Tailor App(テイラーアップ)は、再生医療発想のスキンケアブランド「iCell」におけるブランド哲学「Bio-Hacking × Timeless Beauty」を可視化するプロジェクトを展開。本プロジェクトでは、アマナがブランドムービーとキービジュアル、コピー開発を担当しました。
ムービーでは、年齢や常識に縛られない「普遍的な美しさ」を体現する氷川きよしさんをブランドアンバサダーに起用し、肌本来の力を引き出すiCellの思想を映像とコピーで表現。制作過程では、演出や編集、コピーの表現に至るまで緻密に調整し、ブランド哲学を忠実に体現する映像世界を作り上げました。
その共創プロセスについて、株式会社Tailor App代表取締役社長の松村夏海さん、アマナのプロデューサー・名古洋平、ムービーディレクター・謝花香織、コピーライター・櫻井ノマドに伺いました。
インタビューダイジェスト動画もご覧ください:Tailor App「iCell」|ブランドをざわつかせる、コピー・映像・ビジュアルのブランド戦略
――まず、Tailor App様の事業内容と、iCell立ち上げの背景について教えてください
松村夏海さん(以下、松村。敬称略):当社は、国内No.1の実績を持つライブコマース事業を基盤に成長してきました。強みは、リアルタイムの双方向コミュニケーションから得られる視聴者の率直な反応や細分化されたニーズ、変化の速いトレンドまで捉えられる点にあります。私たちはこれを「ライブインサイト」と呼び、商品開発や広告、採用支援に活用し、販売チャネルを超えた価値を提供してきました。
私の中には、「日本を豊かにしたい」という想いがあります。呉服屋を営んでいた祖父は、自ら良いものをつくり、売ることに誇りを持つ職人気質の経営者でした。しかし、時代の変化やデジタル化の波に対応できず、閉店しました。その姿から、優れた価値も「届ける力」がなければ守れないと痛感しました。まずライブコマースでその力を磨き、その資産であるライブインサイトを活かし、日本の再生医療の知見と掛け合わせ、開発したのが「iCell」です。伝統と先端科学、デジタルを融合し、日本発の価値を世界へ広げることを目指しています。
松村夏海|Natsumi Matsumura
株式会社Tailor App代表取締役社長。1997年生まれのZ世代経営。法政大学卒(在学中にフォントボン大学に留学)。PR会社とライブコマースシステム会社の2社を経験し、同社が2019年にIT一部上場企業に事業譲渡。2020年に株式会社Tailor App設立。日経、Forbes、WWD、PIVOT、流通産業新聞、通販新聞など多数のメディアに出演するほか、著書『売れるライブコマース入門』はAmazon新着ランキング1位を記録。
――ブランドコンセプト「Bio-Hacking × Timeless Beauty」に込めた想いと、ターゲットについて教えてください
松村:現在のスキンケア市場では、外側から成分という「肥料」を与える発想が主流です。しかし私たちは、幹細胞やエクソソーム(上清液)※1を活用し、肌細胞そのものを活性化させるアプローチを採用しました。自分の細胞をアップデートし、肌本来の力を引き出す。美容成分を重ねるのではなく、受け入れる土台を整える発想です。その考え方を「Bio-Hacking」と捉えています。目指すのは、年齢に縛られない「Timeless Beauty」。内側からにじみ出る、持続する本質的な美しさです。
この価値を届けたいのは、私の母のように、仕事や育児に向き合いながら挑戦を続ける女性たちです。忙しさの中で自分を後回しにしがちな方が、ふと鏡を見たときに「いまの自分を最高に美しい」と思える。その実感が、人生を前向きにする活力になると信じています。iCellは、年齢を理由に可能性を諦めない人に寄り添い、背中をそっと押すブランドでありたいと考えています。
※1:ヒトの幹細胞の培養上清液及び当該上清液に含まれる可能性のある細胞外小胞等の細胞の分泌物
――iCellのローンチ当時、ブランドとして「ここが一番難しかった」と感じていた点は何でしたか?
松村:大きく二つの壁がありました。ひとつは、再生医療やエクソソームに対する不安にどう向き合い、安全性を伝えるか。もうひとつは、競合がひしめく美容市場でどう差別化するかです。BtoC企業やスタートアップが参入と淘汰を繰り返す中、一過性のブームで終わらせず、ブランドとして確立できるかが問われました。信頼性と独自性を両立することが、最大の課題でした。
iCellキービジュアル:ブランドアンバサダーの氷川きよしさん
――氷川きよしさんをブランドアンバサダーに起用した決め手と、ブランドにもたらした価値について教えてください
松村:氷川さんを起用した背景には「想い」と「戦略」の両面があります。想いの面では、紆余曲折を経ながら年齢を重ねるごとに輝きを増す氷川さんの姿が、私たちの掲げる「年齢に縛られない普遍的な美しさ」を体現していると感じたこと。そして将来の海外展開を見据えた際の、アーティストとしての存在感も大きな理由です。
戦略面では、ファン層の広さと熱量が決め手でした。SNSでの高いエンゲージメントに加え、メインターゲットである40〜50代女性だけでなく、20代・30代にもリーチしている点は大きな強みです。幅広い世代からの支持は、ブランド立ち上げにおいて大きな推進力になると確信しました。
――「年齢も、常識も、超える。」「どうぞ、私にざわついてください。」というコピーは、どのように生まれたのでしょうか? 制作過程で意識された点を教えてください
櫻井ノマド(以下、櫻井):まず、iCellのブランド個性と氷川さんの生き様という「内面性」が重なる点を探りました。そこで見えてきたのが、「常識を超えていく」という姿勢と、「ざわつかせる」存在感の二つです。この核となる要素を純度の高い言葉へと削ぎ落とす中で、今回のコピーが生まれました。
櫻井ノマド|Nomado Sakurai
株式会社アマナ プランナー / コピーライター。 大学時代、神戸・大阪でデザインを学び、現在はコミュニケーションの企画立案からディレクション、制作までを一貫して手掛ける。 CM、OOH、新聞、イベント、キャンペーン、コンテンツなど、様々なメディアを活用したPR視点での企画展開を得意とする。商品や企業のプロモーションから地域活性プロジェクトまで、多種多様なプランニングに従事している。
――コピーやコンセプトづくりで、特に議論を重ねた点はどこでしたか?
名古洋平(以下、名古):松村さんが当初から掲げていたのは、「再生医療発想の化粧品として、世の中に強いインパクトを与えたい」ということでした。ただ、その「インパクト」をどう定義し、どう表現するかが最大の難所でした。単に目立つのではなく、再生医療にふさわしい本質的な強さとは何か。そこを明確にするため、チーム内での議論や松村さんとのすり合わせに最も時間をかけました。
名古洋平|Yohei Nago
株式会社アマナ プロデューサー。ビューティー領域を中心にプロデュースを担当。商品や人物のビジュアル撮影から、サイトリニューアルなどのweb制作、記事コンテンツ制作まで幅広く担う。正しいブランド理解を起点に価値を最大化している。
@i_Cell_officialより。
――今回のブランドムービーにおいて、どのようなコンセプトを掲げ、クリエイティブの細部まで落とし込んでいったのでしょうか
謝花香織(以下、謝花):表現の核に据えたのは、氷川さんの「凛とした美しさ」と「意志の強さ」。自らをアップデートし続ける姿に、肌本来の力を引き出すiCellの思想を重ねました。
演出では徹底してリアルにこだわり、ミストも現場で噴射。粒子の煌めきという有機的な美しさで、ブランドの世界観を表現しました。ジャケットの動きや指先の角度まで、意志と機能美が重なる瞬間を追求しています。編集でも妥協せず、15秒の中で複数案を検証し、「最も心をざわつかせる表情」を選定。マーケティング視点のフィードバックも踏まえ、コピーと映像が共鳴する一瞬を磨き上げました。
謝花香織|Kaori Jyahana
株式会社アマナ ムービーディレクター。MusicVideoを始め、ドキュメントやライブ演出映像、店頭用販促VPなどの演出キャリアを積む。ビューティーから製品プロダクト、Bto C/Bなど幅広く柔軟に携わる。演出だけではなく、Editing/motionのスキル併用でシンプルにダイレクトにクリエイションをまとめていく。
――ムービーやキービジュアル制作において、氷川きよしさんのあり方や映像トーンに合わせて最終的に調整した点はありますか?
櫻井:特にこだわったのは、最後の「どうぞ、私にざわついてください。」という表現です。通常の広告が購買やクリックを促すのに対し、今回はあえて「ざわつく」という感情をゴールに設定しました。公開後には「ざわついちゃいました」という声も多く、言葉そのものがコミュニケーションとして広がりました。「どうぞ」とやわらかく差し出すことで、受け手に感情の許可を与えられた点に手応えを感じています。
――プロデューサーとして、ムービー・ビジュアル・コピーをどのように統合しましたか?チーム編成や進行面での工夫も教えてください
名古:短期間で最高水準のクオリティを実現するため、「信頼」と「相性」を軸に体制を構築しました。ディレクターの謝花、カメラマンの曽根原という実績豊富な布陣に、挑戦を楽しめるコピーライター櫻井を加えました。確かな技術と新たな挑戦への熱量を掛け合わせたチーム編成が、今回のクリエイティブを支えています。
――完成したビジュアルの手応えと、ローンチ後の反響についてお聞かせください
松村:まず、プロが生み出す表現の圧倒的なクオリティに驚きました。これまで重視してきた「売る構成」とは異なり、「心を惹きつける表現」をゼロから築き上げていくプロセスに、仕事の凄みを実感しました。15案を経て「どうぞ、私にざわついてください。」というビジュアルに出会った瞬間、まさにこれだと確信しました。
その確信は、数字にも表れています。無名かつ高単価という条件下にもかかわらず、公開後にはCPA(顧客獲得単価/Cost Per Acquisition)が約4分の1まで改善。業界からの問い合わせやブランド開発コンサルの依頼も増え、ファンがSNSのアイコンに設定するほどの熱量も生まれました。クリエイティブの力が、ブランドへの信頼を大きく高めたと感じています。
――今回のプロジェクトを通じて得た学びや、iCellならではの気づきは何でしょうか?
名古:新規参入の再生医療ブランドが、ここまで話題性と認知を獲得した例はほとんどありません。アンバサダーの力と高い効率を生んだクリエイティブが掛け合わさり、まさにiCellならではの成果につながったと感じています。こうした取り組みは、他ブランドにも活かせる可能性があると感じました。
――制作者として、この作品に宿した「本質」を一言で表すと何でしょうか?
謝花:一言で表すなら「愛」です。アンバサダーの起用でありながら、その背景にある松村社長のお母様への想いを知り、このプロジェクトは愛から生まれたものだと感じました。
――iCellや松村様との取り組みを通して、コピーを書く仕事についてあらためて感じたことや発見はありますか?
櫻井:「コピーの時代は終わった」とも言われますが、今回「ざわつく」という言葉が見出しや投稿に広がり、言葉にもまだ現象を生み出す力があると実感しました。起こしたい現象を逆算し、そこに必要なクオリティを見極めながら言葉にしていく力こそ、これからのコピーに求められるものだと感じています。
――今後、アマナのクリエイティブ力をどのように活かし、企業のブランドや売上に貢献していきたいと考えていますか?
松村:今後は、アマナのクリエイティブ力を売上につなげる挑戦をしていきたいと考えています。優れた表現を、マーケティングや商品設計、ビジネスモデルに落とし込み、成果へと転換することが重要です。今回の施策も、売上だけでなく、リテール交渉や卸先対応、インフルエンサー協力の獲得など、目に見えない部分でも効果を発揮しました。アマナがブランドの「核」を固め、私たちがそれを「そろばん」で成果に変える。変化の速い時代にヒーロー商品を生み出したい企業にとって、大きな可能性になると感じています。
――最後に、新ブランドの立ち上げやリブランディングを検討している企業へ、メッセージをお願いします
松村:情報があふれる時代だからこそ、クリエイティブへの強いこだわりとインパクトは不可欠だと感じました。リブランディングや新商品開発では、ブランドの核を明確にし、それをどう表現し、どう届けるかにこそ力を注ぐべきです。「コピーの時代は終わった」とも言われますが、言葉を突き詰め、クリエイティブを磨き込めば反応は大きく変わります。いまは、強いクリエイティブをどう生み出し、どう活かすかがマーケターに問われる時代だと思います。
――今回の取り組みを通じて、今後アマナとして提供していきたい価値を一言で教えてください
名古:アマナの強みは、「美しいものを美しく撮る力」にあると感じています。今回の案件でも、その強みを発揮できたのではないでしょうか。これからも多くの企業とともに、美しいものを美しく撮り、かたちにしていきたいと考えています。
謝花:私たちは、最後までとことん伴走することを大切にしています。初期のすれ違いも丁寧にすり合わせながら距離を縮め、乗り越えていく。そのプロセスを支えることこそ、私たちが提供できる力だと感じています。
櫻井:私は「表現」ではなく「現象をつくる」ことにこだわりたいと考えています。売上につながらなければ、良いクリエイティブとは言えない。だからこそ、売上の一歩手前にある「起こすべき現象」を見極め、それを高精度に設計できるクリエイティブを追求していきたいと思っています。
ブランド哲学「Bio-Hacking × Timeless Beauty」を可視化したTailor Appとアマナの共創プロジェクト。対話と協働を重ねながら、ブランドの想いを言葉に翻訳し、プロデュースからコピー、ムービー、キービジュアルまでをアマナ内部のクリエイティブチームが一気通貫で設計・制作してきました。コピー・映像・ビジュアルが連動することでブランドの本質を立ち上げられたことは、本プロジェクトならではの成果と言えます。アマナは、理念を深く理解し、共に創り上げるパートナーとして、ブランド価値の伝達と未来のコミュニケーションをこれからも支えていきます。
スタッフクレジット
クライアント/スポンサー:株式会社Tailor App
<スタッフクレジット(全てアマナ)>
プロデューサー:名古洋平、田中俊充
ムービープロデューサー:山口勝平
ムービーディレクター:謝花香織
アートディレクター:松下純玲
カメラマン(ムービー&スチール):曽根原健一
レタッチャー:首藤智恵
コピーライター:櫻井ノマド
取材・文・撮影:BeeDot
ビジュアル(Motion・Photography・Digital Imaging)|TVCM/ムービー撮影
アマナは、企業が大切にしている理念や不変の価値を、映像やビジュアルを通じて可視化するクリエイティブを提供しています。TVCMやブランドムービーの撮影はもちろん、PhotographyやDigital Imagingを含めた統合的なビジュアル設計により、企業の世界観を一貫して表現します。
価格やスペックで比較されやすい市場環境においても、製品を支える思想や人の姿勢まで伝える──。そんなブランドコミュニケーションの設計から制作まで、ワンストップで伴走します。
ブランドの世界観を映像でどのように設計し、可視化してきたのか。アマナのムービー制作事例もあわせてご覧ください。
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amana TVCM/MOVIE
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