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日々進化するコンテンツマーケティングの重要な要素のひとつが、ビジュアルストーリーテリングです。毎年この分野のリーダーたちが、特定の色の使い方、デザイン戦術、媒体など、数ヶ月先のトレンド予測を発表します。例えば、Adobe社のコンシューマー&クリエイティブインサイト部門のプリンシパルであるBrenda Milisは、2023年12月に次のように述べています。
2024年を前に、クリエイティブの世界は急速に変化するこの世の中を反映しています。
「今年のクリエイティブトレンドは、クリエイターと消費者の両方が想像力の無限の可能性を呼び起こし、特にそれを反映したビジュアルが求められています」。
その中で本記事では、特にマーケティングに関する、2024年に注目し取り入れるべき4つのトレンドを解説します。
生成AIは、クリエイティブに革命を起こしました。デザインの民主化をすすめ、スキルに関係なく誰もが自分のクリエイティブビジョンを実現できるようにしたのです。
テクノロジーによってクリエイティビティを実験し、実演し、再構築することができるようになった今、全体的な動きはミニマリスト的なシンプルさから、現実と夢が混ざったようなものへと移行しつつあります。出来上がったものは、奇妙であればあるほど良いというわけです。
「リアリズムが下火になった今、シュルレアリスムの出番です」とWunderman Thompson社のグローバル・チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)のBas Korstenは言います。「世界の現状を考えると、私たちには逃避する手段が必要です…。人々は、ほんのわずかな時間、現実に向き合わなくて済むシュルレアリスムを必要としています。そのトレンドはなくならず、ニーズは高まるばかりです」。
トピックや業界を問わず無限に応用できそうな生成AIツールは、大まかにプロンプトを入力するだけで、カスタマイズされたビジュアルを生み出し、ユニークで超現実的なイメージを素早く作ることができるようになりました。また、生成AIツールは、ほんの数クリックで使えるため、ブランドは臨機応変な対応が求められています。
消費者の関心を引くためには、今こそこうした最先端のツールを使いこなし、すべての媒体で新たな道を模索する時です。
Artlist社によると、「生成AIツールのおかげで、超現実的なビジュアルは当たり前のものになりました。2024年ですべき真の挑戦は、こうしたツールを使って表現の可能性を押し広げることです。ブランドは、ビジュアルや音楽、動画、モーションデザインを使ってクリエイティブになることで、消費者の心をつかんでいくはずです。クリエイターはFPV(First Person View:一人称視点)のドローン技術の斬新な使い方を見つけ、ARやVRを探究し、消費者に没入体験を提供していくでしょう。
ここでは遊びが重要で、ブランドの個性やオーディエンスの興味関心に響くものを求めるなら、実験は必要不可欠です。ストックフォトであっても、エクストリームクローズアップ、予想外の色の組み合わせ、抽象的なアングルや、イラスト、二重露光、オーバーレイなどのユニークな編集を加えることで、超現実的な写真が仕上がります。
これにより、今までに見たことのないグラフィック、デザイン、動画の可能性を広げ、あらゆるタイプのブランドに対応することができます。
🎨 関連コンテンツ(英語):Mastering AI for Content Design: 3 Impactful Tips
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あらゆるところで昔のものが再流行しているように見えますが、実際、その流行は続いています。Marketing Dive社によると、レトロなデザインは5年ほど前からトレンドになっており、最近はノスタルジアマーケティングが盛り上がりを見せています。私たちは、パッケージやWebデザイン、全面的なリブランディングにいたるまで、この「エモい」トレンドが製品やあらゆるマーケットに浸透していく様子を目にしてきました。
例えば、Pepsi社が昨年ロゴを刷新する前、消費者に記憶しているPepsiのロゴを描いてもらったところ、14年前のブランドの姿、つまりブランド名とイメージが絡み合った姿に近いものでした。Pepsi社は、それを取り戻そうと決めたのです。
「クリエイティブ調査は、リブランディングを実施する上で非常に重要です」と、Dragonfly AI社のアカウント・ディレクターであるJessica Litherlandは述べます。「競合よりも消費者の記憶に残るように成功するためには、ブランドは業界を革新し、オーディエンスの関心を予測することが何より重要です」。
新しいデザインに関するデータ分析ができているかどうかが、ブランドが注目を得られるかどうかの分岐点です。
Adobe社は、「90年代や2000年代初頭のスタイルやデザイン、テクノロジーへの憧れから始まったものは、あらゆる時代の洞察に発展しています。随所で都合良く解釈されたヴィンテージのライフスタイルや様式を、特にAIが生成する過去の時代の超写実的なレンダリングによって再構築・再解釈するまでになりました」と言います。
「これは、その時代(90~2000年代)に育ったミレニアル世代の注目を集めるだけでなく、心地よさも呼び起こしています」とNVISION社のCEOであるGeorge Arabianは付け加えます。
現代的なコンテンツ戦略と組み合わせた時、ノスタルジアは全世代の心を打つ強力なマーケティングツールになります。また、これは大手企業だけのものではありません。筋の通った美学がある限り、新興企業やスタートアップも自由にこのノスタルジアトレンドに参入できます。
例えば、「健康志向の分野では、レトロデザインが食品や飲料の添加物や保存料が少なかった時代を消費者に思い起こさせる」と同時に、「シンプルでレトロなデザインは、クリーンな原材料を象徴するものでもあります」とMarketing Dive社は言います。レトロなルックと雰囲気は、ブランドにとってどんな意味を持つのでしょうか?さらに重要なこととして、オーディエンスにどのような意味をもたらすのでしょうか?
⬆️ 関連コンテンツ(英語):3 Historic Brand Rises, Falls and Comebacks: Marketing Lessons and Cautionary Tales
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動画マーケティングの戦略として、ユーザー生成コンテンツ(UGC)や顧客の声を活用する企業を長年見てきました。本物・リアル志向へのシフトに伴い、ブランドは過度に洗練されたシネマティックな動画から、偽りのない素の映像へと趣向が移行しています。また最近では、DIYムードは広告だけにとどまらず、ブランドのコンテンツの中核にまで浸透しつつあります。
特に、ユーザーがメイキング映像や生配信Q&A、UGCを通じたリアルなつながりを渇望するソーシャルメディアでは、ショート動画が依然として主流です。高品質な動画の代わりに、最近では低予算でゆるいミームや自分で撮影した動画がB2C・B2B問わず増加傾向にあります。
▶️ 関連コンテンツ(英語):5 Short-Form Video Trends for Share-Worthy Content in 2024
一人または数人で作成されることが多い60秒以下のシンプルな動画は、「ブランドの認知度を高め、Webサイトへのトラフィックを促し、売上を伸ばし、また、企業が有意義な方法でオーディエンスと関わることを可能にします」とRegex SEO社の創設者兼マーケティングディレクターであるDmitrii Kustovは言います。
現在のマーケティングトレンドの中で、費用対効果と平均エンゲージメントが最も高いのはショート動画です。
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「最近、良くも悪くもInstagramのユーザー作成の広告コンテンツが大量に流れているのを目にします」とNational Positions社の創設者兼CEOのBernard Mayは断言します。「UGCは特に新しいものではありませんが、このコンテンツの“ベーシックさ”には驚きです。その質と労力は確実に低下しているように見えますが、この状況を利用し、企業側はUGCの水準を1%でも上げるだけで際立った存在になることが可能です。簡単な編集、メディアミックス、キャプションを加えるだけで、UGCをワンランク以上上げることができます。」
予算がほとんどかからない30秒の動画は、あなたのブランドにとってどのようなものになるか検証してみませんか?
適切なコンセプトがあれば、どんなにシンプルでも驚きの結果になるかもしれません。また、動画マーケティングに予算を割くつもりなら、知名度を利用するようなものにお金をかけるのではなく、質の高い編集方法を試してみてください。
「カットを使うことで、魅力的で動きの速い動画になります」とHawthorne Advertising社のJessica Hawthorne-Castroは言います。「一人が製品の紹介や実演をした後、別の場面で同じ動きを続けるもう一人のカットに切り替わるようにします。テンポのいい音楽を入れることで、楽しく手軽に製品を紹介し、視聴者の興味を引くことができます」。
🔉関連コンテンツ(英語):How Brands Are Using Sonic Branding Beyond Ads
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企業が他社とは異なる印象的なフォントを使っているかどうかにかかわらず、2024年はテキストの力を再認識させられるでしょう。InstagramやTikTokのようなビジュアル重視のプラットフォームは、引き続き人々を引き付ける新たな方法を模索していますが、テキストベースの静止画投稿や、連続したストーリーを伝えられるようにデザインされたカルーセル投稿に戻ることを期待したいところです。
こうしたコンテンツはプラットフォームごとに作成できますが、統計、引用、企業からの告知といった独自の情報や既存の素材だけでなく、ハウツー記事やまとめ記事、その他の役立つヒントを再利用するのにも効果的です。Sprout Social社は次のように言います。
テキスト投稿はビジュアルばかりのフィードで目立ち、ちょっとした特別感を生み出したり、フォロワーとの会話を弾ませたりするのに最適です。
♻️関連コンテンツ(英語):How to Repurpose Content for Social, Email, Sales Outreach, and Beyond
「200ページにも及ぶような膨大なブランドガイドラインは作らないこと。ほとんどの従業員は読みませんし、活用方法も分からないでしょう」と、Canva社のCMOであるZach Kitschkeはアドバイスします。「代わりにテンプレートを作って、フォントや色、ロゴ、その他のグラフィックなどのブランドアセットを一目で見つけて使えるようにしましょう。営業用のプレゼンテーションやソーシャルメディアのグラフィック、マーケティングレポート、ブレインストーミングのファイル、ブランドを表すその他の資料など、各部門で幅広く利用できるようにします」。
タイポグラフィで最も重要なのは、やりすぎないことです。フォントは2種類、多くても3種類までにとどめ、相性が良いフォント・悪いフォントをチーム内のデザインに精通したメンバーに確認しましょう。
例えば、特に装飾のあるセリフ体のフォントがブランドに適している場合は、似たようなフォントと組み合わせるのではなく、シンプルなものを合わせましょう。そうすることで、ブランドのメッセージは視覚的にユニークでありながら、はっきりと読みやすいものになります。これはどんなマーケターにとっても外せない要素です。
💡関連コンテンツ(英語):4 Brands Upping the Ante on Creativity and Storytelling in 2024
この記事は、SpringboardのAnastasia Dyakovskayaが執筆し、Industry DiveがDiveMarketplaceを通じてライセンスを取得したものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。
元記事「4 Visual + Design Trends Shaping Content Marketing in 2024」は2024年3月18日にstudioID’s insights blog – springboardに掲載されました。
また、日本におけるIndustryDiveパブリッシャーネットワークに関してはamana Content Marketingまでお問い合わせください。
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amana visualでは、フォトグラファー、レタッチャー、CGクリエイター、ムービーディレクターをはじめとしたビジュアル制作に携わるクリエイターのポートフォリオや、個性にフィーチャーしたコンテンツを発信中。最新事例等も更新していきます。