ソーシャルメディアのエンゲージメントに関しては、美容ブランドがさまざまな点でリードしています。コンテンツを売上に結び付けたり、ファンを褒め称えたり、インフルエンサーを活用したり、新しいプラットフォームのアーリーアダプターになったりするなど、他の業界がコンテンツマーケティングで達成すべき基準を作っています。
この記事では、美容業界でも指折りのマーケティング担当者である、Estée Lauder Companiesのグローバルコンテンツマーケティング担当エグゼクティブディレクター、Alicianne Rand氏の話を紹介します。彼女は、ThinkContent LondonとContent Marketing Worldのスピーカーとして、貴重なインサイトを共有してくれました。
どのようにEstée Lauder Companiesのブランド(Clinique、M•A•C、Bobbi Brown、Smashboxなど)は消費者とつながりを深め、エンゲージメントとコマースを推進するための戦術を構築しているのか ーー ぜひ耳を傾けてください。
Estée Lauder Companiesのグローバルコンテンツマーケティング担当エグゼクティブディレクター、Alicianne Rand氏
「人々は、ソーシャルメディアで美容に関するインスピレーションを探し、シェアし、買い物をしています」とRand氏は言います。彼女は、消費者が毎日YouTubeを視聴する時間が10億時間に上ることに言及し、「先端を行くブランドが場所を選ばす消費者にコンテンツを届けられるように、コンテンツ作成の規模を拡大することは不思議なことではない」と付け加えました。
「Kylie Jenner(アメリカのファッションモデル)がソーシャルメディアを活用して、わずか18カ月で4億2000万ドルもの美容事業を確立したことを踏まえると、こうしたプラットフォームが美容業界にとって非常に強力だということがわかります」とRand氏は述べます。
さらに、メイクやスキンケアは、女性の内なる自信を表現する感情的で視覚的なトピックのため、ソーシャルメディアが適しているのです。
コンテンツが共感を呼ぶものかを確認するために、Estée Lauder Companiesのポートフォリオにあるブランドは、公開前に「それは人々の行動を止めるものか」「それは人々に見返りを与えるものか」「それは人々の手間が省けるものか」「それは人々に寄り添ってくれるものか」といった4つの質問を投げかけています。
@newscredの本日の#ThinkContentで、@EsteeLauderの@aliciannerandが素晴らしいプレゼンテーションとヒントを共有中
— Samantha L Fay (@SamLFay) 2017年11月15日
「インフルエンサーといっても、必ずしも著名人の力は必要ありません。地元のメイクアップアーティストや消費者でもブランドのインフルエンサーになることができます」とRand氏は話します。「ソーシャルメディアは、誰もがインフルエンサーになることができる平等な競争環境を生み出しました。一部のインフルエンサーは自身のブランドを持っています。この流れは、YouTube、Facebook、Instagramでも同じです。
インフルエンサーはファンと強力な関係を持ち、真正なストーリーを語ることで、素晴らしいコンテンツ制作者になっています。だからこそ、Estée Lauder Companiesのブランドは、インフルエンサーエンゲージメント専門のチームを備えているのです。彼らはブランドの価値観に沿ったインフルエンサーの特定から真正なストーリーを語るためのパートナーシップに至るまで、あらゆることを実践しています」とRand氏は語ります。
2017年11月28日午後4時16分(PST)にJordan Willis(@makeupwithjojo)がシェアした投稿
「私たちは、コンテンツを考える際、プラットフォームで存続できるすべての資産について考えます。一部は広告やキャンペーンに焦点を絞っていますが、それはすべて売上とコンバージョンに関するものです」とRand氏は言います。
チームは、各コンテンツについて、目標達成に役立つナラティブ、配信チャネル、拡散計画を特定しています。「ハウツーコンテンツ、顧客の困りごとに関するストーリー、料理や旅行といった趣味など、ニーズにもとづいたコンテンツもあります」と彼女は説明します。
「その結果、ソーシャルからオンライン、実店舗に至るまで、さまざまなチャネルとプラットフォームでシームレスに織り込まれたコンテンツ戦略が生まれたのです」とRand氏は述べました。「私たちは、ブランドを前進させ、すべての段階で適切な事業KPIを達成するのに役立つストーリーテリングナラティブに力を入れています。そして、コンテンツ戦略によってこれらの目標を推進するため、配信戦略と有料拡散戦略はコンテンツ戦略と足並みを揃えています」。
ファネルに沿ったコンテンツの評価基準をいくつか紹介します。
認知: 「ここでは、リーチと頻度の向上に重点を置いています」とRand氏は話します。彼女のチームは、会話のシェア、ユニークリーチ、ビューアビリティ(実際にユーザーが閲覧できる可能性があったインプレッションの比率)、動画完了率などを測定しています。
購入とコンバージョン: 購入の判断を促すのに役立つ情報です。Rand氏によると、この段階での重要な評価基準は、ウェブトラフィック、ブランデッドサーチ(具体的なブランド名や会社名を入力する検索)、アンブランデッドサーチ(具体的なブランド名や会社名を入力しない検索)、センチメント分析(感情)、製品レビューなどです。「このほかにも、オンラインと実店舗の購入評価基準を見ています」。
顧客維持: この類のコンテンツの評価基準は、製品レビューひとりあたりの平均注文額の増加、リピート購入などで、ブランドを常にトップ・オブ・マインドにするためのものです。
Estée Lauder Companiesのブランドに関連するコンテンツの40%以上は、消費者が作成し、共有してくれたストーリーです。
「消費者は、ソーシャルメディアの中で美容の裏技、ヒント、コメント、悩みごとを自然にシェアしています。それは毎日のように起きていて、私たちはそうした行動がより活発になるよう促しています」とRand氏は言います。
2017年12月4日午後1時3分(PST)にM·A·C Cosmetics(@maccosmetics)がシェアした投稿
Estée Lauder Companiesのブランドが消費者の会話を促進するために行っていることは、特定の悩みごとに質問すること、コーチェラ・フェスティバルや国際女性デーといった文化的な祭日に関する会話に参加すること、そして「あなたが思う最高のハロウィンの仮装をシェアしてね」というお題を出すことです。
Estée Lauder Companiesは、ファンとつながることができる新しいテクノロジーを積極的に試しています。
Estée Lauderブランドは最近、実店舗でのコンバージョンを向上するためにAR(拡張現実)を採用しました。Modifaceと共同で制作されたリップスティックチャットボットは、Facebook Messenger上で作動し、顧客はEstée Lauderの全リップカラーを検索して、唇の上に塗ったときのようにいろんなカラーを試すことができます。
Rand氏は、消費者に注意深く耳を傾け、イノベーションを積極的に起こすことが、コンテンツマーケティングを継続するのに役立つと話します。もちろん、それはどのブランドにもできることではありませんが、同社では間違いなく機能しています。
「私たちは、ソーシャルチャネルを通じて、毎日世界中で1億人を超える人々にリーチしています」とRand氏は述べます。「今後もコンテンツを通じてコミュニケーションを革新し続け、消費者と有意義で長期的な関係を築いていくつもりです」。
Dawn PapandreaはNewsCred寄稿者です。
元記事「Beauty Content Marketing: Tips from The Estée Lauder Companies’ Alicianne Rand」は2018年3月28日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はNewsCred BlogのDawn Papandreaが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
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