『KILLING MARKETING』が伝える「破壊と再構築」のススメ

Joe Pulizzi氏とRobert Rose氏による新しい共著『KILLING MARKETING(以下、キリング・マーケティング)』では、「私たちがすでに知っているようなマーケティングを破壊して、より効果的で持続可能なモデルとして再構築する」こと提唱しています。

15年間マーケティングの世界にいるマーケターとして、私は最初その考え方に懐疑的でした。著者たちが提案するあらゆるアプローチは、私が大切にしてきたやり方を無効にするものであり、断固反対したい気持ちでした。

しかし結局、私は彼らを信じることに決めたのです。Pulizzi氏はContent  Marketing Institute(CMI)の創立者、Rose氏はCMIのチーフストラテジーアドバイザーという、コンテンツマーケティング界の強力コンビです。彼らは、この比較的新しい業界にとってのスポークスマンであり、実際に方法論としてのマーケティングを深く理解しています。

 

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『キリング・マーケティング』共著者、Joe Pulizzi氏とRobert Rose

 

最終的に、私は彼らの議論に同意するだけでなく、多くのインスピレーションを受けていることに気づきました。

『キリング・マーケティング』の仮説は、「あらゆる企業はメディア企業になる必要がある」ということです。コンテンツは、マーケティング戦略と事業戦略の中核に位置づけられなければなりません。この考え方は、マーケターである私たちに対し、自社の製品やサービスの宣伝ではなく、忠実なオーディエンスの増幅に専念するよう促しています。私たちは、人々を楽しませ、関係性を築けるようなコンテンツを繰り返し制作することで、その考え方を実践するのです。

Pulizzi氏とRose氏は見事なイメージを描いています。RedBull、LEGO、Arrow Electronics、Terminus、Johonson&Johonson、そしてDisneyのように、すでにコンテンツを活用して、事業全体に活力を与えているブランドの実例を共有しています(ちなみにPulizzi氏は、DisneyをモデルにCMIのビジネスを構築しました)。

そうした刺激的な物語を聞いた後であれば、Pulizzi氏とRose氏のビジョンに賛成するのは難しいことではありません。さらに、彼らはより実質的な証拠も提示しているのです。

この本の冒頭では、業界内で認識されているオリジナルコンテンツの価値、つまりオリジナルコンテンツがマーケティングとビジネスにおいて果たしてきた役割を追跡調査しています。1980年代以前のデジタルコンテンツは制作費が高く、コンテンツは主に顧客ロイヤルティプログラムで使用されていました(高級な機内誌やインテリア雑誌を想像してください)。2000年代初頭は、デジタルコンテンツの制作や流通プロセスが民主化し、消費量も急増しました。これによりマーケターは、コンテンツを戦術として活用するようになります。グレート・リセッション以降、各ブランドはコンテンツをマーケティング戦略として使用するとともに、高品質コンテンツを制作してオーディエンスの注目を集め、関係性を維持することの重要性を理解しました。こうして、私たちは現在のスタンス、つまり「企業はコンテンツを軸にビジネス全体を構築する必要がある」という状況に至りました。同時に才能、技術、プロセスに対する投資も重視されています。

 

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『キリング・マーケティング』には、一部、読むのが辛い箇所があります。それは、私たちが日々直面する厳しい現実を浮き彫りにしているからです。マーケターは皆、自分に自信を持ち、常に顧客に注力し、ビジネスを推進する価値の高いオーディエンスを獲得する必要性について、理解しています。ただ、これらすべてを成し遂げていると言えるでしょうか? その努力は、いまだに道半ばです。

(デジタルチャネルとイニシアチブの管理を強化するにつれて)一部のマーケターが予算の増加を進めようとしても、上層部はしばしば長期投資の提案を却下します。すべての企業は、迅速に動いて成果を上げたいと望んでいますが、マーケティングは長いゲームです。

私たちは、 当社のソーシャル、デジタル、その他の機能を横断する各部門内のサイロ化現象を見つけました。多くのマーケターは、これらのサイロをつなぎ合わせてテクノロジースタックを最適化したり、完全に理解しようと尽力しますが、より良い結果には結びついていません。私はベンダーや顧客の中でこうした状況を見かけます。Pulizzi氏とRose氏が報告していますが、34%ものマーケターが必要なツールを持っておらず、今あるツールも十分に利用していないのです。

テクノロジーによって効率性、優れたレポーティング、より強力なアナリティクスを追求することは可能ですが、顧客の課題を解決しないのであれば、それらはすべて無意味です。

私は心から楽しんで『キリング・マーケティング』を読み終え、エネルギーがみなぎったような感覚になりました。私の考え方と組み合わされ、大局的な視点でトレンドを見ることができました。ひとつ残念に思ったことは、もっと実用的な次のステップがあれば良かったということです。これは、優れた戦略を実行するためのノウハウを熟知した2人の男性が書いた本ですが、少々理論的な内容に偏っているように感じます。戦略、予算、適切な人材雇用などのテーマで、「How to Kill Marketing(マーケティングの殺し方)」を解説するフォローアップのワークショップがあればさらに良いのかもしれません。

私は、NewsCredのマーケティングリーダーであることに誇りを感じました。私たちがPulizzi氏とRose氏が打ち出しているビジョンを体現しているように感じたため、『キリング・マーケティング』を読んで、安堵を覚えたのです。私たちの柱は、忠実なオーディエンスを確立することです。私たちは数十万ものマーケター(エンタープライズのCMOとマーケティング担当者の両方)に対し、NewsCredのプラットフォーム、専門家サービス、コンテンツ提供(これらについても、彼らにとって基本的に優れたサービスであると私たちは信じています)、さらに独立した価値のある情報をNewsCred Insightsで提供しています。私たちは常に、刺激と楽しさを与えるコンテンツを提供するために努力し、優秀なコンテンツマーケターの育成を支援しています。

私たちの慣行や哲学は、Pulizzi氏とRose氏の『キリング・マーケティング』で記されている優れた考え方や理論と合致しています。そのことに、このうえない興奮を覚えました。

 

Lisa KalscheurはNewsCredのマーケティング担当SVPです。

 

元記事「Why Marketers Need to Think About “Killing Marketing”」は2017年9月22日にInsights.newscred.comに掲載されました。

 

この記事はNewsCredBlogのLisa Kalscheurが執筆し、NewsCredのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたします。

 

また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

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