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2023年の波乱の経済状況を経て、マーケターの大多数が予算を増加(38%)または現状維持(43%)と回答していることから、2024年は安定した年になると証明されつつあります。マーケティングへの安定した投資が続く一方で、コンテンツ戦略を練ること、特にどのようなトピックに投資すべきかを見極めることは容易ではありません。コンテンツマーケティングのメリットに気づく企業が増えるにつれ、競争は激しくなるばかりです。他社より一歩先を行くには?今、マーケターは単に差別化を図るだけでなく、コンテンツに独自性を持たせることに注力しなければなりません。
これは、「Ownable Conversation」を発展させることで達成できます。Ownable Conversationとは、発信やコンテンツマーケティングのトピックに企業がどのように取り組むかについてのコンテンツ戦略のことを指します。
現代のコンテンツマーケターは、競争相手が同業他社だけではないことを認識しています。
私たちは、メディア企業から受賞歴のあるジャーナリスト、調査機関、コンサルティング会社に至るまで、関係するすべての人と競い合っています。
この競争は激しく、コンテンツマーケターはさらに一歩踏み込まなければなりません。
たとえばテック企業であれば、DXやAI導入に関するコンテンツを制作しているでしょう。人事部門であれば、仕事の未来について話しているはずです。金融業界なら、インフレが冷え込みはじめ、予測される経済状況についてオーディエンスへの啓蒙を行っているでしょう。問題は、あなたの競合もおそらく同じ方法を取っているということです。
すべてが既出のアイディアである以上、現状を超える道を探さなければなりません。
Ownable Conversationとは、企業独自の価値や専門知識をユーザーにアピールするようなエディトリアルな視点です。
こうした視点は、オーディエンスにとって最も関心があるトピックに当てはめることで、価値提案ができます。業界を問わず、ESG(Environmental:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)やAI、在宅勤務など、コンテンツマーケティングのトピックは山ほどあります。こうしたメジャーなトピックを取り上げるべきではないという意味ではありません。むしろ、オーディエンスにとって重要なトピックであれば取り上げるべきです。ただし、そこに企業のオリジナリティを見出す必要があります。
上記のいくつかのトピックを例に、どのようなOwnable Conversationが展開できるか考えてみましょう。
・ESG:ESGの影響を測定するフレームワークを作る
・AI:対話重視のマーケティングにとってAIがどのような意味を持つかを分析する
・在宅勤務:リモートワーカーのROIに関する調査を実施する
よく知られたトピックであっても、異なる視点からアプローチすれば隠れた領域を見つけることができます。しかし、単にニッチな領域を洗い出すだけでは不十分です。本当に価値あるものを提供するためには、トピックに対してその方法でアプローチする理由を明確にしなければなりません。
では、どの角度からアプローチすればよいのでしょうか?競合も同じことをする中、あなたはどう動きますか?
🌍 関連コンテンツ(英語):Crisis Fatigue + ESG Messaging: How to Recenter Trust in Your Brand’s Narrative
B2Bマーケティング関する最近の調査では、ビジネスパーソンは、自己の成長と能力向上に繋がるコンテンツを求めていることが明らかになっています。この調査結果は、ビジネスパーソンが、活発な議論への手助けや、新たな気づきの提供、自分の思考への問題提起を企業に対して期待しているということを裏付けています。
Ownable Conversationによって、重要な局面で、さりげなくあなたの企業が持つ専門性とリーダーシップを示すことができます。あるアイデアを広めようとするのではなく、そのアイデアから発展する、もっと大きな話題のきっかけを提供してくれるはずです。
Ownable Conversationは、競合他社のコンテンツ戦略を単に流用するのではなく、企業独自のものであることが何より重要です。このようなアプローチは記憶に残り、ブランド構築に役立ち、そして何よりも、多くのビジネスパーソンが切望する「知識」を提供します。
💬 関連コンテンツ(英語): How to Create Ownable Conversations: A Step-by-Step Guide to Engaging with Niche Communities.
Ownable Conversationは内なる指針です。すなわち、優れたコンテンツマーケティングプログラムの戦略的基盤です。そして、最も優れたものは、ツァイトガイスト(文化的な時代精神)と、その企業だけが提供できる独自の価値が交差したところにあります。Ownable Conversationの3つの事例を見てみましょう。
アウトドア愛好家のためのブランド「Patagonia」は、ブランドのファンが地球を守るための活動に熱心であることを理解しています。過剰漁獲の撲滅に関するPatagoniaのOwnable Conversationは、解決に向けて深く関与している多くの気候変動問題のひとつに過ぎません。
数々のキャンペーンを通して、Patagoniaは分かりやすく感情に訴えかけます。
We must protect our ocean so it can protect us.(海を守れば、海が私たちを守ってくれる)
世界で最も愛されているアウトドア用品ブランドとして、Patagoniaは大きな富を築いてきました。しかし、その資金をすべて事業に還元するのではなく、リソースとコネクションを活かして、海洋学者や環境活動家、その他の海洋保全団体と連携し、企業ならではの方法で乱獲問題に光を当てています。
4Kフィルムや写真、示唆に富んだ記事、インパクトのある訴え、多くのパートナー活動家とともに、PatagoniaはOwnable Conversationを作り上げただけでなく、徹底的なキャンペーンを行いました。
メッセージはあらゆるチャネルを通じて発信されますが、最終的なゴールは変わりません。最終目標は、環境破壊に対する認識を高め、企業とともに行動を起こすように人々を駆り立てることです。
Patagoniaは、貪欲な漁業、苦しむ海洋生物、滅びゆく海といった絶望的なストーリーテリングに徹するのではなく、もっと切実なイメージを描いています。生まれたばかりの魚が細長い海草の間をぱたぱたと泳ぎ、鮮やかなサンゴ礁が海の揺れとともに催眠術にかかったように揺れ動く様子を映し出します。
Patagoniaは、今すぐ行動しなければ、私たちは何を失うことになるのかを具体的に示してくれています。
Patagoniaは海が呼吸し、生きている存在であることを示し、環境変化のために最前線で戦う科学者や活動家を知る機会を与えています。そうすることで、現実逃避させることなく、希望やムーブメントを呼び起こしてくれるのです。
・野生魚を保護する(ハブページ)
・番人たち(ショートフィルム)
・サーモンの国(ショートフィルム)
・ユース・サーモン・プロテクターズ(SNSキャンペーン)
・愛するもののために力を合わせよう(地域と環境保護団体をつなぐプラットフォーム)
・NASF(North Atlantic Salmon Fund)署名呼びかけ(パートナー活動)
セキュリティ担当者は、強力なセキュリティ対策とは、仕事を成し遂げるためのツール・人間の専門知識・経験の集合体であることを認識しています。IBMのポッドキャスト「Into the Breach」の内容は、毎年注目される年次調査レポート「データ漏洩のコスト」の数字だけにとどまりません。ポッドキャストの概要欄には次のようにあります。
このポッドキャストでは、さまざまなサイバーセキュリティ担当者の話を聞くことで、アンダーグラウンドなサイバー世界をより深く知ることができます。
IBMは「ニュース速報」の枠を超え、IBMにしか提供できない深いレベルの分析を提供しています。IBMが届けるこの独自の切り口がなければ、ポッドキャストは価値を失い、このテーマにおいて他の表面的なレベルのコンテンツとともに奈落の底に落ちてしまうでしょう。
このポッドキャストは、ネガティブな訴求をするよりも、データ漏洩を回避するための知識とツールを提供し、個人・組織レベルを問わずデータを保護できるようなサポートをしています。このポッドキャストシリーズの特に興味深い点は、極めて具体的なデータ漏洩とストーリーに焦点を当て、幅広い意見をインタビューすることで、非常に複雑なテーマに彩りを添えていることです。
世界経済フォーラム(WEF)は、ロビー活動を行う、多国籍企業のための国際的な非政府組織です。イベントやポッドキャスト、ニュース、分析など、ソートリーダーシップの媒体としてコンテンツを活用しています。この独立した国際的組織は、30年の歴史を持つ企業の評判、独自のリサーチ、意思決定者や専門家との接点を活かし、そのノウハウを収益化してきました。
メタバースはトレンドのトピックですが、より包括的なメタバースの世界を構築する方法についてWEFは独自の視点を持ち、この分野のどこに本当の価値を加えられるのかを明確に理解しています。
どのコンテンツもWEFが影響力のあるリーダーであり、経済政策の立役者であることを強調し、リアルな世界での議論を活性化させています。そうすることで、WEFは自らをビジネス界と経済政策界のリーダーとして位置づけ、世界情勢を好転させるという使命を再確認しています。
当社のコンテンツマーケティング予測年次調査において、マーケターの半数以上(56%)が、ストーリーの質の向上は2024年の最大の目標のひとつであると回答しました。
ですから、ありきたりで平凡なコンテンツに対する品質保証として、Ownable Conversationを検討してみてください。
マーケターやコンテンツクリエイターである私たちの使命は、ビジネスの目標達成だけでなく、ビジネスパーソンのコミュニティに真に貢献するために、最大限の価値を提供できるようにすることです。Ownable Conversationはコンテンツ戦略の次なる進化の形であり、プログラムをどのように発展させ、オーディエンスのニーズに応えていくかのロードマップを与えてくれます。
Ownable Conversationに取りかかる準備はできましたか?Ownable Conversationを作る方法:ニッチなコミュニティにぴったりはまる手順書をご覧ください。
この記事は、SpringboardのLieu Phamが執筆し、Industry DiveがDiveMarketplaceを通じてライセンスを取得したものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。元記事「What Are Ownable Conversations?」は2024年4月19日にstudioID’s insights blog – springboardに掲載されました。また、日本におけるIndustryDiveパブリッシャーネットワークに関してはamana Content Marketingまでお問い合わせください。
amana Content Marketing
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コンテンツマーケティングの本場であるアメリカで、業界を牽引するリーディングカンパニーであるIndustry Dive。国内唯一の独占パートナーであるアマナがその集合知を活用し、成果へと繋がるコンテンツマーケティングをサポートします。
企業が抱える課題に沿って、戦略策定からチーム構築、コンテンツ制作、効果測定まで、コンテンツマーケティングの運用をトータルで支援します。