生成AIを制御する、CGクリエイターの「技術」と「美意識」

生成AIを制御する、CGクリエイターの「技術」と「美意識」

生成AIは、制作スピードの向上やアイデアの拡散において革命的な進化をもたらしました。しかし、広告やプロダクトビジュアルに不可欠な「精緻な品質」や「一貫性」においては、依然として課題が残ります。AI単体では、一部の修正が全体の破綻を招くことも多く、緻密な合意形成が必要なクライアントワークには不向きな側面もありました。

本稿では、こうした生成AIの課題に対し、CGクリエイターがその精度と表現を完全にコントロールし、意図通りのアウトプットへ導く手法をご紹介します。アパレルやモビリティなど、実製品のビジュアル制作において、AIの爆発力を活かしつつ、いかに品質を担保するか。その実践知と技術解析をまとめます。


要点サマリー

・生成AIは強力だが、広告・プロダクト領域では「精緻な品質」「一貫性」「部分修正」の難しさが残る
・3D空間データ(Depth/Normal)をAIに渡すことで、構図や比率を保った生成がしやすくなる
・静止画に限らず、3D座標を参照させることで動画生成にも応用できる


3DCG技術による生成AIの制御手法

深度情報(Depth)や法線情報(Normal)といった3D空間データをAIへ渡すことで、カメラワークや被写体の比率を厳密に保ったままの生成が可能になります。

さらに、ノードグラフによるシミュレーション制御の概念を応用することで、テキストプロンプトだけでは困難だった「構造の再現」や「一貫性の確保」を実現しました。「3DCGを入力装置として活用する」という逆転の発想により、生成AIを狙い通りに操るワークフローを確立しています。

3DCG技術による生成AIの制御手法

ノードキャプチャによる意図の反映:3Dシーンから抽出した深度・法線情報をガイドとして入力し、プロンプトだけでは制御しきれない微細な構図をコントロールする。

ノードキャプチャによる構成力

例えば「白いワンピースを着た女性がシルバーの車にもたれかかっている」というプロンプト。

AIはこれだけで見応えのある画像を生成しますが、そこからの微調整は困難です。指示を重ねるほど、意図しない変化が起きやすいためです。

そこで、あらかじめ3Dモデルで明確な構成を作成します。車の位置、サイズ、アングル、人物のポーズや立ち位置。これらを「構造」としてAIに読み込ませることで、出力結果は劇的に安定します。

ノードキャプチャによる構成力

3Dモデルによるラフ構成(左)とAI生成結果(右):車の配置や人物のポーズといった「構造」を3Dで固定することで、テキストのみでは困難な位置関係の指定を厳密に再現している。

3D座標空間から、動画生成へ

静止画だけでなく、時間軸を持つ動画においても、3D空間の座標を参照させる手法は有効です。

「ベースとなるCGアニメーション」と、「AIによる動画生成結果」を並べて比較します。3D空間の座標を参照させることで、構成を保ったまま生成を試みることができます。

ベースとなるCGアニメーション(構成の元データ)

AIによる動画生成結果(上記をもとに生成)

別アングルのCGアニメーション(同シーンの別視点)

AIによる動画生成結果(別視点をもとに生成)

AI活用の可能性と現状の課題

AIは時に想像を超えた表現を生み出しますが、そのプロセスはブラックボックスであり、「結果」のみが提示されます。プロセスを遡って論理的に修正できない点は、プロの制作現場において致命的です。だからこそ、私たちは制作工程の要所を3DCGで「制御」することに取り組んでいます。

将来的にはAI自体の進化で解決されるかもしれませんが、現時点では「人の意志(3DCG)」と「AIの偶発性」を掛け合わせるこの手法こそが、最適解であると考えています。

文・画像・動画:張替誠(アマナ)


よくある質問(FAQ)

Q1. 生成AIはなぜ「精緻な品質」や「一貫性」で課題が残りやすいのですか?

A. 一部の修正が全体の破綻につながることがあり、狙い通りに微調整を積み重ねにくいためです。緻密な合意形成が必要なクライアントワークでは、この不確実性が扱いづらさにつながります。

Q2. Depth(深度)やNormal(法線)をAIに渡すと、何が変わりますか?

A. 3D空間データを参照させることで、カメラワークや被写体の比率を厳密に保ったまま生成しやすくなります。

Q3. 「ノードグラフによるシミュレーション制御の概念を応用」とは、どういう意味ですか?

A. テキストプロンプトだけでは難しい「構造の再現」や「一貫性の確保」を目的に、制作工程の要所をコントロールできるようにする考え方です。

Q4. 「3DCGを入力装置として活用する」とは?

A. テキスト指示だけに頼らず、3DCGで構成(構造)を用意してAIに読み込ませることで、生成結果を狙い通りに操るための発想です。

Q5. 動画生成にも応用できるのはなぜですか?

A. 静止画だけでなく、時間軸を持つ動画においても3D空間の座標を参照させる手法が有効であるためです。

Q6. どんな制作領域で、この考え方が活きますか?

A. アパレルやモビリティなど、実製品のビジュアル制作で「品質担保」が重要な場面で活用が期待できます。


関連ソリューション/資料

生成AIの活用を制作現場で前に進めるには、「ブランドらしさ」と「品質・一貫性」を両立させる設計が重要です。より詳しく知りたい方は、以下のサービスページもあわせてご参照ください。

– A³ | amana AI Architects
生成AIを“ブランドに最適化”するための設計・制作支援。PoCやガイドライン整備、リスク面の整理まで含めて検討したい方に。

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– CG制作
スチル/ムービー/リアルタイムなど幅広い表現手法で、細部にこだわったCG制作とソリューションを提供。制作事例・資料も掲載しています。

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