YouTubeで高い広告効果を獲得した動画広告を表彰する「YouTube Works Awards Japan」。Googleが主催する広告賞であり、日本での開催は2024年で4回目となります。「コネクテッドテレビ(CTV)」の普及により、YouTube は地上波テレビの番組と同じように視聴されるようになりました。そのため、YouTube広告もテレビCMと同等の価値を持つ存在になってきました。
本記事では「YouTube Works Awards Japan 2024」(出典:YouTube Works Awards – YouTube Advertising) のファイナリスト作品をご紹介し、効果的な動画広告を制作するために企業の広告担当者が考慮すべきポイントをお伝えします。
ここからはナビゲーターとして、アマナのストラテジックプランナー成田洋が解説します。
「皆さん、こんにちは! まずは私が注目した『YouTube Works Awards Japan 2024』のファイナリスト作品のうち4作品をご紹介します。4作品は、ストーリーテリングやYouTube広告の特性を巧みに活用し、非常に高い広告効果をあげています。動画広告制作の参考にできるポイントが詰まっていますので、ぜひ動画を見ながらお読みください!」
・広告主:株式会社NTTドコモ
・クリエイティブなアプローチ:青春とノスタルジアを引き出すビンゴ形式
・ターゲット:若者層
・ブランドリフト:青春時代の思い出を呼び起こし、感情的なつながりを強化
・効果:YouTube動画視聴2,200万回以上、TikTok動画視聴数3,500万回以上、広告主の「若者を応援しているイメージ」2.3 %上昇
・出典: @docomoOfficial https://www.youtube.com/watch?v=WSoaa-Cmz9M
★成田の注目ポイント
「誰もが記憶にある教室の風景が映し出され、『#青春ビンゴ』という何かよく分からないものの、ちょっと気になるフレーズが印象に残りますよね。冒頭の5秒で『これから何が始まるんだろう』とワクワクさせられます。何よりストーリーテリングが素晴らしく、私も青春時代を思い出してウルっときてしまいました…。ターゲットである若年層に対して、クリエイティブとVaundyの楽曲が完璧にマッチした作品だと思います」
・広告主:三菱地所レジデンス株式会社
・クリエイティブなアプローチ:物理的・心理的距離を表現するストーリーテリング
・ターゲット:未来の顧客となりうる20代後半~30代前半の若年層
・ブランドリフト:認知度と好意度の向上に成功
・効果:Googleトレンド検索ボリューム8.8pt上昇、YouTube 広告視聴率69%、YouTube広告完全視聴率32%
・出典:@the_parkhouse https://www.youtube.com/watch?v=2UH-Q4ydyOE
★成田の注目ポイント
「まずタイトルが絶妙だなと感じました。またYouTube広告にありがちな、冒頭の数秒間に情報を詰め込むのではなく、世界観を作り込んで視聴者を引き込む姿勢にも好感を持ちました。登場するのは20代のカップルで、結婚を見据えた2人にありがちな日常の一コマ、そして思わずドキッとされられる価値観の違いをリアルに描いています。効果の観点でみても、Googleトレンド検索ボリュームにおいて出稿前後で有意差が表れており、検索というアクションにまで紐づけて成功した例といえます」
・広告主:オリックス不動産株式会社
・クリエイティブなアプローチ:スキップできない広告をユーモアとインパクトで逆手を取る
・ターゲット:既存ファン層に加え、ターゲティング配信を通じて潜在顧客層にもアプローチ
・ブランドリフト:視聴者の興味を引く工夫で、ブランドのユニークさを強調
・効果:クリック数目標8,600回以上→実績13,000回以上、視聴数目標690万以上→実績910万以上、視聴完了率目標80.0%→実績87.9%。動画広告に対する好意的なコメントがSNSで広がる。
・出典:@ywa2492 https://www.youtube.com/watch?v=2S8ccLeEubQ
★成田の注目ポイント
「この作品は『こんなアイディアがあったのか…!』と私自身も目から鱗だったというのが正直な感想です。こちらは『ノンスキッパブル広告』と呼ばれる強制視聴のメニューになっているのですが、この手法はクリエイティブを誤るとブランド棄損につながりやすいとされています。“広告には煩わしさもある”というユーザーインサイトを前提とした作りで、わずか15秒ながらブランドとしてのユニークさが印象に残ります。低予算であってもアイディアひとつで素晴らしい広告効果をあげられるという好例ですし、クライアントのリテラシーが高いからこそ実現した企画でもあると感じました」
・広告主:一般社団法人ABJ
・クリエイティブなアプローチ:漫画に対する愛情や情熱をテーマにした感情に訴えるストーリーテリング
・ターゲット:漫画読者の一部に過ぎない海賊版読者ではなく、多数を占める正規版読者にアプローチ
・ブランドリフト:共感とエンゲージメントを高める
・効果:視聴数4,500万回突破(YouTube+X合計)。YouTube 動画の高評価数は1.9 万。408件のコメントはそのすべてがポジティブなもので、ネガティブなコメントは一切なかった。
・出典:@STOP-uo1gj https://www.youtube.com/watch?v=fJZrmX9oWj4
★成田の注目ポイント
「こちらは『YouTube Works Awards Japan 2024』のグランプリを獲得した作品です。冒頭の5秒から『これはある愛の詩(ラブストーリー)である。』というキャッチとともにVaundyの曲が流れるのですが、広告というよりミュージックビデオですよね。そこからは“スキップする”という選択肢が飛んでしまうほどの勢いで、マンガのセリフが歌詞として次々に映し出されます。出版社の垣根を超えて多くの作品が参加し、VaundyがこのCMのためだけに楽曲を制作する。これほどまでに共感とエンゲージメントが高まる広告はなかなかないですし、友人らに『この作品も出てくるよ!』と思わず共有したくなります。広告でありながらYouTubeに400件以上のコメントがつき、そのすべてが好意的だったというのも驚異的で、まさにグランプリにふさわしい作品だったと思います」
これまでテレビCMへの広告出稿しかしてこなかった企業であっても、効果分析がしやすく、若年層へアプローチできるYouTube広告に予算を移し替える、新たに予算を投下するケースが増加しています。
クライアントや消費者ニーズに日々向き合う成田は、動画広告制作において3つの点を重視しています。
1つ目は「冒頭5秒でどれだけ惹きつけるか」。再生から5秒後にスキップ可能となる「スキッパブル広告」の場合は、冒頭5秒で企業名やサービス名を連呼しがちですが、それでは消費者に“よい記憶”として残りにくいため、先にご紹介した作品のように世界観やストーリーを作り込むことで、完全視聴へとつなげていくことが重要です。
2つ目は「ユーザーにとっての価値を伝えられているか」。これは1つ目にも通じるのですが、ストーリーテリングにこだわることで、その会社独自のユーモアが表現でき、伝えたいメッセージが伝わりやすくなります。
前の2点はクリエイティブのポイントですが、異なる観点でも重要なポイントがあります。それは「データをいかに活用して効果を高められるか」。情報が飽和する現代では、クリエイティブが優れた作品を生み出せたとしても、正しいターゲットにリーチし視聴してもらえなければ、効果をあげることができません。
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クリエイティブとデータの両側面から効果最大化を目指す。これは動画広告を制作するうえで外すことのできない考え方となることは間違いありません。
amanaINSIGHTSでは、今後も動画広告の最新事例やトレンドをご紹介していきます。
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文:小林拓美
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