「どのくらいの頻度でコンテンツを公開すべきですか?」
これは私たちが顧客によく聞かれる質問のひとつであり、あるタイミングがきたらどのコンテンツマーケティング担当者も疑問に思うことです。
その気持ちはよく理解できます。
誰もが絶えずコンテンツを大量に作り出しているように見える世界なので、自分の努力が不十分だと感じることがあるかもしれません。
私がこれからあなたに伝えようとすることには、良い面と悪い面があります。
良い面は、コンテンツを公開すべき普遍的な「正しい量」はないということです。コンテンツマーケティングで成功するための魔法の頻度というものはありません。
むしろ重要なことは、高品質のコンテンツをどれくらい定期的に制作できるかを把握し、配信チャネルを通じて効果を最大化させ、あなたの目標に到達することです。
そして、それが悪い面でもあります。あなたは、試験・試行錯誤・最適化を通じて、自分の目標にもとづいた最高の公開頻度を見つけなければなりません。
この回答に納得ができませんか?
ここで、Content Marketing InstituteのチーフコンテンツアドバイザーであるRobert Rose氏の言葉を紹介しましょう。彼は、コンテンツマーケティング担当者が公開すべきコンテンツ量の「秘密の公式」についてこう説明しています。「少ない労力でも、あなたが望んでいるような影響を与える方法はあります」。
驚かれるかもしれませんが、これは嘘ではありません。
私は、この秘密の公式を明らかにするために、まったく異なる公開頻度で成功を収めた2人の一流コンテンツマーケティング担当者に話を聞きました。それはIBMの編集およびコンテンツマーケティング部門のプログラムディレクターであるJakqueline Saenz-Carter氏と、First Round Capitalのコンテンツマーケティング責任者であるCamille Ricketts氏です。
さらに、NewsCredの公開頻度を公開し、自分たちの目標を達成するためにどのようにコンテンツを利用しているのかを共有したいと思います。
コンテンツハブ: 「THINK Marketing」
ターゲットオーディエンス: シニアレベルのマーケティング担当者
目標: シニアレベルのマーケティング担当者に貴重で有益なソートリーダーシップのコンテンツを提供すること
公開頻度: 1日に3~4本
その公開頻度を確立した経緯:
IBMの公開戦略は時間とともに進化しました。Saenz-Carter氏のチームが2016年9月にTHINK Marketingを立ち上げた当初は、まずはトラフィックと認知度を高めることを目的とし、主要ピラーに沿って深みのあるコンテンツを構築することに重点を置いていました。
「その期間中、私たちは1日に平均10~12本のコンテンツを公開していました」とSaenz-Carter氏は述べます。
公開していたコンテンツは、モバイル・パーソナライゼーション・デジタルマーケティングに関するオリジナルのブログ記事や、IBMのコグニティブソリューション分野を紹介したインフォグラフィック、ビデオスニペット、IBMの複数分野にまたがるコンテンツを組み合わせたものでした。また、ライセンスドコンテンツとIBMのビジネスパートナーのコンテンツも公開していました。
立ち上げから3カ月後、チームは公開頻度を進化させます。彼らの目標は引き続き、深みのあるソートリーダーシップのコンテンツを構築することでした。
「オリジナルコンテンツの基盤を確立できたので、公開頻度を減らして1日に6~7本の戦略的なコンテンツを公開するようにしました」とSaenz-Carter氏は言います。「私たちは読者が関心を持つ分野を把握しながら、その分野のコンテンツを増やそうとしたのです」。
マーケティング担当者が顧客やビジネス目標により効果的にリーチするために使用できる技術に関するハウツーガイド、クロスマーケティング作品、記事、インフォグラフィックといった教育コンテンツは、最高のパフォーマンスを発揮しました。
ごく最近、IBMのチームは公開頻度を1日に3~4本へと調整しています。
「依然、ブログ記事とIBMの複数分野にまたがるコンテンツを組み合わせていますが、それぞれの作品は関心の高いトピックとの関連性や戦略的提携の度合いがはるかに高まっています」とSaenz-Carter氏は述べています。
彼らがコンテンツを活用して目標を達成した方法:
IBMの編集および配信活動は、シニアレベルのマーケティング担当者に有益かつ貴重なコンテンツを提供することが目標です。
チームはコンテンツを制作するために、社内のライターだけでなく、インフルエンサー、パートナー、外部ライターを組み合わせて活用しています。どのライターも主題専門家です。
「私の直属チームは従来どおりの公開スケジュールを維持しつつ、コンテンツメンバーのコアチームはNewsCredチームと密接に仕事をする3人のマネージャーになっていきました」とSaenz-Carter氏は言います。「私は仲間の戦略チームメンバーと一緒に公開のタイミングやトピック分野などについて、ブレインストーミングを行っています。私たちは、市場に関心がある分野や、話し合うべき話題にもとづいて関連トピックを一緒に決定しています」。
配信方法については、ソーシャルメディアチームとも緊密に連携しています。
「彼らは、マーケティング担当者のことを把握および理解している専門家です」とSaenz-Carter氏は語ります。
彼らの主なチャネルは、Twitter、LinkedIn、Facebook、およびIBMのWatson Customer Engagementブログです。
コンテンツハブ: 「First Round Review」firstround.com/review
ターゲットオーディエンス: 成功を収める企業の構築と拡大を目指す起業家
目標: 「私たちの目標は2つの要素から成り立っています」とRicketts氏は述べます。「ひとつ目は、優秀な起業家にFirst Roundとパートナーシップを結ぶと、どのようなメリットがあるのかを知ってもらうために、First Roundブランドの認知度を可能な限り向上させること。ふたつ目は、スタートアップのエコシステムを構築している何千人もの人々が稀有な専門知識を利用できるようにすることです」。
公開頻度: 長文コンテンツを1週間に1~2本
その公開頻度を確立した経緯:
「私たちは当初、1週間に2本の記事を配信し、オーディエンスがこうしたタイプのコンテンツにどれだけ興味を持っているかを認識しました」とRicketts氏は言います。
それぞれ、成功を収めた起業家との濃密なインタビュー記事で、3,000~5,000ワードほどあるものです。最近では「HotelTonightが数百万ドルの赤字企業から7カ月で利益を上げる企業へと成長した方法」や「Instacartがデータを使用して個別の補償戦略を策定した方法」といった記事が掲載されています。
「可能な限り、包括的かつ詳細で戦術的なアドバイスを提供することが私たちの目標です」とRicketts氏は話します。「すべてのストーリーには消化して適用できることがたくさん詰め込まれています。私たちは読者に、興味の対象とならないかもしれない膨大な量のコンテンツを押しつけたくはありませんし、私たちの記事が商品化されていると感じてほしくありません。そうなってしまうと、人々はコンテンツをスキップしてしまい、それぞれ記事に対する注目度が下がってしまいます。私たちは、レビューの公開を読者が楽しみに待つようなイベントにしたいのです」。
Ricketts氏のコンテンツチームにいる他のメンバーは、First Roundの編集者であるShaun Young氏だけです。彼らは2人で、ほぼすべての執筆と編集を行っています。
「ご想像のとおり、運営方法にまとまりはありませんが、量より質を重視し続けるようにしています」とRicketts氏は言います。「コンテンツに関しては、かなり早い段階で質と量に負の相関があることがわかりました。思慮深く創造的な時間が増えれば増えるほど、より高い品質のコンテンツを生み出すことができます。ときに私は、優れたヘッドラインのオプションを考えるのにチームメイトと一緒に長い時間をかけます。その時間こそが、大きな価値を生み出すからです」。
「私たちが1週間に1~2回しか公開できないのはそのためです。私たちは、個々の作品を印象的なものにするためのケアやブラッシュアップをおろそかにしたくありません」と彼女は付け加えました。
彼らがコンテンツを活用して目標を達成した方法:
First Roundは、確実にターゲットオーディエンスにリーチするために、多数の配信戦略を採用しています。
「コンテンツマーケティング担当者にアドバイスをひとつするとなれば、電子メールリストを強力かつ絶対的なものにしましょうということ。これは注目に値する資産です」とRicketts氏は言います。
First Roundのニュースレターには12万人を超える購読者がいます。
「ニュースレターを送信するたびに必然的に転送され、より多くの購読者を誘致します」とRicketts氏は述べます。
そして、ソーシャルメディアはもうひとつの重要なチャネルです。
「とくにTwitterやLinkedInでは素晴らしいトラクションが見られます」とRicketts氏は語ります。「ここはインフルエンサーのエンゲージメントを一番獲得できる場所なので、コンテンツをリマーケティングして、週に何度かオーディエンスに最適化したコンテンツを再公開しています」。
Ricketts氏には、Inc.、Quartz、Fast Companyといった多数のシンジケーションパートナーもいます。
「当社のリーチは完全にオーガニックです」と彼女は言います。
コンテンツハブ: 「NewsCred Insights」insights.newscred.com
ターゲットオーディエンス: 大企業のシニアレベルのマーケティング担当者
目標: コンテンツを通じて収益を生み出し、全体の収益に影響を与えること
公開頻度: 1週間4~5本
その公開頻度を確立した経緯:
私は、NewsCredのマーケティングチームの唯一の編集者として、1日に複数のストーリーを制作する能力を持ち合わせていません。そのため、コンバージョンと収益を獲得するという私たちの目標を達成するためには、公開したすべての作品に全力を尽くしてもらわなければなりません。
First Round ReviewのCamille Ricketts氏と同じく、私は量より質を重視しようと誓いました。そして、読者がInsightsのストーリーを読むたびに、価値を提供し続けられるように努めています。だからこそ、ストーリーのほとんどが約1,000~1,500ワードで構成され、有益なデータや調査にもとづいていた戦術的なコンテンツになっているのです。ストーリーを読み終えた読者が、より優れたコンテンツマーケティング担当者に近づくための貴重な情報を学んでいる状態になることが私たちの理想です。
これらの基準を遵守して良質なコンテンツを保持するために、私はすべての作品を評価するコンテンツ品質スコアカードを作成しました。作品が基準を満たさなければ、公開することはありません。
品質を評価した後は、基準を満たしたコンテンツがどれだけ継続的に作成できるかを評価しました。その結果、1週間にオリジナルストーリー3本とライセンスドコンテンツ1~2本というペースに落ち着きました。
私たちがコンテンツを活用して目標を達成した方法:
NewsCredは、質の高い実用的なコンテンツを作成すること以外にも、コンバージョンや収益を促進する当社の目標を達成するためにコンテンツが確実に機能するよう、いくつかの戦術を採用しています。
ニュースレターは、当社最強の配信チャネルです。トラフィックの40%以上を占めるうえ、ニュースレターの購読者はリードに転換する可能性が3倍も高いことがわかっています。ですので、ニュースレターの購読を促すCTA(コールトゥアクション)をサイト全体に配置しています。
NewsCredはソーシャルメディア(とくにTwitter)を使用して、オーディエンスにリーチおよびエンゲージしています。
ソーシャルメディアも着実に機能しています。NewsCredでは、収益の40%がコンテンツマーケティングに起因するものです。そして、収益の100%がコンテンツに影響を受けています(さらなる詳細については、NewsCredがコンテンツマーケティングをどのように行っているかに関するケーススタディを参照してください)。
コンテンツの公開頻度の判断を迷っている方に、留意すべき3つの重要なヒントをお伝えしましょう。
Heather EngはNewsCredのエグゼクティブエディターです。
元記事「How Often Should I Publish Content? 3 Content Marketers on Their Cadences」は2017年6月22日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はNewsCred BlogのHeather Engが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。
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コンテンツマーケティングの本場であるアメリカで、業界を牽引するリーディングカンパニーであるIndustry Dive。国内唯一の独占パートナーであるアマナがその集合知を活用し、成果へと繋がるコンテンツマーケティングをサポートします。
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