コンテンツがインターネット上に公開されているのに、誰も見ていないとしたら、それは存在しているといえるのでしょうか? 哲学的な思索はさておき、実際のところコンテンツ配信の戦略がなければ、他にないほど優れたクリエイティブであり、革新的、画期的なコンテンツであっても、発見されることはあり得ません。
効果的なコンテンツ配信の戦略は、コンテンツをターゲットになるオーディエンスの目の前に届けるだけではありません。オーディエンスとの関係を築き、最終的には、動画を見る、メールニュースに登録する、記事を読む、ホワイトペーパーをダウンロードするなど、効果的な戦略はあなたが望むような行動をとることに貢献してくれるのです。
戦略には有料と無料の配信チャネルを組み込むことができます。それぞれのチャネルは、他のチャネルと連携し合います。そのためビジネスの目標達成に貢献してくれる配信チャネルを選択する必要があります。
コンテンツの配信方法にベストプラクティスはないということを忘れてはいけません。存在するのはあなたのブランドにとっての最適な方法のみであって、ブランドのコンテンツ、読者、目標、分析、そして配信しながら試行錯誤を繰り返し、最適な方法にたどり着けるのです。
読者にコンテンツを読んでもらいたいのはなぜ? コンテンツマーケティングのゴールを決めましょう。ブランドの認知度を高め、リードを増やし、ユーザのエンゲージメントを高めたい。毎日買い物をしないにしても、ECサイトにアクセスしてもらいたい。または、サイトの集客によって、メールニュースに登録させ、購読者との関係を築きたい、など。
オーディエンスは誰? 誰にリーチしたいのかを定義しましょう。見込み顧客や既存の顧客に語りたい。ミレニアル世代にブランドに関する情報を発信し、彼らをブランドの賛同者へと育てていきたい。または、組織の中で購買決定力をもつ上級管理職以上の人物にリーチしたい、など。
どのようにオーディエンスはコンテンツを消費するのか? オーディエンスのいる場所へ行き、彼らの言葉で話しましょう。どのように、いつ、どこでコンテンツの内容に関心を向けるのかを想定し、その考察を戦略に取り入れるのです。たとえば、ターゲットが上級管理職レベルであるなら、Facebookの購買ボタンよりも、ターゲットが絞られているEメールキャンペーンを用いたほうが適切なリーチをを増やせるはずです。
ビジネスのゴール、ターゲットとなるオーディエンス、オーディエンスの振るまいを特定すれば、これらのデータを配信の戦略に活用することができるようになります。
信頼性の高いトラフィックソースが必要な場合、有料配信チャネルが便利です。
以下のような例では、有料配信はコンテンツ配信の戦略上のキーとなります。
有料配信では、支払いをやめた途端に数字は下ります。すなわち、トラフィックが持続可能ではないということを忘れないことが大切です。有料配信は、戦略全体では不可欠な部分かもしれない一方で、戦略的に実施する必要があります。
有料配信の利点は、結果に対して代価を支払うので、オーディエンスをオーガニックに増加させようとするのに比べて、トラフィックを簡単に見積もれるという所にあります。リーチした人々の興味が持続するのはどんなシステムなのかを考え、さらに有料で得たトラフィックをどのようにしてアーンドトラフィックやオーガニックトラフィックに変化させるかを考えましょう。
有料配信ネットワークをタイプ別に確認してみましょう。
アドネットワーク
アドネットワークは一般的に「クリック課金(PPC)広告」と呼ばれています。アドネットワークがコンテンツをユーザに対して表示し、誰かがコンテンツに興味を持ちクリックする都度、課金されます。
PPC広告には以下の2種類があります:
リスティング広告では、キーワードに対して支払いを行います。キーワードを検索した際に、検索結果画面に広告として表示されるものです。BingやYahoo!プロモーション広告などたくさんのリスティング広告がありますが、最もよく知られているのがGoogle AdWordsです。
下の画像を見てください。URLの隣に緑色の「Ad」マークがついているものがリスティング広告です。
もうひとつ、コンテンツPPCというものがあります。コンテンツディスカバリーネットワークがコンテンツPPCの背後にあります。コンテンツPPCでは、しばしばウィジェットによって記事や動画をウェブサイトに配信します。OutbrainやTaboolaなどがコンテンツPPCの例です。下の画像は、どのようにOutbrainのウィジェットがCNNの記事の下で読者が興味を持つような別の記事を表示しているかの一例です。
アドネットワークを利用するヒント
ペイドソーシャル
ソーシャルネットワークにおいても、マーケター側が広告を運営し、特定の読者をターゲットにすることが可能です。ペイドソーシャルの費用は手頃なものから高額なものまでさまざまです。そのため、いつ、どこに、どのように予算を割り当てるか、戦略的に考えましょう。以下のような目標にもとづいて、計画の概要を作成するところから始めましょう。
ソーシャルネットワークそれぞれが提供する広告フォーマットやオーディエンスのターゲティングのオプションを見てみましょう。
Facebookは1日9億人以上のアクティブユーザを誇ります。巨大なソーシャルネットワークのひとつで、どんなターゲットオーディエンスであろうと、アクティブユーザの一定数の存在を見込むことができます。Facebookの広告ツールを使用しながら、あなたの目標に応じて広告をカスタマイズできるのがポイントです。以下のオプションを選択することが可能です:
Facebookでは、地域、年齢、性別や言語などの基本的なデモグラフィックによって、オーディエンスのターゲット設定ができます。興味(好みのFacebookページやアプリケーションにもとづく)、振るまい(ページやアプリケーション上での行動にもとづく)、つながり(オーディエンスが所属するネットワークにもとづく)によって、さらに深くターゲットを設定することも可能です。
Facebookの広告はモバイル端末やデスクトップPC上ではタイムライン上に表示されます。またデスクトップ上では右カラムに表示されるものもあります。広告には画像や動画の掲載も可能です。
この写真や動画の投稿によるソーシャルネットワークは、今日では総ユーザ数は5億人以上で、3億人が毎日利用しています。見ることに特化したプラットフォームなので、Instagram上で運営する予定の広告には、際立った写真や動画が含まれている必要があります。
広告を運営するためにはInstagramの親会社で設定する必要があります。つまりブランドのFacebookページとFacebook広告アカウントとを作成しなければなりません。
その後は、以下のような目標にもとづいて広告の種別を選択できます。
InstagramはFacebookと同様のターゲッティングオプションを提供しており、広告は3種類のフォーマットのうちの1種類で掲載することができます。
Twitterでは140文字以内の文章を投稿するソーシャルネットワークとして、月3億1300万人のユーザが使用しており、以下の目標を達成するための広告ソリューションを提供しています。
読者ターゲティングオプションは以下の通りです。
広告はすべてユーザのTwitterフィードや他のツイートにおいて共有される形で表示されます。画像やCTAボタンを用いた広告など、複数のフォーマットから選ぶことができます:
Meet your new followers, faster. Share your best Tweets with potential new customers with Twitter Ads. https://t.co/hAWq1nbHFl
— Twitter for Business (@TwitterBusiness) August 31, 2016
あなたの広告に合ったフォロワーをどんどん増やしていきましょう。Twitter広告を用いて見込み顧客とマッチするようなツイ―トを共有しましょう。
広告にGifや動画を組み込むこともできます:
New Twitter and TV course is live on #TwitterFlightSchool https://t.co/36AobgEuz4 pic.twitter.com/CbGjJw94on
— Twitter Advertising (@TwitterAds) May 20, 2016
LinkedInでは4億5000万人のアクティブユーザを擁していて、プロフェッショナルへリーチすることに関しては理想的なプラットフォームです。これは他のソーシャルネットワークが提供するよりも、やや堅い層を求めているB2Bビジネスにおいてはとくに良いオプションとなるでしょう。
LinkedInでは以下のような場面に表示される広告フォーマットを提供しています:
サイトでは業界・企業規模・職種・役職などによるオーディエンスのターゲット設定が可能です。
LinkedInにはSponsored InMails 広告オプションというものも存在し、あなたのターゲットのLinkedInの受信トレーにカスタマイズされたメールを直接送信することが可能です。
Pinterestは月間1億人のユーザを誇ります。このビジュアルによるインスピレーションに富んだサイトでは、マーケターは以下のゴールにもとづいたプロモートピンを選択できます。
広告は通常のピンと同じですが、たくさんの読者に宣伝が可能です。広告は以下の要素でターゲットを設定できます。
Kohl’sのプロモーションPinがPinterestフィードにどのように現れているかを見てみましょう。
ペイドソーシャルを利用するヒント (ネットワークを問わない場合)
ネイティブ広告(ブランデッドコンテンツとしても知られています)
ネイティブ広告はブランデッドコンテンツとしても知られています。これはブランドが提携したいと考えているパブリッシャーと共に、パブリッシャーのサイトで彼らのオーディエンスにリーチするコンテンツを制作するという提携関係にもとづきます。
ネイティブ広告では、時間・資金の両面において莫大な先行投資が必要なので、ブランド側は、マーケティングのゴールを定め、パブリッシャーのオーディエンスがターゲットとなるオーディエンスであり、ネイティブ広告によりターゲットオーディエンスが意図した行動を取ってくれることを確かめましょう(たとえば、コンテンツによって、パブリッシャーのサイトからブランドサイトへと、ユーザは遷移するでしょうか)。
有名なパブリッシャーの多くではネイティブ広告サービスを提供しています。ブランド提携の例をいくつか見てみましょう。
2年半におよぶ改装工事を終えた、ニューヨークのフラッグシップ店の新装開店のプロモーションのため、CartierはNew York TimesのT Brand Studioを利用したインタラクティブ記事を公開しました。
無線通信技術を開発する企業であるクアルコムは、雑誌アトランティックと共同で複数のシリーズからなるネイティブ広告のプロジェクトを開始しました。「 Could: Painting What’s Possible」と名付けられたこのプロジェクトには、委託製作によるアートワーク、展示物、動画や長文記事などが含まれ、テクノロジーがどのようにイノベーションを形作るのかを探っています。
ネイティブ広告を利用するヒント
「オーガニックな配信」では、費用をかけることなく、時間経過により読者を増やしていくチャネルを意味します。オーガニックチャネルにはソーシャルネットワーク、Eメール施策、その他の無料コンテンツ配信プラットフォームが含まれます。
ソーシャルメディア
ソーシャルメディアを有効活用することにより、ブランドは多くの利益を得ることができます。消費者との双方向による対話を通して、消費者がブランドをどのように思ってているのかについての貴重な考察を得ることができます。定期的に記事を投稿し、ユーザーのフィードに登場することを通して、ブランドの認知度を高められるだけでなく、ブランドが思い出されやすい状態となります。ほとんどの人はあなたから毎日買い物をすることはありませんが、彼らがあなたから買うときには、おそらく彼らはあなたのことを思っているのです。
ソーシャルメディアでは、あれもこれもやろうとしないことが重要なカギとなります。プラットフォームには、それぞれの強みがあり、成功するためには、それぞれの特性にあった戦略が必要です。ブランド、オーディエンス、ゴール、宣伝したいコンテンツの種類などに応じて最適なプラットフォームを選び、投稿したり、参加したりするための戦略的計画を作成しましょう。
ソーシャルメディアでオーガニックに配信するためのヒント
無料コンテンツプラットフォーム
面白いコンテンツを無料コンテンツプラットフォームにアップロードすると、プラットフォームのユーザがコンテンツを閲覧することができます。理想的には、アップロードしたコンテンツを閲覧することによってサイトを訪問したユーザに、あなたが、さらなるつながりを築き上げることができます。このようなネットワークに投稿したコンテンツは検索エンジンにも表示されるようになるので、結果として、あなたを見つける他の方法を作り出すことにもつながります。
YouTubeとSlideShareが無料コンテンツプラットフォームの例として挙げられます。YouTubeは誰でも動画の投稿が可能ですし、SlideShareにはプレゼンテーション資料のスライドを投稿することが可能です。どちらのフォーマットも、リーチしたいオーディエンスのタイプによっては非常に効果的です。
YouTubeを利用するヒント
SlideShareを利用するヒント
クラウドソーシング
ファンが最も重要な配信チャネルのひとりとなるかもしれません。ファンを招待し、コンテンツに参加し、シェアすることを推奨することで、大きな結果を残すことができるでしょう。オーディエンスの興味を引き、ブランド認知を高め、ブランドをより広めるために使うことができる追加のコンテンツを得ることができるかもしれません。
たとえば、Infatuationという有名なレストランのレビューサイトではハッシュタグ#EEEEEATSを作成し、Instagramで美味しそうな画像にこのハッシュタグを書き足して投稿することを始めました。画像とハッシュタグとの組み合わせは支持を集め、Infatuationファンは、#EEEEEATSをつかって390万以上の画像を投稿しました。Infatuationではこのようなクラウドソーシング画像を、ブランドをより大きく成長させるために活用しています。最高の一枚を購入して、自身のInstagramのアカウント上に再投稿 し、ウェブサイトでも紹介しているのです。
Now that’s how you falafel in Tel Aviv. Awesome #EEEEEATS
: @nabilachami
Tel Avivのファラフェルを食べています。最高に美味しいです。#EEEEEATS
クラウドソーシングを利用するヒント
検索エンジン最適化(SEO)
SEOはキーワードを活用して、コンテンツを検索結果の上位に表示させる手法のことです。絞り込まれたキーワードの戦略によって、それぞれのページに何が書かれているのか、そのページがユーザにとってどれくらい便利なものなのかを検索エンジンが理解します。検索エンジンアルゴリズムは常に変化しますが、あなたのコンテンツの検索順位を上げるためのベストプラクティスがいくつか存在しています。
SEOを行うためのヒント
Eメールやパーソナライズによるリードナーチャリング
リードナーチャリングは購入サイクルの初期段階において、見込み顧客とビジネスの関係を築くプロセスを指します。時間をかけて、最終的に見込み顧客が消費者となるまで、彼らとコンテンツを通じて関わりを持ちます。
潜在的なリードを追跡し育てるためのデータベースを作成する目的で、メールニュースへの登録、ホワイトペーパーのダウンロード、閲覧制限のある動画へのアクセスなどの際に、ユーザが記入したフォームの情報を獲得します。収集した情報には、業界、企業、職種などの情報が含まれています。このような情報により、貴重な見込み顧客を見つけ出し、それに応じて顧客情報をセグメントすることが可能となります。セグメントができれば、見込み顧客にEメールやウェブサイトを通して、パーソナライズされて、彼らに最も関連のあるコンテンツを提供することができるようになります。MarketoやHubspotなどのマーケティングオートメーションプラットフォームでは上記のプロセスを管理します。
リードナーチャリングを行うヒント
コンテンツが注目を集めるようにするのは、簡単な仕事ではありません。これは常に未完成の状態です。上に紹介した配信戦略を組み合わせ、最適化を試みることで、オーディエンスを増やし、ブランドメッセージを伝え、より多くのオーディエンスを顧客に変えることができるようになるのです。
元記事「How to Build a Perfect Content Distribution Strategy」は2016年10月10日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はNewsCred BlogのDawn Papandreaが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたします。
また、日本におけるNewsCred パブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。
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