弊社では、以下の手法で質感を徹底的に検証・確認しています。
なぜ、質感設定に時間をかけるのか? それは、正確な質感を設定することで制作工数を削減し、バランスの取れた美しいビジュアルを実現しつつ、CGのクオリティを安定して向上させることができるからです。
フォトリアルな製品CGビジュアルは、製品の魅力を最大限に引き出し、ブランドのイメージ向上に繋がります。その制作には、正確な質感設定と効率的な制作プロセスが欠かせません。
この記事では、アマナが数多くのプロジェクトで培った制作ノウハウをもとに、高品質なCGビジュアルを実現するための秘訣をご紹介します。クオリティを保ちながら効率的に制作を進めるポイントや、デジタルモックアップの活用によるメリットについても詳しく解説します。
フォトリアルCGとは、光の反射や屈折、物質固有の質感、空気感、細部のディテールといった要素を、限りなく現実に近づけて再現する技術のことです。
この技術を用いることで、現実世界の視覚的特性をデジタル環境内で忠実に再現し、リアルな画像や映像を作り出すことが可能になります。
フォトリアルCGは、ただ単に視覚的な再現にとどまらず、光の特性やカメラの挙動を正確に模倣することが求められます。そのため、実際の撮影では表現できないような、仮想的でありながらもリアルな環境や製品をCG空間上に作り上げられます。
フォトリアルCGの活用方法としては、製品の広告・プロモーションが代表的です。製品の魅力をよりリアルに伝えるために、フォトリアルCGは非常に効果的です。
また、以下の業界で特に注目されています。
・家電・美容機器業界:テレビやオーディオ機器などの家電に加え、美容機器やヘルスケア製品でも活用されています。 金属やプラスチックといった異なる素材の質感をリアルに再現できるため、製品の高級感や先進性を強調できます。また、LEDライトの発光や透明パーツの見え方など、実写では表現が難しいディテールも自在に演出でき、消費者の購買意欲を高めるビジュアル表現が可能です。
・精密機器・機械業界:カメラ、計測機器などの細部ディテールを緻密に描写可能。小さな部品の質感や構造も再現し、実機を見せるのが難しい段階でのプロモーションにも役立ちます。
・医療機器業界:医療器具や診断機器など、清潔感・正確性が求められる分野でも活用可能。機器の構造や操作イメージをリアルに伝えることで、信頼性や導入効果を分かりやすく訴求できます。
・自動車業界:新車や自動車用品のデザインや機能を、実際に作成する前にCGで視覚化するために利用されます。
・アパレル業界:ファッションアイテムの質感やデザインをリアルに表現するために使われています。
フォトリアルCGを製品プロモーションに活用することには、多くの利点があります。
フォトリアルCGを使用することで、実写では実現が困難なシーンや演出を簡単に再現できます。
例えば、光の加減や理想的な背景など、現実では制約が多い要素を表現することができ、製品の魅力を最大限に引き出せます。また、特定の視点やカメラアングル、さらには製品の内部構造を視覚化するなど、実際の撮影では実現できないシーンや視覚的表現も実現可能です。
このように、製品や空間が最も魅力的に見える瞬間を意図的に作り出し、視覚的に心を引きつける効果的なビジュアルを生み出せます。
フォトリアルCGでは、3Dモデルを修正・再利用することで、バリエーション作成やデザイン変更が迅速かつ低コストで行えます。
例えば、色や質感、光の加減、レンズ効果などを細部まで調整できるため、完成度の高いビジュアルを短期間で制作することが可能です。また、製品のデザインが変更された場合でも、既存のモデルを再利用して素早く対応できるため、スケジュールの短縮やコスト削減にもつながります。
さらに、修正作業がデジタル環境で行われるため、物理的なリソースや時間を無駄にすることなく、効率良く作業を進められます。
一度作成した3Dモデルや撮影セットは、別の製品や媒体にも容易に流用できます。
同じカメラアングルやライティング設定を使用することで、統一感のあるビジュアルを保ちながら、Web、動画、VR/ARなど異なるプラットフォームに展開でき、効率的なプロモーションが実現します。また、フォトリアルCGは製品の詳細を忠実に再現できるため、視覚的な一貫性を保ちながら、複数の異なるコンテンツ形式やメディアで使用可能です。
フォトリアルCGの大きな利点のひとつは、天候やロケ地に依存せず、いつでも撮影が可能な点です。撮影スタジオでの立ち合いが不要で、リモートでの確認や調整を通じて、制作をスムーズに進められます。そのため、時間帯や場所に縛られることなく、より柔軟かつ効率的に制作を行えます。
製品CGビジュアル制作のプロセスは、以下のフローで進められます。
・製品の仕様確認
・CADデータをポリゴンデータに変換
・3DCG上で質感設定(デジタルモックアップ完成)
・アングルハンティング
・ライティング、レンダリング
・レタッチ
正確なデジタルモックアップがあるからこそ、効率的に高品質な製品CGビジュアルを量産できます。
フォトリアルな製品CGビジュアルを作成する際、最も重要な要素のひとつは「質感設定」です。
質感設定とは、オブジェクトの質感や感触、重量感を視覚的に再現する作業を指します。木材や金属、プラスチックといった素材ごとの特徴を表現し、表面の細かな模様や特性を反映させることで、製品が持つリアルな印象を与えることが可能になります。
例えば、ステンレスやアルミの家電製品においては、光が当たったときの「ツヤ感」や「ヘアライン加工」の微細な線までを詳細に再現できます。その結果、視覚的なリアルさが格段に向上し、実際に触れたときの感触や質感まで感じ取れるようになります。この細やかな設定が不十分だと、どれだけライティングやレンダリングを工夫しても、製品のイメージが伝わりきりません。
質感設定に時間をかけることで全体の制作工数を削減し、バランスの取れた美しいビジュアルを実現できます。また、適切な質感設定により、CGのクオリティが安定し、最終的にプロジェクトの進行の精度と効率が大幅に向上します。結果として、クライアントに対して満足度の高いビジュアルを提供できるだけでなく、次のプロジェクトに向けた土台が整うため、よりスムーズな進行が可能となります。
このように、質感設定にしっかりと時間をかけることが、製品CGビジュアルの完成度を高め、プロジェクト全体の成功につながる重要なポイントとなります。
レンダリング画像(左)、リファレンス撮影専用のライトセット(中)、その環境を再現した3Dのライトセット(右)
アマナでは、製品CGビジュアル制作サービス「V.I.A. PRODUCTS(ビアプロダクツ)」を展開し、高品質なフォトリアルCGビジュアルを提供しています。
このサービスは、製品の質感やディテールを忠実に再現し、ブランド価値を最大化することを目指しています。
「via(ビア)」は、アマナが運営する製品CG専門ユニットです。長年の撮影経験と数多くのブランドとの実績に基づき、CG制作を専門的に行っています。ユニットが持つ技術とノウハウにより、精緻なビジュアル表現が可能となり、クライアントのニーズに合った製品CGを提供しています。
アマナでは、フォトグラファーの“感性”とCGアーティストの“技術”を融合させ、単なる再現にとどまらない、感性豊かで正確なビジュアルを実現しています。
例えば、電流や水流など操作が難しい現象もCGを用いることで見せたい形に視覚化でき、よりリアルで説得力のある表現が可能となります。
特に、撮影と同様のライティング技法を用いて、製品の質感やディテールを忠実に再現する点がアマナの強みです。
また、製品開発者との密接なコミュニケーションを通じて、製品開発の背景や細部にまで配慮し、質感を深く理解した上でCGを制作しています。
弊社では、以下の手法で質感を丁寧に検証・確認しています。
・比較検証用として実機(試作機)を撮影して、CGモデルとの質感再現度、仕様整合性を細部までチェック
アマナは独自開発したシステムにより、CADデータからのCG制作を自動化・効率化し、短期間で大量かつ精密なビジュアル制作を実現しています。
「V.I.A.Tools」という自動化ツール群を活用することで、高品質なビジュアルを大量かつ高速に制作することが可能となり、製品ビジュアル制作の効率を大幅に向上させています。
フォトリアルな製品CGビジュアルを効率的かつ正確に量産する最新の制作フロー「V.I.A PRODUCTS」
文:佐々木貴章(アマナ)
3DCG画像:橋本遊也、足立原志保子(アマナ)
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