製品スペックだけでは伝えきれない価値を、どう可視化するか──。
ホイストメーカー・キトーは、ECビジネス強化の一環としてAmazonブランドストアを新規開設。価格比較が前提となるAmazonのプラットフォームにおいて、「品質へのこだわり」や「ものづくりの姿勢」といった製品以上の価値を、どのように顧客へ伝えていくかが課題となっていました。
本プロジェクトでは、ストア内で公開されるブランドムービーの提案および制作をアマナが担当。映像を通じてブランドの本質をどのように可視化したのか。その企画背景や制作プロセス、社内での合意形成について、APACマーケティング部の佐々木彩華さんに伺いました。
インタビューダイジェスト動画もご覧ください:キトー|製品以上の価値を可視化したブランドムービー制作
――まず、今回のプロジェクトにおける、佐々木さんの役割を教えてください。
佐々木彩華さん(以下、佐々木。敬称略):今回のプロジェクトでは、私たちのチームがAmazonのブランドストアページを新規開設しました。当社ではECビジネスの強化を全社方針として掲げており、その一環として、コンテンツ制作やブランディングを担う部署である私たちが本件を任されました。ストアトップに掲出するブランドムービーの制作をアマナさんにお願いし、ブランドの世界観や価値をAmazon上でどう表現するかを軸に、制作を進めたのです。
――Amazon強化の背景と、ブランドストアページで伝えたかったことを教えてください
佐々木:自社のブランド価値が伝わっていないと感じていたわけではありませんが、今回のプロジェクトは、これまで営業活動を通じて築いてきた既存顧客に加え、Amazonという巨大なプラットフォームを通じて、まだ十分に接点を持てていない層へとリーチを広げていく狙いがありました。
一方で、Amazonでは商品が一覧表示されるため、どうしても価格で比較されやすく、製品の背景にある想いや価値が伝わりにくいという課題も感じていました。また、スペック重視の見せ方に偏ってしまい、企業として大切にしている思想や信頼の背景まで届ける工夫が必要だと感じていたのです。
そこでブランドストアページを通じて、単なる機能説明ではなく、品質や安全性を支える社員の姿勢やものづくりへのこだわりといった「製品以上の価値」を届けたいと考えました。キトー製品を使うことに誇りや特別感を感じていただきたい。その安心感の源泉となる「人」の存在まで含めて伝えることが、今回の目的でした。
佐々木彩華|Ayaka Sasaki
株式会社キトー APACマーケティング部。2021年に株式会社キトーへ入社。1年目は海外輸出業務に携わり、海外とのやり取りや、ものづくりの流れを学びました。2年目からは海外マーケティング部に移り、現在は日本を含むアジア地域向けのプロモーションコンテンツの企画・制作や、各国向け施策のサポートを担当しています。また、ブランド認知向上業務にも携わり、多様な視点を大切にしながら、ブランドの魅力をより多くの人に届けることを目指しています。
――制作パートナーを検討する中で、アマナに相談しようと思われたきっかけを教えてください
佐々木:以前、別部署が製品カタログの制作をアマナさんに依頼しており、その仕上がりを拝見する機会がありました。そこではキトーブランドの価値やトーン&マナーが非常に丁寧に表現されており、特に写真の撮り方やデザインの工夫によって、製品カラーである「キトーイエロー」が美しく際立っているのが印象的でした。色そのものが持つ魅力まで正しく伝える表現力に惹かれ、今回ぜひアマナさんに相談したいと考えたのがきっかけです。
――数ある選択肢の中で、最終的にアマナの提案を採用した決め手は何でしたか?
佐々木:ご提案内容の完成度が非常に高く、デザインのクオリティはもちろん、こちらの要望に合わせたコンセプトも分かりやすく示されていました。さらに、プロジェクトの進め方や対応スピードについても具体的で、安心してお任せできる体制だと感じたことが、最終的にアマナさんを採用した決め手となりました。
――企画を進める中で、アマナとのやり取りや役割分担で「やりやすさ」や「印象的だった点」はありましたか?
佐々木:打ち合せからロケハン、撮影に至るまで、多くの専門スタッフの方が関わってくださいました。その一人ひとりが本気で向き合い、細部までこだわる姿勢に、強いプロフェッショナリズムを感じました。私たちの想いを丁寧に受け止めながらも、よりよい表現へと導いてくださる。その姿勢は、ものづくりへのこだわりを大切にするキトーの価値観とも重なっていたと感じています。
――今回のブランドムービーで、最初の企画提案段階から特に重視していたコンセプトやメッセージは何でしたか?
佐々木:製品の品質を支えているのは、キトー社員の妥協のないものづくりへの姿勢です。その真摯な姿勢こそがキトーブランドそのものだと考えています。だからこそ、その想いをメッセージとして伝えたいと思いました。
――企画から撮影・編集までの制作プロセスの中で、特に印象に残っている出来事や判断はありましたか?
佐々木:コンセプト設計の際、「Why Kito?」を深く掘り下げていただいたことで、「品質や機能の良さが成り立つのは、その裏側にあるキトーの『人』という真実があるからだ」という暗黙の価値が、初めて明確な言葉として立ち上がりました。その提案に強く心を動かされると同時に、これまで形にできていなかったがゆえに、この大切な本質が社内外に十分に伝わりきっておらず、社内でも共通認識を持てていなかったのだと改めて実感したのです。それによって、今後のブランド戦略の核となるべき方針が、ここで確固とした形で見えたという手応えがありました。
アマナ提案資料より|「Why Kito?」のブランド構造整理
アマナ提案資料より|ブランドムービーにおけるコミュニケーション・コンセプト「真実を吊り上げろ!」
――完成した映像の中で、特に「これはキトーらしい」と強く感じた具体的なシーンや質感はありますか?
佐々木:当初から私たちが伝えたかったのは「人」でした。アマナさんのコンセプトとも重なり、今回の映像では設計・開発・現場で品質を支える、キトーらしい真面目でひたむきな人たちの姿がしっかりと表現されていると感じています。
ブランドムービーより|品質を支える現場スタッフのカット
――社内調整や合意形成、実装後の反応について教えてください
佐々木:トーンを落とし青みを加えたアマナさんらしい表現は、新しい試みだったため、社内での合意形成には時間を要しました。従来にない色味に戸惑う声もありましたが、「今らしい色調がキトーイエローの輝きを増幅させ、信頼感や高級感につながる」ことを論理的に共有し続けたのです。実際に公開してみると評価は一変しました。抑制されたトーンの中で製品カラーが鮮やかに際立ち、社内からは「格好いい」「こだわりが伝わる」といった声が次々と寄せられました。
――Amazon上でも、ブランド体験はつくれると感じましたか?
佐々木:Amazon上でも、ブランド体験は十分につくれると感じました。今回の動画では「人」に焦点を当て、設計・製造・生産に携わる方々を前面に打ち出しました。裏側の担い手に光を当てることで、その存在や想いを伝えられたのではないかと思います。
――今回の取り組みを通じての変化と、今後のブランド発信について教えてください
佐々木:今回の取り組みを通じて、何より重要なのは確かなコンセプト設計だと実感しました。媒体を問わず、ぶれない軸があることで迷ったときにも立ち返ることができます。その軸が明確になったことで、今後はAmazonを含むすべてのデジタル接点において、トーン&マナーを統一した一貫性のある発信を行っていきたいと考えています。これまでは接点ごとに表現が散らばる面もありましたが、「キトーとして何を伝えるのか」「どんな世界観で届けるのか」が定まったことで、より統一されたブランド体験を整えていけると感じています。
――同じようにBtoB・MRO市場※でブランド表現に悩んでいる企業担当者へ、アドバイスがあればお願いします。
佐々木:BtoB市場ではスペック重視になりがちですが、ブランド表現で重要なのは派手さではなく「軸の一貫性」です。「何を大切にし、どんな価値観でものづくりをしているのか」という世界観をすべての接点で揃えることが、デジタル時代の信頼につながります。まずは自分たちの「当たり前」を言語化すること。軸が定まれば表現はぶれず、社内の共通理解も自然と深まります。
※MRO市場:企業活動に必要な消耗品や備品(工具、副資材など)の提供と管理を行う市場
――今回の経験を踏まえて、「ブランドとは何か」を一言で表すとしたら、今はどんな言葉になりますか?
佐々木:「会社が社会に提供する不変の価値」だと考えています。 時代とともに製品の形や売り方は変わっていきますが、キトーにとって100年経っても変えてはいけないものは、やはり「製品の安全性」や「品質」、そしてそれらを多方面から支える「人」です。そうした価値を、あらゆる接点を通じて一貫して伝え続けていくことこそが、ブランドなのだと改めて実感しています。
キトーのAmazonブランドストアはこちら:Amazonブランドストアを見る
※リンク先のページ内では、ブランドの想いを伝える「ブランドムービー」も公開中です。
キトーによるAmazonブランドストア新規開設は、価格やスペックで比較されやすいAmazonのプラットフォームにおいて、「製品以上の価値」をどのように伝えるかを模索する取り組みでした。本プロジェクトにおいて、アマナはブランドムービーの制作を担当。「Why Kito?」という問いを起点に、対話を重ねながら、製品を支える「人」とものづくりの姿勢に光を当てる表現を検討しました。キトーイエローが象徴する誇りや品質を映像の中で丁寧に描き、デジタル上での発信の一端を担いました。企画検討から制作に至るまでのプロセスは、BtoBブランドにおいて価値をどう伝えていくかを考える一つの実践例となっています。
アマナはこれからも、企業の理念や不変の価値に向き合いながら、それらを適切なかたちで伝える表現づくりに取り組んでいきます。
<スタッフクレジット>(スポンサー/クライアント以外はすべてアマナ)
スポンサー/クライアント:株式会社キトー
ビジネスプロデューサー:兼子丈太、西口勇気
クリエイティブディレクター:鈴木陸
アートディレクター:有村公一
ムービーディレクター:粉川翔之助
ムービーカメラマン:小原清
取材・文・撮影:BeeDot
▶ ビジュアル(Motion・Photography・Digital Imaging)|TVCM/ムービー撮影
アマナは、企業が大切にしている理念や不変の価値を、映像やビジュアルを通じて可視化するクリエイティブを提供しています。TVCMやブランドムービーの撮影はもちろん、PhotographyやDigital Imagingを含めた統合的なビジュアル設計により、企業の世界観を一貫して表現します。
価格やスペックで比較されやすい市場環境においても、製品を支える思想や人の姿勢まで伝える──。そんなブランドコミュニケーションの設計から制作まで、ワンストップで伴走します。
ブランドの世界観を映像でどのように設計し、可視化してきたのか。アマナのムービー制作事例もあわせてご覧ください。
ヤマハ発動機|ブランドの世界観を可視化する──共創で生まれたビジュアルコンセプト
IPSA|海外クリエイターとのコラボレーションを実現する、アマナの“言語化力”とビジュアル戦略
パナソニック|SNS広告映像制作の舞台裏:欧州向けテレビのプロモーション事例
フェイラー|“ときめき”を支えるものづくりを伝えるブランドムービー
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amana TVCM/MOVIE
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