優れたデザインが世界中で当たり前に存在するようになり、ウェブサイトからコンテンツに至るまで、すべてに影響を与えています。私たちの脳は、視覚情報をより迅速に吸収、処理、理解するための配線が張り巡らされています。雑念の多い世界にシンプルさと明快さをもたらすため、デザインはあらゆるエクスペリエンスを実質的に改善することができるのです。
私は心理学の原則を使って、デザインとコンテンツマーケティングを改善する方法について執筆してきました。この記事では、デザインに重点を置き、重要な側面を分析したいと思います。重要な側面とは“色”です。色はマーケティングとデザインの基本。それは私たちの心に大きな影響を与え、製品やエクスペリエンスへの感じ方を変えるかもしれません。色の力は強力です。コンテンツマーケティングとユーザーエクスペリエンスをサポートすることも、コンテンツの効果を低下させることもできてしまいます。さらには、熟練したコンテンツハブデザイナーの手によって、感情に影響を及ぼす強力なツールにすることもできます。最終的に、色を使って人々の反応を引き出し、特定の行動をとらせることも不可能なことではありません。
色彩心理学は、色が人間の行動にどのような影響を与えるかという科学です。それは、行動心理学の幅広い分野の一分野とみなすことができます。マーケティングの権威であるNeil Patel氏は、「特定の製品を購入した理由の85%は色である」と自著に書いています。どのようなウェブサイトであっても、色がコンバージョンに影響を及ぼすことは考えるまでもありません。以下のように、色に関する興味深い統計も出ています。
カラーホイール(色相環・円形のカラーチャート)を使用すると、調和のとれたカラースキームが作成でき、効果的な視覚的エクスペリエンスを実現することができます。
上から時計回りにー赤(原色)、赤橙(第三色)、橙(等和色)、黄橙(第三色)、黄(原色)、黄緑(第三色)、緑(等和色)、青緑(第三色)、青(原色)、青紫(第三色)、紫(等和色)、赤紫(第三色)
赤、黄、青の原色は、他の色を組み合わせて作り出すことができません。緑、オレンジ、紫の等和色は、原色を混ぜてできる色。そして第三色は、原色と等和色を混ぜてできる色です。
コンテンツマーケティングの観点から言えば、コールトゥアクション(CTA)に最適のコンバージョンカラーは、赤、緑、オレンジ、黄色といった明るい原色と等和色です。黒、暗灰色、茶色、または紫のような暗い色は、コンバージョン率が非常に低いです。
事実、世界最大の小売業者の「カートに追加」ボタンはオレンジです。
色が影響を与える要素としてほかに挙げられるのは、見出し、メニュー項目、リストです。
色は人口統計や年齢層、文化、国籍によって、異なる意味を持ちますが、探求すべき普遍的な共通点がいくつかあります。自分のブランドやウェブサイトの色(複数の色を含む)を決定する最善の方法は、リーチさせたいターゲットグループと彼らから引き出したい感情を考えてみることです。
個々の色の心理学を分析し、マーケティング担当者がどのように利用できるかを見てみましょう。
青は最も採用される色のひとつですが、それには正当な理由があります。青色を分析した文献によると、青は信頼、平和、秩序、忠誠を意味する色です。これらの属性を持っていることから、アメリカのマーケティングで最もよく使用される色のひとつであり、世界中でも使用されているのです。
青は、静けさと落ち着きの感情を呼び起こします。それは多くの場合、平和で、静かで、安全で、整然とした色だと表現されます。研究団体は、多くの人が青色による心理的影響があると合意しています。信頼性と静けさというメッセージは本物です。あなたのウェブサイトとランディングページでもこの色を利用すると良いでしょう。
Facebookを筆頭に、主要なソーシャルメディア企業はブランディングカラーに青を使用しています。IBM、Intel、Dellなどのテクノロジーブランドも、信頼を呼び起こすために青を使用しています。これらの企業は、人々の日常に信頼できるエクスペリエンスを生み出す会社です。家電製品や機器類を販売するブランドも青を好みます。そう、GEとFordも使用していますよね。Allstate、J.P. Morgan、American Expressなど多くの金融会社も、青を使ってブランディングをしています。金融機関では、青は財務の安定を意味します。
黄色は警告の色です。そのため、アラートや交通信号によく使用されます。小さなボタンやコールトゥアクション(CTA)が黄色だと、ユーザーを不安に感じさせることもありますが、コールトゥアクションへ促すには必要なものです。黄色のもうひとつの利点は、とても明るい色なので訪問者が多いページの中でも目立つということ。
黄色は太陽の色でもあり、楽観主義、明快さ、暖かみといった感情を呼び起こします。消費者を笑顔にしたいブランドは黄色の力を求めます。McDonaldのゴールデンアーチは子どもにとって親しみやすいものになっていますし、Snapchatの鮮やかな黄色は友好的かつ遊び心満載です。
最も直感的なつながりを感じるのが緑色です。緑はアウトドア、環境保全、自然、そして環境の色です。あなたのウェブサイトで取り扱う対象がこのいずれかのトピックと関連しているならば、ブランディングカラーに緑を選択すべきでしょう。
環境に配慮した製品を扱う多くのブランドが緑を使用しています。エネルギー企業の中には、自然と環境を尊重するために、ウェブサイトやマーケティング資料をリブランディングし、そこで緑を採用したという例も。BPやSchneider Electricがその一例です。
緊急性を示唆するオレンジは、メッセージを際立たせ、すぐに実行できるよう促します。Amazon.comは、「期間限定タイムセール」のバナーにオレンジを使用していますよね。
オレンジは「楽しい」を伝える色としても使用できます。オレンジは行動、興奮、競争を呼び起こす色。そのため、スポーツチームや子供向け製品には、ブランディングでオレンジを頻繁に使用しています。この色は子どもにとっても親しみやすい色です。オレンジの絵の具が飛び散ったようなNickelodeonのロゴは世界中の若者から人気を集めていますし、FantaとCrushのオレンジソーダは甘党たちを魅了します。
赤は情熱的で暖かく、エキサイティングで、セクシーで、緊急性をも示す力強い色です。それは血の色や、一時停止の標識、高尚なバラの色。赤はテクノロジー産業や娯楽産業と相性が良いです。任天堂とNetflixを想像してみてください。どちらも赤の力を利用していますね。Coca-Colaは赤の居心地良さを活用しています。同社の広告と相まって、Coca-Colaのブランドロゴはポジティブさと愛情を呼び起こしているのです。
真の愛情とは、あなたのコーラを分け合えること。#ValentinesDay
色彩心理学では、色調が濃くなるほど、高級感を感じるといっています。黒と紫はエレガントさや洗練さを想起させる色で、ChanelからEquinoxに至るラグジュアリーデザイナーや高級ブランドが顧客に感じてほしいイメージと重なります。
ダイナミズムを高め、感情を刺激するツールとして色を採用する企業もあれば、色を散発的に使用するモノクロのブランディングスキームを採用する企業もあります。レイアウトにモノクロスキームを使用することは、全体的なUXに焦点を当てながらも、バランスのとれたインターフェースを描きたいデザイナーにとって、一般的なマーケティング手法です。モノクロのデザインは、シンプルなメッセージを伝えるときに最も効果的を発揮します。このカラースキームは、様々な色調と色合いの単色を使用することを含みます。目に優しく、ミニマリズム的で洗練された外観を作り出すのに役立つことでしょう。優れた一例として、デザイナー向けウェブサイトのA List Apartが挙げられます。
色は、ほとんどの文化的要因と同じように、世界の特定の地域で異なる意味を持ったり、異なる意味として認識されたり、異なる意味を呼び起こしたりすることもあります。一部の国、もしくは特定の国の地域によっては、異なる属性や異なる価値観を示す場合があるということです。各文化の色の意味を解釈して表現する方法は、世界中で大きく異なります。たとえば、リベリアのバッサ族は、色を分類するのに2つの単語(赤/オレンジ/黄色を表す「ziza」と、緑/青/紫を表す「hui」)しか使いませんが、イヌイット族は同じ白でも雪の状態によって17種類の単語を使い分けていると伝えられています。
たとえば、紫は一般的に贅沢、富、王室といった属性を表しますが、タイでは喪に服すときの色とされます。メキシコでは、緑は独立を表明するナショナルカラーです。
このように、マーケティング担当者はグローバルマーケティングキャンペーンを開始する前に、地域の文化的なニュアンスを調査し、考慮しなくてはなりません。
色の選択を適切にすることで、ブランドの認知度と可読性を向上させることができます。つまり、色をうまく活用できれば、ナビゲーションを簡素化し、コールトゥアクション(CTA)を強化することができるのです。国境を越えたブランディングやコンテンツの発信は、色をうまく使うことが難しいと感じるかもしれませんが、成功事例は数多くあります。たとえば、ティーブランドのLiptonはヨーロッパ、中東、北米、アジアの一部地域で人気を博し、110カ国以上の市場に参入しています。このブランドの特徴的な黄色と赤のカラーパレットは、世界中で使用されています。Liptonのマーケティングキャンペーンはどの国においても適切であるように設計されていますが、個々の文化に合わせてスマートに調整されているのです。
Giuseppe Caltabiano氏は、コンテンツマーケティングとデジタルマーケティングに関する基調講演家および執筆家です。彼のブログ「国境を越えたコンテンツマーケティング」では、グローバルコンテンツマーケティングに関する記事をご覧いただけます。
元記事「The Psychology of Colors in Content Marketing」は2018年2月22日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はNewsCred BlogのGiuseppe Caltabianoが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
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