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消費者の関心は移り変わりが早く、近年ますます注目を集めることは難しくなっています。広告会社J. Walter Thompsonの元チーフ・クリエイティブ・オフィサー、Craig Davisはかつてこう語りました。「私たちは、人々の注目を奪うのではなく、人々が興味を持つ存在になる必要がある」。
2025年に注目されるビジュアルトレンドを活用し、ターゲットオーディエンスの心をつかむ術を探っていきましょう。
ミニマリズムが今後も一定の地位を占めていくと考えられる一方で、「大胆さ」や「不揃い」といった側面を自社のデザインに取り入れ始めているブランドもあります。
「ミックス・マキシマリズム」と名付けられたこのデザイントレンドは、コントラストと不完全さを表現したものです。99designs by Vistaのデザイナーたちは、このスタイルを「明度の高い色彩、個性あふれるオリジナルフォント、クリーンなブランディング」、そして「ファンキーで大胆なワードマーク」と説明します。
チョコレートブランドのTony’s ChocolateやコーヒーブランドのBlink Coffee、メイクアップブランドのMILK Makeupなどのサイトは、すでにこのビジュアルトレンドを採用しており、コントラストの強い配色やフォントスタイルを取り入れています。
Pinterestは今後、X世代(1965年頃から1970年代に生まれた世代)とベビーブーマー世代(1946年から1964年に生まれた世代)を中心に、鮮やかで大胆なパターンや多種多様なプリント、心地よいテクスチャーのファンキーな組み合わせが増えると予測しています。それは、Iris Apfelのような大胆不敵なスタイルとデザインを彷彿とさせます。
ブランドのスタイルに忠実でありながら、デザインにエッセンスを加え、注目を集めるイメージを作りましょう。ブランドカラーが必ずしも明るい色合いでなくても、コントラストの強いビジュアルや遊び心のあるタイポグラフィー、意外性のあるパターンを使って、SNSの投稿からインフォグラフィック、イベントのブランディングに至るまで、あらゆるものを再構築してみてください。
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シュルレアリスム(超現実主義)は、想像力豊かなイメージを用いてオーディエンスを未知の空間へと誘います。メガネブランドのGeorgetown Opticianによる「Adventures in A-Eye」のキャンペーンでは、超現実的で夢のようなイメージが、混沌としたデジタル空間のノイズを切り抜けられる様子を表すことで、ブランド想起とエンゲージメントに貢献しています。
Pinterestのデータによると、ベビーブーマー世代とX世代がこのトレンドを牽引しており、「modern surrealism(現代シュルレアリスム)」の検索が70%増、「Salvador Dali aesthetic(サルバドール・ダリ アート)」の検索が40%増加しています。一方、AdAgeによれば、Z世代はこれまでのマーケティングや社会のルールに反発し、超現実的で独創的なコンテンツに興味を持っているそうです。「思いがけないもの」に対する彼らの嗜好が、2025年のビジュアルデザイントレンドを大きく変えていくでしょう。
シュルレアリスムは一般的にB2Cマーケティングで使われることが多いですが、B2Bブランドにとっても大きなチャンスをもたらします。独創的なビジュアルは、難しいアイデアをわかりやすくし、抽象的なデータを説得力のあるデザインで表現し、長い文章を魅力的なストーリーに変えることができます。
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出典:VentureBeat
Adobeによると、視覚だけでなく、音や香りなどさまざまな感覚を刺激し没入感のある世界へと誘う「多感覚的な体験」への関心が高まっています。ブランドはARやVRを使ったインタラクション、アートインスタレーション、ブランディング、パッケージデザインなどを通じて、このトレンドを取り入れています。さらに、ValentinoやSonosといったブランドのように、リアルとデジタルの空間をシームレスに融合させた新しいショッピング体験も生まれています。
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その代表例は、springboardの2024年コンテンツマーケティングブランド50選で紹介されたAirbnbの「Icons」キャンペーンです。こうしたインタラクティブな体験は、ビートルジュースの幽霊屋敷からバービーのマリブ・ドリームハウスまで、細部まで再現された世界へ人々を引き込み、、想像と現実の境界線を見事に融合させています。
ブランドの持つ感覚的な偏見を見直し、オーディエンスの視覚以外の感覚にどのような影響を与えているかを考えてみましょう。動画コンテンツには、視聴者の感情を動かすような繊細な音を取り入れていますか?パッケージに質感や香りを加え、より魅力的な工夫をしていますか?ブランドのイメージと調和しながら、洗練された感覚的な要素を取り入れる方法を探してみましょう。
グラデーションが全盛期から復活し、初期の用途をはるかに超えて進化しています。InstagramやAsana、Tinderといった主要なデジタルサービスのロゴには、すでにグラデーションが広く使われており、今やこのトレンドは単なるブランディングの域を超えつつあります。
Print Magazineによると、グラデーションがただの装飾にとどまらず、ムードや時間帯、文化的なテーマを捉えるような、ニュアンスや物語性を重視した使い方にシフトすると予測しています。その具体例として挙げられるのが2024 Spotify Wrappedです。このマルチプラットフォームキャンペーンでは、さまざまな場面でダイナミックなグラデーションが効果的に活用されました。
出典:Spotify Wrapped 2024 (Copyright © Spotify, 2024)
2025年、さらに多く見られると予想されるグラデーションの一つが、「オーラエフェクト」です。Pinterestによると、Z世代とベビーブーマー世代はこの鮮やかな色調を好み、「aura effect(オーラエフェクト)」や「aura makeup(オーラメイク)」の検索数が上昇しています。
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グラデーションを用いてブランドを定義づける必要はありませんが、上手に活用すれば新鮮な印象を与えることができます。特に、Kin EuphoricsやNikeのようなブランドにはグラデーションがよく映えます。SNSの投稿や記事のヘッダー画像、プレゼンテーションのスライドに取り入れることで、コンテンツに奥行きと鮮やかさをプラスできるでしょう。Canvaのようなツールを活用すれば、小規模なチームでも手軽にグラデーションのテンプレートを試せます。
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出典:Glossier
2025年のビジュアルブランディングは、チェリーレッドが主役になりそうです。PinterestはZ世代とミレニアル世代が、今年のムードボードからメニューに至るまで、あらゆるものにチェリーカラーを取り入れると予想しており、早くもカラー・オブ・ザ・イヤーの候補に挙がっています。Pinterestの検索データでも、「cherry vibe(チェリームード)」が325%増、「dark red cherry(ダークレッドチェリー)」が235%増と、大きな注目を集めています。
すでに多くのブランドがチェリートーンを取り入れ始めています。スキンケアコスメブランドのGlossierは、2025年を「ブラックチェリーの年」と位置づけており、他のファッションやインテリアデザインのブランドも、この鮮やかな色を自社のカラーパレットに採用しています。
自社のブランドカラーを大切にしながら、最新のトレンドも取り入れましょう。SNSでは、チェリーレッドを活用するコンテンツクリエイターとのコラボレーションを検討してみてください。ブランド同士のコラボでも、インフルエンサーによる発信でも、ブランドのビジュアルアイデンティティを大きく変えることなく、タイムリーかつ効果的にクリムゾンカラーの世界観にブランドをなじませることができます。
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今やグラフィックデザインのトレンドを語るうえで、AI技術を無視することはできません。かつては独特で奇抜なアウトプットが特徴だったAIデザインツールも、今では創造性を高め、ワークフローを効率化するツールとして広く認識されています。
AIデザインツールは、直感的に使えるようになると同時に人間の創造性を補完し、超写実主義や完璧さを超えた新たな表現領域に踏み込んでいます。その結果、多くのデザイナーが自身の技術をさらに磨くために、AIを用いて精密なデザイン調整をするようになっています。
今後のクリエイティブ戦略として、AIをパートナーとして取り入れてみてはいかがでしょうか。AIを活用することで、デザインプロセスの効率化と革新を実現できます。例えば、ブランディングのバリエーションを検討したり、配色パレットのバランスを調整したり、イラストを強化したり、アクセシビリティを向上させるといった活用が可能です。
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この記事は、SpringboardのSonya Matejkoが執筆し、Industry DiveがDiveMarketplaceを通じてライセンスを取得したものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。
元記事「5 Visual + Design Trends Shaping Content Marketing in 2025」は2025年1月14日にstudioID’s insights blog – springboardに掲載されました。
また、日本におけるIndustryDiveパブリッシャーネットワークに関してはamana Content Marketingまでお問い合わせください。
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