アマナは、企業のコミュニケーション施策支援として、ビジュアル制作からデジタルコミュニケーション設計、デジタル人材育成支援まで幅広いサービスを提供しています。今回は、アマナがポーラの新価値創出プロジェクト「感性共育SEMCA」のコンセプト策定〜Webサイトリニューアルを手がけた事例について、アマナのプランナー神田美咲(以下、神田)、コピーライター眞木茜(以下、眞木)に聞きました。
—ポーラの「子供向け感性共育」をテーマにしたWebサイト「SEMCA(Sustainable Education for Millennial’s and Children’s Aesthetics)」リニューアルは、当初はどのような相談や背景があったのでしょうか?
神田:ポーラさんはアマナが以前からクリエイティブ制作などをご支援してきた経緯がありますが、ポーラさんが展開していた新価値創出プロジェクトに関するコミュニケーションについてご相談を受けたことがきっかけです。「感性共育SEMCA」という、ワークショップを通した子供向け感性共育を展開していたのですが、その独自の価値観を、子育て世代に分かりやすく伝えるにはどうしたらいいのだろう?という課題がありました。
—Webサイトのリニューアルを相談されたわけではないのでしょうか?
神田:当初は、サイト制作を視野に入れた「感性共育SEMCA」のコンセプトリニューアルを相談いただきました。すでにWebサイトもあったのですが、そのリニューアルを見越してのコンセプト策定のご相談でした。まずはコンセプトを整理し、サイトに落とし込んでいく形です。最終的にサイト制作まで担当させていただきました。
—具体的に、コンセプトリニューアルはどのようなアプローチだったのでしょう?
神田:ポーラさんが展開するプロジェクトの他にはない「強み」「独自性」と、「社会情勢」「消費者ニーズ」を軸に進めました。つまり、現在の社会情勢や顧客インサイトと、ポーラさんらしさの接点を整理し、そこを強みにしていくことで、他にはない際立った特徴や共感できるキーワードが見えてくると考えました。
例えばリサーチを進める中で、近年では「指導するより引き出す教育」が求められ切り替わりつつある状況にありました。ポーラさんが提供するプロジェクトのワークショップと合致しているよね、などフォーカスするポイントを整理していきました。また、単に受験やテストで点数を取るための教育ではなく、人として生きる力や豊かな表現力などを親が求める傾向にあることも、ポーラさんのプロジェクトと相性がいいという発見もありました。
—「生きる力」「豊かな表現力」は、感性を磨くような教育プログラムを指すのでしょうか?
神田:はい。ただ、感性を磨くにはアートに触れる必要がある、そのために美術館など特別な場所へ連れて行かねばならない、環境を整えるにはお金がかかるといったイメージを持たれるかもしれません。また親にもアートに関する知識や才能がないとダメなのでは?と感じるかもしれません。
実はポーラさんの提供するプロジェクトには、アートは限られた人のものではない、という考えがあると捉えていました。例えば子供たちが「美しさ」について学ぶとしたら、定義を教えるよりも「何が美しいのだろう」と考えることではないか、と。同じものを見ても、美しいと感じるポイントや理由は人によって違うかもしれない。決まった正解がない「美しさ」について意見を出し合う、というような。それは限られた人だけのものではないし、美術館に行かなくても、お金をかけなくてもできますよね。
—そのようなポーラさんの強み、独自性を、どのようにコンセプトに反映していったのでしょう?
眞木:取り組みの内容を言語化しただけでは消費者に伝わりません。わかりやすく伝えるために、いくつかのコンセプトワードをポーラさんと検討し、議論を重ねました。こちらから最終的な案をきっちり固めて提案するというよりは、ディスカッションを通してコミュニケーションを深め、ブラッシュアップしていきました。独自性を重視したいこともありますが、コミュニケーションをしっかりとることで、ポーラさんの意思を理解しつつ、消費者に伝わるコンセプトを磨いていきました。
—具体的に、どのようなコンセプトで進めたのでしょう
眞木:いくつか提案した中から、「生きるための、活きる感性共育」というコンセプトを軸に進めました。もともと「感性共育」というワードはポーラさんのプロジェクト中で使われていたのですが、独自性があり、かつポーラさんのプロジェクトを端的に表していると思いコンセプトに反映しました。
—リニューアルしたWebサイトを見ると「IINE(いいね)」というワードも見られます。アマナから提案したのでしょうか?
眞木:そうですね。感性共育と聞くと、なんとなくイメージできるかもしれませんが、具体的にどんな教育プログラムか伝わりにくいという課題がありました。そこで教育プログラムを「INTEREST(興味をもつ)」「INSPIRE(思いえがく)」「EXPRESS(表現する)」の3ステップに整理し、その頭文字をとって「IINE(いいね)」と表現しました。ここでもポーラさんとアマナでディスカッションを重ね、密なコミュニケーションを経て完成したものです。
—今後、プログラムの拡充など新たな展開は予定されているのでしょうか?
神田:ポーラさんとしては、社会に貢献するという意味合いが強いプロジェクトなので、あるターゲットを狙ってセールスするという可能性は低いようです。そして、感性が大切なのは、子供だけではないので、大人の感性を育むという広がりの可能性もあるのかもしれませんね。
ポーラが手がける新価値創出プロジェクト「感性共育SEMCA」のコンセプト・Webサイトリニューアル事例から見えてくるのは、クライアントとの深いコミュニケーションによる理解、社会の動向を捉えた独自のコンセプト、ワードとビジュアルの力を活かしたサイト設計など、「伝わる」コンテンツを生み出すアマナ流のアプローチです。スピード感を持ちつつ質の高い成果物を追求する姿勢は、アマナが今後も持ち続けていきたい独自性でもあります。
取材・文:桑原勲
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