マーケティング担当者の間でよく話題に上るのは、バイヤージャーニーのすべての段階に向けたコンテンツを作成するにはどうすれば良いのか? ということです。
私たちは、自社のブランドを知らない人たちにも興味を喚起させるために、ソーシャルメディアやブログ記事といった「top-of-funnel(見込み客育成の初期段階)コンテンツ」を制作しています。それだけでなく、見込み客との関係を構築して顧客へと変換させるために、特集記事、長文記事、ホワイトペーパー、ウェビナーといった「middle-of-funnel(見込み客育成の中期段階)コンテンツ」や「bottom-of-funnel(見込み客育成の後期段階)コンテンツ」も作成しています。
しかし、バイヤージャーニーは必ずしも直線的ではありません。一部の人々は実際にtop-of-funnelコンテンツを介して入ってきますが、注意を引くようなmiddle-of-funnelコンテンツやbottom-of-funnelコンテンツを偶然見つけて流入する人もいます。いずれにせよ、バイヤージャーニーにおけるコンテンツの効果は実証されているため、すべての段階で資産を作り出さなくてはなりません。
そうなると、必然的に作成すべきコンテンツが増え、大半のチームが小規模でリソース不足であることから、多くのマーケティング担当者の課題になっています。
MarketingProfsとContent Marketing Instituteによる「B2Bコンテンツマーケティング: 2017年の北米におけるベンチマーク、予算、およびトレンド」の調査によると、B2B企業の55%は、組織全体で「小規模(または1人)」なコンテンツチームしか持っていません。
NewsCredも同じです。当社のマーケティングチームは、コンテンツ担当の専任スタッフが2人しかいない小規模なものです。それでもコンテンツ制作は創造的で、効率的で、戦略的でなければなりません。
しかし、私たちは、編集戦略とデマンドジェネレーション戦略を結び付けることに成功しました。ひとつの戦略的なコンテンツを複数のフォーマットで再利用すれば、バイヤージャーニーのあらゆる段階でリードを呼び寄せ、獲得、育成することができます。
この記事では、最近の事例を使ってその方法を説明します。また、組織内で同様のシステムを実装できるように、実用的なステップも紹介します。留意いただきたいのは、当社はコンテンツ制作のサポートを支援するベンダーとは契約していないことです。たった5人のチームで1カ月以内に以下のすべてを制作しています。
それでは、紹介していきましょう。
私たちは、長文記事の制作から始めると、コンテンツの拡張プロセスが最もうまく機能することに気づきました。すべてのコンテンツは、強力なトピックと優れた執筆にもとづいています。長文記事から始めると、そこからコピーを取り出して他の資産(動画スクリプト、ウェビナーコンテンツ、ソーシャルメディア投稿)に活用できるため、コンテンツの規模を拡大するうえで強力な基盤を構築することができます。
ブログ記事は新旧両方の読者を引きつけ、両方のオーディエンスに自社のことをより深く知ってもらうチャンスになるため、記事のトピックはビジネス、ビジョン、ミッションの中核を成すものにしてください。そして、特定の分野における自社の専門知識を紹介し、貴重な情報を提供できるようにしてください。また、その記事はターゲットオーディエンスの大多数に訴求するものでなければなりません。
もう一点、考慮すべきことは、トピックの適時性です。理想は、記事を最新かつ魅力的なものにするための仕掛けを用意することです。作成したすべての資産がロングテールの法則を実現するために、時間が経っても色褪せない記事を作成しましょう。
NewsCredの重点分野のひとつは、コンテンツマーケティングのROIを証明することです。私たちは、他社のマーケティング担当者も同じようにROIを証明できるよう、全力で取り組んでいます。そこで、当社のデマンドジェネレーションマネージャーであるLiam Moroneyは、コンテンツマーケティングのコンバージョンを追跡するGoogleアナリティクスの設定方法で好機を見出しました。
その結果、彼は「Googleアナリティクス: コンバージョンの測定に向けてコンテンツハブを設定するための完全ガイド」という長文記事を執筆しました。
Googleアナリティクス: コンバージョンの測定に向けてコンテンツハブを設定するための完全ガイド
マーケティング担当者に向けた実用的な次のステップ:
Liamの長文記事は、当社のウェブサイトとニュースレターにおいて優れたパフォーマンスを発揮しました。読者の22%がリードだったことから、この記事がバイヤージャーニーの他の段階に向けて再利用すべき理想的な候補という仮説が裏づけられました。
私たちがブログ記事を再利用した最初の方法は、ウェビナーへの変換でした。
NewsCredにおいて、ウェビナーはリードジェネレーション戦略の鍵です。ウェビナーに申し込む人は、特定のトピックについて学習したいと思っており、ブランドをソートリーダーと見なしています。つまり、ブランドを信頼し、より深い関係を築くことに関心があることを示しているのです。
ウェビナーは、休眠していた見込み客を掘り起こすための最適な手段のひとつです。また、セールストークをする場ではなく情報を共有する場であるため、価値を提供しながら、人々にブランドを想起させる優れた方法でもあります。
Liamは、ウェビナーをブログ記事にさらなる文脈を肉づけするチャンスだと見ていました。ブログ記事は段階的な手引きとなっており、非常に戦術的な内容でした。彼は、ウェビナーによって、リアルタイムの事例を紹介しながら、Googleアナリティクスを使ってコンテンツマーケティングのコンバージョンを測定するという概念を説明する能力を身に付けました。
Liamは、自身の記事を出発点として、ライブデモで説明する予定のトピックに関するプレゼンテーションデッキを作成しました。彼はスクリプトを書き、論点を洗練させ、スクリプトを見ずとも自然に話せるようになるまで、リハーサルを通しで3回行いました。
私たちは、ウェビナー開催までの2週間半の間に、NewsCredの全データベースを構成する約10万人のユーザーに3通の電子メールを送信しました。登録者は1,500人に上り、そのうち500人近くが実際に参加してくれました。そしてその45%がトップクラスのリードです。
ウェビナー終了後、私たちはすべての参加者にフォローアップを行いました。Googleアナリティクスの元のブログ記事を送信し、記録したウェビナー動画へのアクセスを付与したのです。
マーケティング担当者に向けた実用的な次のステップ:
ウェビナー開催後、「ウェビナー: Googleアナリティクスを使ってコンテンツマーケティングのコンバージョンを測定する方法」という新しいゲーテッド(ユーザーがメールや電話番号など何らかの個人情報を入力しないと閲覧できない)ブログ記事に動画を埋め込みました。このtop-of-funnelコンテンツにアクセスするには、ユーザーは個人情報を登録しなくてはなりません。このサインアップによって、ユーザーが当社のニュースレターにオプトインするため、私たちは彼らとの関係を構築し続けることができるのです。
さらに、私たちはノーカットのウェビナー動画をNewsCredのYouTubeチャンネルに、ノーカットのプレゼンテーションデッキを当社のSlideShareページにアップロードしました。これによって、(見込み客の検索方法がYouTube、SlideShare、あるいはGoogleかどうかを問わず)見込み客が検索で当社を発見できる手段が2つ追加されました。
マーケティング担当者に向けた実用的な次のステップ:
すべてのマーケティング担当者は、動画制作が不可欠であることを知っています。2019年までに、米国のソーシャルネットワークでは、動画が検索トラフィックの85%を占め、ユーザーのフィードで動画が優先されるようになります。それに応じて、マーケティング担当者はメッセージを発信するためにビデオを作成しなければなりません。
多くのマーケティング担当者にとってそうであるように、動画制作は私たちNewsCredにとっても難題でした。動画を制作する社内チームは存在しませんし、ブランド動画を制作するためにエージェンシーと常に協力しているわけでもありません。
それでも、Googleアナリティクスの長文記事とウェビナーの成功から、動画は貴重な資産になると感じました。記事とウェビナーは非常に綿密で戦術的なものだったので、このトピックをよりわかりやすくしたもの(つまり、なぜコンテンツマーケティングのコンバージョンを測定することが重要なのか、マーケティング担当者はどのようにしてそれを実施することができるのかということ)が必要だと思いました。そこで、短い解説動画がその目的を達成するのではないかと考えたのです。
選択肢を検討しましたが、NewsCredのブランドマーケティングマネージャーであるAlexa Bialeは、ブランド動画を制作するためにエージェンシーと契約するのは費用と時間がかかりすぎると判断しました。長い目で見れば、継続的に使用できる社内システムを考え出すのが得策だと考えたのです。
まず、動画が本当に拡張可能なソリューションであるかどうかを確認するため、動画を完成させるうえで必要な時間枠を計画立てました。私たちは、チーム内でスクリプトを書いたり編集したりする担当者、動画のストーリーボード作成、設計、制作の担当者を決めました。そして、各ステップに必要な時間数を見積もり、3日間で動画を完成させるという目標を設定しました。
次に、その目標を達成するために、動画プログラムに必要な機能に関してブレインストーミングを行いました。
当社のシニアデザイナーであるJeremy Fordと、マーケティングオペレーションマネージャーのSteve Katzが判断したとおり、理想的なプログラムは以下の特徴を備えています。
JeremyとSteveは、Animoto、Adobe Spark、Adobe Premiere Elements、WeVideo、Magisto、VideoScribe、PowToon、GoAnimateなど、多数のプログラムを評価し、GoAnimateが自分たちの基準に最も適合すると判断しました。
そうして、私たちは制作を始めました。オリジナルの長文記事をベースとしたスクリプトを作成し、編集を行いました。その後、JeremyとSteveはストーリーボードを作成し、動画を設計しました。完成するまで3回の共同編集を行い、最終的には3日間で動画を作成するという目標を達成たのです。
マーケティング担当者に向けた実用的な次のステップ:
完成した解説動画は「動画: コンテンツマーケティングのコンバージョンを測定するためにGoogleアナリティクスを使用する方法」という新しいブログ記事に埋め込みました。私たちは、そのtop-of-funnelコンテンツの解説動画を初めに見てからオリジナルの長文記事に目を通し、最後に(一部の新規ユーザーがアクセスを求めて登録することを期待して)詳細なゲーテッドウェビナーを閲覧することをユーザーに勧めました。
さらに、少ない費用からTwitterで動画を宣伝したところ、私たちの予想を上回るパフォーマンスを発揮しました。宣伝後わずか3日で60,560インプレッションを獲得し、再生数は20,953回に上りました。プロモーションを行ったツイートに対するエンゲージメント率は平均0.1%ですが、当社のエンゲージメント率はなんと34.6%でした。これを実現したのは、たった0.01ドルのCPVです。
マーケティング担当者に向けた実用的な次のステップ:
戦略とチームワークを結集すれば、バイヤージャーニー全体にわたってひとつのコンテンツを効率的に拡張することができます。
最後に、Googleアナリティクスに関する長文記事から派生した、バイヤージャーニーにマッピングされたすべてのコンテンツを紹介しましょう。
非常に高いレベルでコンテンツの規模を拡大するための重要なステップは以下のとおりです。
全体目標と推進しているトピックに応じて、戦術と配信方法が変わってきます。しかし、このフレームワークを使えば、小規模なチームでも、大きな成果をもたらす戦略的なコンテンツを作成することができるのです。
Heather EngはNewsCredのエグゼクティブエディターです。
元記事「How to Scale Content Creation for Every Stage of the Buyer Journey」は2016年7月15日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はNewsCred BlogのHeather Engが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。
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