自動車業界のコンテンツマーケティング: 長い道のりと大きなチャンスを秘めた業界

優れたコンテンツマーケティングを実践するには、運転に気を配り、適切なスピードを維持し、行く手を阻む避けられない障害物を回避する方法を見つけることが必要です。しかし、自動車業界のコンテンツマーケティングの状況について言えば、一部の大手自動車ブランドはガス欠寸前です。

NewsCredは、【2018年版】ベストコンテンツマーケティングブランド50選を編集している際に、「自動車」カテゴリーが少ないことに気づきました。自動車ブランドはたった3社(Land RoverMAZDAZipcar)しかリストに載っていなかったのです。言い換えれば、自動車メーカーには、購入者、運転愛好家、ブランドを信奉してくれている顧客の心をつかむ大きなチャンスがあるということ。多くの自動車メーカーは、少なくともテスト主導型でコンテンツマーケティングを行っていますが、他の業界に遅れずについていっているのは少数の企業だけです。

たとえば、ほとんどの自動車ブランドは、堅調なコンテンツライブラリやコンテンツハブを構築するよりも、一度限りのキャンペーンに集中することを好みます。そして、非製品のストーリーテリングコンテンツが存在する場合でも、ブランドは必ずしも適切な配信チャネルを駆使して、見てもらいたいコンテンツに誘導できてはいません。

しかし、消費者は、とくに購入する車について調査している際、企業がコンテンツを活性化させることを望んでいます。以下のことを考慮してみてください。

  • AutotraderおよびKelley Blue Bookの調査によると、見込み購入者の88%がインターネットで、46%が複数のデバイスを使用して車を調査しています。
  • JD Powerの2017年メーカーウェブサイト評価調査(クロスデバイス)によると、自動車のブランドサイトの中で全体的な満足度が最も高いのは、情報/コンテンツだそうです。32%のデスクトップユーザーと29%のスマートフォンユーザーからこの回答が選ばれていました。
  • Cars Automotiveが発表したCar Buyer Journey 2018の調査によると、comのような第三者サイトがオンラインショッピングで最も人気である一方、44%の人々はOEM(相手先商標製造会社)のサイトも訪れています。

自動車ブランドがコンテンツマーケティングを最高速度へと上げる理由をもっと知りたいならば、Think With Googleによる以下の調査結果を考慮してください。

 

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  • この調査では、認識から購入に至るまでの消費者のカスタマージャーニーを追跡し、900回を超えるデジタルインタラクションのうち、71%がモバイルデバイス経由であることを発見しました。
  • 購入者は6社の自動車ブランドを検討し、オンラインでそれらのブランドと少なくとも20回のインタラクションをしていました。2社の自動車メーカーに絞り込まれた場合は、インタラクションがそれぞれ100回を超えていました。
  • 別のGoogleの調査によると、自動車購入者の半数以上(56%)が、360度映像を見ることができれば、車を試乗しなくても納得して車を購入できると答えました。

これらの調査が意味することは、自動車ブランドが自社のコンテンツエンジンに電力を供給するためには、顧客のことを十分に理解する必要があるということです。そうすれば、自動車ブランドは、顧客が望むコンテンツを提供することができ、最終的に彼らと一緒に長距離ドライブを続けることができるでしょう。

他社より抜きん出ている自動車コンテンツマーケティング戦略と、競争に復帰するためのヒントを以下で紹介します。

自動車をコンテンツの目玉にする

自動車ブランド数社が成功を収めた戦略は、ロングフィルムやショートフィルム、写真などの視覚的なストーリーテリングへ投資することでした。製品に焦点が当たらない従来型のコンテンツマーケティングとは異なり、自動車メーカーは自社の自動車モデルを主役に据えて成功を手にしています。自動車業界は、製品中心型コンテンツが機能する珍しい業界なのです。

 

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Land Rover Storiesを例に見てみましょう。Land Rover Storiesは、写真家が危険な天門山道路コロラド山脈アラスカといった美しく険しい場所でLand Roverを運転する冒険を記録した旅行記シリーズです。

また、Land Roverは、インフルエンサーとパートナーを組み、Land Roverでのドライブ旅行を記録したオリジナルビデオコンテンツを作成しています。美容・ライフスタイルを発信しているLydia Elise Millen氏のノルウェーでの試乗動画はその一例です。

Land Roverのソーシャルゲームは強力であり、ビジュアルコンテンツに焦点を当てる理由がよく理解できます。Land RoverのYouTubeアカウントには20万人を超えるチャンネル登録者がいます。ストーリーを促進させるInstagramには390万人のフォロワーがいて、それぞれの投稿で何千ものエンゲージメントを生み出しています。

他の映像主導型コンテンツを持つ自動車ブランドに、Mercedes-Benzが挙げられます。Mercedes-Benzは、F1レーサーMichael Schumacherの息子であるMick Schumacherとパートナーを組み、彼を#QuickMickというコメディシリーズのウェブ動画の主役にしています。このシリーズが2017年に立ち上げられたとき、Mercedesは1日に34回のソーシャルポストで宣伝を行い、1投稿当たり平均1万9,800のエンゲージメントを生み出しました。一連のエピソードは、Facebook上でも約2千2,000万人のフォロワーにシェアされています。

動画制作に長けている別の自動車メーカーはBMWです。Clive Owen、Dakota Fanning、Jon Bernthal、Vera Farmigaが出演したBMWの2016年のフィルム「The Escape」は、これまでにYouTube で710万回以上の視聴回数を記録しています。

自社の戦略を加速させましょう: 人々がモバイルデバイスを通じてより多くのコンテンツを消費し、高品質な画像への期待を膨らませているため、さまざまな業界のブランドはビジュアルコンテンツとビデオコンテンツの両方に力を入れて取り組んでいます。必ずしも本格的な映画を作る必要はありませんが、自社の自動車が主役のショートフィルムや写真主導型のストーリー作成から始めて、自社のソーシャルチャンネルから配信しましょう。

コンテンツの運転席に乗客を乗せる

自社チャンネルに顧客のコンテンツを掲載する理由が知りたい人は、次のことを考慮してください。ブランドを含めたユーザー生成型コンテンツ(UGC)は、ブランド生成型の投稿と比較して6.9倍ものエンゲージメントを誇っていました。この事実を正直に受け入れましょう。人々は、自動車やロードトリップの写真をシェアするのが大好きなのです。

Porscheは、この考えを活用してハッシュタグ#PorscheMomentを使い、ファンにスマートな乗車風景をシェアするよう促しています。Instagramでは、4万6,000人以上がこのハッシュタグを使用して投稿しており、Porscheも喜んでファンたちの投稿をシェアしています。

 

Timeless beauty #PorscheMoment (

: @sportfahrer)

A post shared by Porsche (@porsche) on Apr 29, 2018 at 8:33am PDT

時を越えた美しさ#PorscheMoment(写真提供者:@sportfahrer)

 

MAZDAは同様の戦術を利用しており、Miataの所有者にスポットライトを当てるため、ハッシュタグ#MiataMondayを使って写真を投稿するよう促しています。

 

When you’re soaring on the interstate, there shouldn’t be anything on your mind except soaring. #MiataMonday (Photo Credit @nd_rf)

A post shared by MazdaUSA (@mazdausa) on May 7, 2018 at 9:52am PDT

州間高速道路を駆け抜けているときは、駆け抜けている感覚以外頭の中にないはず。#MiataMonday(写真提供者:@nd_rf)

 

自社の戦略を加速させましょう: UGCとソーシャルメディアは密接に関係しているため、ユーザーが喜んでシェアしてくれるコンテンツの種類を検討し、コンテンツのシェアを求めましょう。あるいは、事態を好転させて継続的なエンゲージメントを生み出すために、抽選、コンテスト、またはその他のギフトを使って、ユーザーが自社のブランドに関する投稿をシェアしたくなるようなインセンティブを与えましょう。

ダイナミックなデジタル出版物を推進する

街でさまざまな自動車雑誌やドライブ雑誌を見かけると、なぜ自動車ブランド自体が雑誌を発行していないのか、疑問に思うかもしれません。MAZDAのZoom-Zoom Magazineは、数少ない例外のひとつです。

 

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アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本のファンに向けて数年前から発行されているこのデジタルマガジンは、いまだに自動車コンテンツの最高クラスの事例として際立っています。

コンテンツの多くは本質的にプロモーションですが、MAZDA愛好家たちは自分の好きな自動車ブランドに関するテキスト、ビジュアル、ビデオコンテンツを楽しむことができます。最近公開した2018年春号のストーリーでは、研磨・スタンピング・車両組み立て分野の生産の最適化に取り組んだ45歳の従業員タカイシゲル氏のプロフィールや、排気ガスの削減を目指す新しいSKYACTIV-Xエンジンの特長が掲載されています。

それぞれのストーリーには、マルチメディア要素、魅力的な写真、さらにはオプションのダウンロードコンテンツも含まれています。もちろん、#ZoomZoomMagハッシュタグを使用した自分のストーリーや写真をシェアするように読者にも促しています。

強引な売り文句は全く掲載されていませんが、ページの一番下までスクロールすると、見積りのリクエストや地元販売店の検索といったコールトゥアクションがあります。

自社の戦略を加速させましょう: 自社の製品やモデルのスペックだけでなく、自社ブランドの裏側のストーリーに焦点を当てましょう。舞台裏で働いているのはどんな人たちですか? 自社ブランドは、ターゲットとなるコミュニティのために何をしていますか? 自社の顧客はどのような冒険に乗り出していますか? こういった質問は、本物のコンテンツ戦略を促進するのに役立ちます。

上手に自社コンテンツを駐車させる

コンテンツハブが進化するにつれて、自動車業界のコンテンツハブは非常に少なくなってしまいました。しかし、手本となるブランドを探しているならば、Ford以外を探す必要はありません。Fordは、記事やソーシャルメディアストリームなどを含む社内コンテンツをsocial.ford.comに保管しています(欧州版もあります)。

 

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そこには、ドローン技術のイノベーションに関する特集記事から、子供向けにDIYの電動車を作る方法を教える短いハウツービデオ(これはFord STEAM Experienceイニシアチブの一環です)まで、あらゆるコンテンツが掲載されています。

また、340万人のInstagramのフォロワーを含めていることから、Fordはソーシャルチャンネルを通じてコンテンツをシェアすることに非常に長けているとわかります。

自社の戦略を加速させましょう: 多くのブランドがコンテンツを作成していますが、後世のために収蔵したり、一カ所所にマッピングしたりしている企業はほとんどありません。明確で活気があり、ナビゲートも容易なコンテンツハブを作成することは、自社ブランドを最も端的に示し時代を超越した最新ストーリーを紹介する素晴らしい方法です。

新しい領域へと冒険する

2017年の夏、Acuraは拡張現実機能を搭載したヘルメットを4人のインフルエンサーに着用させ、カリフォルニアのエルトロのレーストラックの周りを運転してもらうことで、joy ride(スリルを味わうための無謀な運転)というコンテンツマーケティング戦略を取りました。この技術は、火山噴火や吹雪といった冒険的なシーンをシミュレーションすることができます。約50万人がFacebook、Twitter、YouTubeのライブストリームを視聴し、Facebookだけでも90万回以上再生されています。

 

 

「拡張現実の技術が誕生してから数年が経ちましたが、仮想世界と組み合わせて車を運転したり、何か別のことを行うエクスペリエンスを生み出したりした人はいませんでした」とAmerican HondaのソーシャルメディアマネージャーであるJessica Fini氏はAdweekに語っています。

自社の戦略を加速させましょう: たまには、何か違うことを試してみましょう。成功を収めるかもしれません。新しいデジタルプラットフォームでも、自社ブランドを愛してくれるインフルエンサーとのパートナーシップでも、予期せぬ行動を取ることで退屈な時間にブレーキをかけてくれるかもしれません。

全体的に、上記すべての自動車ブランドのコンテンツマーケティング・イニシアチブは印象的です。戦術を組み合わせて、プラットフォーム間で包括的かつ一貫したブランド戦略を作り出し、最終的にレースに勝つことができるのが自動車メーカーなのです。

 

Dawn PapandreaはNewsCredの寄稿者です。

 

元記事「Auto Content Marketing: Why Car Brands Have a Long Road Ahead」は2018年5月28日にInsights.newscred.comに掲載されました。

 

この記事はNewsCred BlogのDawn Papandreaが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

 

また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

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