コンテンツマーケティングの最大の課題は? という話になると、大半の担当者は口を揃えて「ROIを測定するのが一番大変だ」と言います。
「コンテンツの有効性をどのように測定すればいいのでしょうか?」。これは、NewsCredの会議やワークショップでもよく聞かれる質問です。
その気持ちはよくわかります。
何年もの間、マーケティング担当者はページビューやインプレッションなどの評価基準にもとづいた測定をしてきました。その理由は、当時は利用できる技術と測定ツールが限られていたためです。業界が進化するにつれて、これらの評価基準は、品質やブランドの成長ではなく、広告費を増加させる実体のない評価基準であることが明らかになりました。年月を経て、エンゲージメントに焦点を当てた新しいマーケティングの時代に入りました。マーケティング担当者は、コンテンツの有効性をより正確に判断するために、アテンション時間や平均滞在時間のような評価基準に注目するようになっています。
そのため、現在のマーケティング担当者は、コンテンツが実際の業績につながっていることを証明しようとしています。マーケティング担当者は確固たる評価基準を駆使して、コンテンツの予算を守るためにCMOと打ち合わせをし、CFOやCEOが気にかけている業績への影響をコンテンツが向上させると証明しなければならないプレッシャーの中にいるのです。
この需要と、カスタマージャーニーをより正確に追跡するため、私たちはパフォーマンス測定の時代に突入しています。すべてのコンテンツマーケティングはビジネス目標達成に結びつき、マーケティング担当者は自分の仕事に対するROIを測定することができるようになるでしょう。
現時点において、コンテンツマーケティングと消費者行動の間には明確なつながりがあるとわかっています。人々が読んだ記事や視聴している動画が、最終的に彼らの購買決定に影響を与えているのです。Nielsenによると、人は購買決定を行う前に平均で11.4個のコンテンツに目を通していると言います。
コンテンツジャーニーはカスタマージャーニーである。
人は購買決定を行う前に平均で11.4個のコンテンツに目を通しています。
出典:Nielsen
NewsCredでは、人々は顧客になる前に、約20本のコンテンツにエンゲージしていることを発見しました。当社のブログを読んだり、ウェブセミナーに参加したり、ニュースレターを購読したりする見込み客は、私たちと打ち合わせを行う確率が2倍ほど高いのです。
私たちはコンテンツマーケティングのROIを測定するシステムを揃えているため、こうした判断ができました。
耳寄りなのは、あなたもROIを測定できるということ。コンテンツマーケティングの専門会社である必要はありません。
やるべきことは、ビジネス目標を決定し、関連する評価基準を追跡するためのシステムを設定するだけです(さらに耳寄りなことに、テクニカルサポートや新しいアナリティクスプログラムを購入することなく実施することができます)。少しばかりの事前作業を必要としますが、いったんこれらのシステムが整ったら、コンテンツマーケティングの効果を明確に示すことができます。
この段階的なロードマップを参考にすれば、測定可能な真のコンテンツマーケティングの成功に向けて自分の足で行動することができるのです。
コンテンツマーケティングの目標はビジネス成果を測定することなので、まずは達成したいことを定義しなくてはなりません。
この図は、それぞれのビジネス目標に合わせたKPIを示しています。
時間の経過に合わせてコンテンツをこれらのKPIにマッピングしていくことで、バイヤージャーニーをより深く理解することができるようになります。どのようなコンテンツが最も効果的だったかがわかるので、今後制作すべきコンテンツを知ることができるでしょう。
ここからは、それぞれのビジネスケースと、それに関連する測定すべきKPIを見てみましょう。
測定すべきKPI:
マーケティング担当者のほとんどが有料検索を利用した経験があり、その長所と短所に精通しています。有料検索の長所は、早く成果が出ることです。検索エンジンマーケティング(SEM)キャンペーンを開始すればすぐに利益は上がりますし、費用にもとづいてROIを簡単に予測することができます。コンテンツが素晴らしいものであっても平凡なものであっても、常に結果がついてきます。そのため、記事・動画・インフォグラフィックを定期的に制作するために、コンテンツ制作のオールスター人材や高価な代理店に頼る必要がありません。
欠点は、SEMのトラフィックはお金を支払い続けないと持続しないということです。支出を減らせば、トラフィックはたちまち下がってしまうでしょう。その結果、マーケティング担当者は支払いを続けざるをえず、SEMは年月が経つとともに非常に高価なものになってしまいます。
しかし、コンテンツマーケティングは長期戦です。複合的な効果を持っていますが、真のROIを実現するまでに数カ月はかかるのです。
コンテンツマーケティングはSEMと異なり、かなりの先行投資を必要とします。あなたは、オーディエンスの注目を集めるような高品質のコンテンツ(例:長文記事、解説動画)を制作するために時間を費やさなくてはなりません。コンテンツをリリースすれば少しは成果が反映されますが、報われるのは数カ月後です。
そして、時間の経過とともにコンテンツがインデックスされ、検索結果に表示されるようになります。コンテンツが魅力的であれば、ユーザーはあなたのコンテンツをあれこれ読んで、より多くのコンテンツにエンゲージするでしょう。そして、あなたは彼らとの関係を構築し始めるでしょう。最終的に、コンテンツが推進したトラフィックはSEMが推進したトラフィックを上回ります。
何よりも素晴らしいことは、あなたがそのすべてを所有しているということです。
「有料検索トラフィック 対 オーガニック検索トラフィック」を測定する方法: トピックの上位にランクインしている場合、そのトピックに対して同じ量のSEMトラフィックを発生させるために必要な AdWordsの費用を見積もりましょう。そして、有料検索広告を使った場合の検索トラフィックの支出額と、上位にランクインしたオーガニック検索のトラフィックを比較してみましょう。
以下で詳しく説明します。
「Cloud City Air」という航空会社があるとします。Cloud City Airは「Cloud City Air beach destinations」という用語を中心に有料検索広告に100ドル費やし、結果として200人の訪問者を獲得しました。そうすると、各訪問者を獲得するのに0.50ドルかかったことになりますよね。
それに対して、Cloud City Airが優れた記事と美しい画像、最高のロケーションへの旅行先をたくさん掲載し、SEOで最適化されて上位にランクインしたランディングページを持っていたとします。そして、「Cloud City Air beach destinations」のオーガニック検索を利用して300人の訪問者を獲得したとしましょう。この場合、訪問者を獲得するのにかかった検索広告費用は0ドルです。しかし、有料検索の費用にもとづくと、訪問者たちを150ドルと評価することができます。
まったく同じ方法で、ノーブランド有料トラフィックとノーブランドオーガニック検索トラフィックを比較してみましょう。
あなたのブランド名を検索する訪問者は、自分の行き先をすでに知っています(たとえば「NewsCred」や「NewsCred Insights」という用語を検索しているユーザーは、当社とエンゲージしたいと思っています)。
ノーブランドオーガニック検索トラフィックの計算は、自分の行き先がどこになるか見当がついていなかった人々について学ぶことができるので非常に重要です。
彼らは質問があるから検索エンジンに行き先を尋ね、そのインタラクションの結果あなたの元にたどり着きました(たとえば「コンテンツマーケティング企業」や「コンテンツマーケティングソフトウェア」という用語を検索した結果、NewsCredにたどり着く人もいます)。
それらのノーブランドオーガニック検索用語でどの程度上位にランクインしているかを確認すれば、SEMの金額をいくら節約できるかがわかるようになります。
ブランドは、ソーシャルフォロワー数の増加を総シェア数と比較して追跡すべきです。
マーケティング担当者の多くが総シェア数に気をとられがちでますが、より価値のある評価基準はソーシャルオーディエンスの増加です。彼らは将来、あなたのブランドのコンテンツにオプトインする人たちです。どちらも増加している場合は、あなたのオーガニックソーシャルシェアが適切なオーディエンスにリーチし、新規ユーザーの間でもシェア数が増加していることを示しています。
シェアオブボイスは、競合他社と比較して、あなたのブランドや製品が特定のトピックについてどの程度話されているかを本質的に測定するものです。
シェアオブボイスを計算するツールや代理店を使っていない場合、Googleアラートを設定してあなたのブランドが言及された回数と競合他社との比較を追跡し、重要な出版物におけるPRのヒット数を集計することができます。また、ソーシャルトラッカーを使用すれば、あなたのブランドに関する会話量と競合他社に関する会話量を測定することもできます。
ブランドの健全性が目的である場合、オーディエンスがあなたのブランドについてどのように感じているかを測定しましょう。
測定すべきKPI:
あなたは、おそらくこれらの評価基準に精通していると思うので、最初の7つは詳しく説明しません。それらを測定する際には、あなたのブランドに対するロイヤルティが高いユーザーを育てることを念頭に置き、関係の構築に重点を置いて測定することが重要です。2014年Social Media Todayによると、サイトにアクセスしている人の96%が購入する準備ができていないそうなので、よく覚えておいてください。そして、見込み客が購入する準備ができたらあなたのブランドを選択できるように、継続的に彼らと繋がる方法を考えなくてはならないでしょう。
ここで、平均エンゲージメント時間について詳しく見ていきます。平均滞在時間とページビューの比率は、さまざまな意味を持っています。
平均エンゲージメント時間の目標を決める際には、あなたのビジネス目標に最も適したものを検討してください。
測定すべきKPI:
コンテンツマーケティングの会社で実際に行っているコンテンツマーケティングの方法について説明しましょう。
NewsCredでは、収益への影響を証明する重要なKPIであるコンバージョンについて考えるとき、セールスファネル全体のコンバージョンを確認しています。
私たちはまず、行動の意図から確認します。人々は私たちとの関係を構築したいと示す行動を取っていますか? InsightsのブログからメインドメインのNewsCred.comに移動していますか? あるいは、その逆の行動を取っていますか? もしくは、繰り返しコンテンツをダウンロードしたり、コンテンツにエンゲージしたりしていますか?
次に、彼らが私たちとどのように深く関わればエンゲージメントやオプトインするかを見ていきます。私たちはニュースレターの購読者をリードとしてカウントしていません。代わりに、購読者の情報(職名と会社を含む)を記入してもらう追加フォームをひとつ設けています。これによって、私たちはリードを獲得し、時間の経過とともにニュースレター、ウェビナー、イベントといったより多くのコンテンツにエンゲージさせることができるのです。
私たちは、このプロセスを通じて関連性も測定しています。マーケティングクオリファイドリード(MQL)の定義を揃えるために営業チームと協力し、セールスチームにとってもMQLが重要な存在になるようにしています。
また、当社のコンテンツマーケティングチャネルと他のチャネルとの比較や、コンテンツマーケティングチャネルがイベント、AdWords、セールスアウトバウンド、リファーラルと比較してどのように機能しているかを評価しています。さらに、成約件数を確認し、機会あたりの費用や他のチャネルで生まれた成約件数との比較を行っています。その秘訣は、時間の経過とともにコンテンツマーケティングがどのように成長し、改善しているかを測定することです。
十分なデータが揃えば、予測モデルを策定して、ページビューに対してどれだけ成約件数を期待できるかを見積もることができます。
また、コンバージョンを測定するためにボトムアップアプローチをとることもできます。
この方法は手作業なので時間はかかりますが、個々のカスタマージャーニーに関する大きなインサイトを得ることができます。購入者が最終的に顧客に転換する行動を促したコンテンツが何かを把握することができるからです。時間の経過と一緒に多くのリードジャーニーを分析すれば、どのようなコンテンツがリードの育成と転換に最も影響を与えたのかを知ることができます。そして、そのデータを使用してコンテンツ戦略を策定することができるのです。マーケティングスタックにMarketoとSalesforceがある場合は、以下のアプローチが有効ですが、同様の原則は他のマーケティング自動化ツールでも同じように機能します。
それでは、NewsCredで使用しているボトムアッププロセスを段階的に見てみましょう。
(これらすべてを手動で行うのは大変ですか? NewsCredのコンテンツマーケティングソフトウェアを使用すると、コンテンツジャーニーやリード・機会・成約に対するコンテンツの影響を追跡することができます。従来の常識を打ち破ったこのソフトウェアは、各コンテンツのアトリビューション値を教えてくれます)
企業は顧客を維持することで、驚くべき経済的利益を得ることができます。
「完全にエンゲージしている」顧客(ブランドに強い愛着を持っている顧客、またはブランドアンバサダー)は、平均的な顧客よりも顧客内シェア・収益性・収益が23%も高いですし、顧客維持率を5%引き上げることで利益を80%も増やすことができます。
顧客を維持すると、以下の理由によって収益を増やすこともできます。
残念なことに、企業は顧客を維持するのが上手ではありません。顧客ロイヤルティを向上させるには、顧客とのインタラクションの頻度を増やす必要があります。カスタマージャーニー全体に効果をもたらすコンテンツを作成しながら、既存顧客を維持するための資産と配信計画を必ず用意しましょう。ほとんどの企業は、5年ごとに50%の顧客を失っています。顧客維持の失敗は企業の成長を25%から50%も悪化させます。コンテンツは、顧客を維持する上で必要不可欠な役割を果たすことができるのです。
測定すべきKPI:
まず、あなたのコンテンツを読むクライアントの割合を把握しましょう(マーケティング自動化プラットフォームを使用してください)。そのコホートを確認し、あなたのコンテンツを読まない顧客に関する以下の項目を測定します。
NewsCredで測定したところ、当社のブログにエンゲージするクライアントはより忠実で更新率が高いことがわかりました。顧客の33%がブログを購読しています。彼らの特徴は以下のとおりです。
これらのKPIを測定するためのシステムを設定するには時間と労力がかかりますが、あなたのコンテンツがビジネス目標に対してどの程度効果的かをより正確に把握することができます。目標に対して実際の数値を入れ、時間の経過とともにパフォーマンスを測定し、それに応じてプログラムを最適化することができるでしょう。そしてそのデータを使用すると、より大きなコンテンツマーケティング予算をCMOに要求することができますし、組織全体からより多くのサポートを得ることができようになるのです。
Shafqat IslamはNewsCredのCEO・共同創立者です。
ROIを測定するNewsCredのソフトウェア機能の詳細や、コンテンツマーケティングキャンペーンの改善方法について知りたい方は、デモ版をお問い合わせください。
元記事「Content Marketing ROI: How to Measure Brand Equity, Conversions, and Loyalty」は2016年10月6日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はNewsCred BlogのShafqat Islamが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。
amana Content Marketing
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コンテンツマーケティングの本場であるアメリカで、業界を牽引するリーディングカンパニーであるIndustry Dive。国内唯一の独占パートナーであるアマナがその集合知を活用し、成果へと繋がるコンテンツマーケティングをサポートします。
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