきだということです。

Lloydsは、数々の賞を受賞してきたダイバーシティアジェンダを持っており、ジェンダー平等を約束した最初のFTSE 100企業です。事業内外でこのように多様な意見を含めることは、当社にとって自然なことでした。

インサイト4: 金融サービスの変革のスピードは加速している

金融サービスで最初に着目したのは、技術開発がまだ初期段階にあるということでした。しかし、ここ2年間で、その流れは大きく変わりました。従来型の環境で仕事をするということは、自分が会社に与える影響力が大きく、事業における重要なソートリーダーになれることを意味します。

金融サービス業界は、今まさに大きな転換期を迎えているため、小売か商業かを問わず、この分野に取り組めることは本当にエキサイティングです。私が一緒に仕事をしている人々は、非常に頭が良く、顧客のために情熱を注いでいます。

当社には、革新的なアプローチを取ることができる環境が整っています。顧客エンゲージメントが目まぐるしく変わっていることを考えると、新しいテクノロジーをすべてテストして、それらが顧客とのエンゲージメントで何をもたらすかを確認しない手はありません。

規制的な環境にいる私たちは、顧客リスクと銀行リスクのバランスを取らなくてはなりません。だからこそ、金融サービス業界が大きく変化しているのです。顧客とのエンゲージ手段を変えるようなテクノロジーを持っていたとしても、規制上、テスト方法が制限されることも多くあります。私たちは規制が多く、非常に厳しい監視下にいるため、常に適切なものを市場に投入しなくてはなりませんが、私が個人的に信じているのは、この制限によって顧客のためにより優れた(よりいっそう微調整された)環境を生み出すことができるということです。

インサイト5: チームをまとめるために顧客のインサイトを活用する

もっとも重要なことは、製品担当者とマーケティング担当者の間で良好な関係を築くことです。企業には、製品提案を推進している製品チーム、コミュニケーション提案を推進しているマーケティングチーム、顧客提案を推進しているカスタマーエクスペリエンスチームがいます。各個人はそれぞれ独自のアジェンダを持っているため、できるだけ部門間を密接に結び付けることが重要です。

社内の会話を調整するために、事例や試験結果を共有して顧客のインサイトを実証し、より優れたカスタマーエクスペリエンスの実現方法を示すと良いでしょう。そうすれば、ソートリーダーシップや、社内チームで違った考えを生み出す方法が見えるようになるはずです。

インサイト6: 時間や社内/社外インターフェースにわたって測定を拡張する

私は、よりカスタマーエクスペリエンスを重視した測定戦略に取り組んできました。測定は、真のエンドツーエンド体験について多くのことを教えてくれます。通常のカスタマーエクスペリエンス評価は、特定の場所と時間に関するストーリーだけですが、これらは遅行指標のため、時間の経過とともに変化するエンゲージメントまでは把握しきれません。常に意義のある調査を実施するために、新しい測定フレームワークで私たちが中心的な信条として持つ一連の測定値を追加しました。

また、カスタマーエクスペリエンスを生み出すうえで同僚の経験が絶対的な要素であることも理解しているため、顧客だけでなく、同僚の評価にも目を向けています。そうすれば社内の見解がわかり、顧客の見方に及ぼす影響とバランスを取ることができるのです。

 

Ed ChipperfieldはNewsCredの寄稿者です。

 

元記事「Content and Digital Transformation: Lloyds Banking Group’s Strategic Insights」は2017年5月16日にInsights.newscred.comに掲載されました。

 

この記事はNewsCred BlogのEd Chipperfieldが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

 

また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

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