ビデオコンテンツが増加中だということは、周知の事実です。動画コンテンツは2019年までに、アメリカ国内における検索トラフィックの85%を生じさせる推進要因となるとみられています。Snapchat、Instagram、Facebookの別を問わず、ソーシャルメディアにおける動画コンテンツは、2017年、マーケターが重要視しなければならないものです。さらに、マーケターが把握しておかなければならないのは、各ソーシャルチャネルが、自身のプラットフォームをどのように最適化して、ユーザのフィードに載るビデオコンテンツを増やしているかであり、また、ブランドが自身のフォロワーと関わりを持つため、どのように動画コンテンツを利用しているか、ということです。
上述の大手ソーシャルネットワークが自身のプラットフォームを最適化している理由として、今後の検索トラフィックは大部分がビデオコンテンツに由来するであろうこと、そして、これからのマーケティングプロジェクトはデジタルへの高額支出を伴うであろうことがあげられます。それを説明するのはeMarketerによるデータで、これは、今後4年間にかけて予想される、アメリカ国内の広告支出についてのものです。これらの将来予測が示すのは、デジタル広告への支出が平均で年130億ドルと、大きく増加するだけでなく、近い将来において成長が見込まれる広告形態が、ソーシャルと動画に限られているということです。ソーシャル型の広告が大きく成長し、ビデオ型の広告支出も99億ドルから280億ドルへと184%の急増が見込まれており、種類別の成長速度ではこの2つで上位が占められています。
最近開催されたInstagramの広告に関するオンラインセミナーにおいて、Brand Networksが論じたのは、動画コンテンツにより、マーケターがInstagramに広告を出すやり方はどう変わっていくのかということでした。下の表は、Instagramにおける広告インプレッションの65%は動画コンテンツによるということを示しています。セミナーによれば、この表には示されていないものの、2015年9月においては、広告インプレッションの中で動画コンテンツによるものは9%しかなかったということです。たった5か月間で622%の増加があったのです。
Image: Brand Networks Webinar
しかし、なぜマーケターは動画広告の流行に飛びつくのでしょうか。eMarketerがそう予測するからというだけではなく、動画広告が、従来型の静的な広告よりも、強いエンゲージメントと多くのクリックスルーを生み出すことを理由として挙げられます。
ご存じのように、今月、InstagramはInstagram Storiesを公開しました。これは、基本的に、InstagramのアプリへSnapchatをただ埋め込んだだけのものです。ブランドは先を争ってこの新機能の使い方を理解しようとしてきました。ほとんどのB2B、B2C企業はInstagram StoriesをSnapchatと同じやり方で使い、舞台裏を扱ったコンテンツをシェアしたり、消費者に向け新製品をいち早く見せたり、イベントの広報をしたりしています。Instagram StoriesがSnapchatに対して持つ大きな強みは、巨大なユーザ基盤です。Instagramのユーザは、加工された写真や個人のストーリーを、すべて1つのアプリによってシェアできるという利便性を得られます。
Facebookもまた、1日の動画閲覧数でSnapchatに追いつこうと、新戦略を実行して、ユーザが動画コンテンツによる個人のストーリーをシェアするよう促しています。FacebookはSnapchatを戦略の手本とすることに決め、カナダとブラジルのユーザに対して、リオ・オリンピックの開催期間中、一定期間で消える写真および動画コンテンツをアップロードする機会の提供を始めました。また、ユーザが自身のコンテンツを加工するための、オリンピックをテーマにしたフィルターも配布しています。Facebookの戦略は、サードパーティのコンテンツだけでなく、ミレニアル世代がシェアする個人のストーリー数を増やすことにあります。この動きはFacebookによるMSQRDの買収に続いて起こりました。MSQRDは、Snapchatと同様のイメージフィルタを作る企業です。
『FacebookによるCameraFeedとMSQRD自撮り用フィルターの統合テスト(Facebook tests CameraFeed and MSQRD selfie filter integration)』、投稿者Josh Constine
Facebookのページ上をスクロールしているだけでも、記事のリンクという従来型のシェアに代わって、毎日大量の動画が作られていることに気がつくはずです。ライフスタイル・ブランドとパブリッシャーのどちらも同様に、エンゲージメントを強める動画コンテンツを制作し、数百万の閲覧数を獲得しています。そのようなパブリッシャーとしては、たとえばTastyやNordstromがあります。Tastyは口コミで広まる料理動画を制作しています。小売り大手であるNordstromはブランドのファンに360度を見渡せるランウェイ体験を提供しています。パブリッシャーからの報告によれば、自サイトにFacebook経由で流入するトラフィックが著しく減っており、減少幅は50%にもなることがあります。それにも関わらず、Buzzfeed – Tastyは2週間で閲覧数を8,000万も獲得できているのです。これが示すのは、消費者の注意を引き付けるために、よりエンゲージメントに寄与する、インタラクティブなコンテンツが求められているということであり、記事への単なるリンクではその役に立たないということです。
Image: Nordstrom Facebook
ミレニアル世代がシェアしたくなる形式の動画コンテンツの優れた実例を求めているなら、TastyのFacebookページに目を通してみてください。このページで扱っているのは、1分間の短いレシピ動画です。Tastyの成功は、情報を圧縮して短い「一口大の」コンテンツにできたことにあります。これは視聴者の注意力を維持できる限界の長さであり、視聴者を逃がさずもう1本見てもらうのにもほどよい短さなのです。Tastyに関して興味深いのは、ビデオを口コミで広められたのがYouTubeではなくFacebookにおいてであったことです。ふつう、口コミで広まるビデオはYouTubeと関連づけて考えがちです。しかしBuzzfeed- Tastyは、Facebookでミレニアル世代をターゲットにして、数百万の閲覧数を獲得しました。多くの人が、ミレニアル世代は全員Facebookから去ったと思いこんでいたにも関わらず。。
Tastyのファン増加数について、FacebookのものとYouTubeのものを並べて見てみると、Buzzfeed – TastyにおけるFacebookの増加数は莫大で、毎月400万近くの新規フォロワーが積み上がっています。一方、YouTubeチャンネルにおいては、そのペースに比べるとごくわずかです。
BuzzfeedのFacebookチャンネルがこれほど急速に成長しているのは、彼らの作るコンテンツがプラットフォームによって簡単にシェアできるからです。動画に関するすべてのアクションは、それが「いいね!」であれコメントであれ、シェアであれ、当人とつながる友人からも見えています。それと比べて、YouTubeのユーザは動画をYouTubeから他のネットワーク上へシェアするか、リンクをメッセージアプリにコピーするかしなくてはいけません。こういったフレームワークが整備されていることが、動画コンテンツの配信先としてFacebookが成功していることの核心なのです。
最も単純な回答は、「動画の閲覧数を奪うため」です。プラットフォームごとに1日のアクティブユーザ数と動画閲覧数を並べて見てみると、時間経過で消える写真、動画コンテンツというSnapchatのモデルが、同アプリ内で大量の閲覧時間とエンゲージメントを獲得していることが明らかになります。このデータについて最も衝撃的なのは、Snapchatが、1日のアクティブユーザ数は(Facebook、Instagramと比較して)一番少ないにも関わらず、1日あたり100億以上の動画閲覧数を獲得できているということです。
しかし、これらの数値が完全に正確というわけではありません。動画閲覧数の数え方はプラットフォームによって異なります。Facebookでは、少なくとも4秒間動画を見たユーザが1回にカウントされますが、Snapchatでは、動画が開かれれば1回として数えています。したがって、ユーザが動画の内容をすべて飛ばしても、Snapchatはそのユーザが動画を見たと主張することになります。それを差し引いても、Snapchatのアプリ内で莫大なエンゲージメントと動画に関わるアクションが発生していることは、明らかです。
オーディエンスは動画コンテンツが提供されることを期待している、とブランドは今から考えておくべきです。消費者は、自身の好みに合わせてくれるブランドへのエンゲージメントを選択します。そうした消費者を獲得できないブランドは後れを取るでしょう。また、マーケター、とりわけFacebookとInstagramにおいて、動画広告をたくさん制作することになるでしょう。なぜなら、動画広告は従来型の静的な広告に比べ、より多くのエンゲージメント、より高いクリックスルー率を生むからです。
オーディエンスがさまざまな様式の動画コンテンツにどう反応するかを把握するため、現時点ではブランドが、ソーシャルメディアや自社サイト上での、動画コンテンツによる実験を検討する必要があります。
加えて、オーディエンスに耳を傾けるべきです。彼らが探し求めている情報の中で、短時間の動画へ簡単に圧縮できるものは何でしょうか。彼らの立場になって考えてみてください。短時間の動画を見て必要な情報を得る方が、リンクをたどって記事全体を読むよりもずっと楽なのです。
結局のところ、大手ソーシャルネットワークがプラットフォームをどう最適化するか、消費者はそれにどう反応するか、といったことは、今すぐには分かりません。ただ、大規模な変革の時は迫っており、ブランドが傍観者にとどまるのか、自ら参加して見返りを獲得するのかという判断は、マーケターに委ねられているのです。
元記事「Video Content on Social Media is About to Boom」は2016年8月24日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事は、NewsCred BlogのAshley Karhoffが執筆し、NewsCredのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いします。
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