事業会社のブランド部門やマーケティング部門にとって、外部パートナーへのオリエンテーションは、プロジェクト成功の鍵を握る大切なステップです。パートナー企業は、事業会社から受けたオリエンテーションを基に企画を考えますが、まず「与件」を整理します。しかし、企画提案に必要な情報がオリエンテーションで網羅されていないと、多くのやりとりが生じ、的外れな提案を受けてしまうことも。期待以上の提案を受けるためには、企画提案に必要な情報を予め把握しておきましょう。
<目次>
与件整理とは、プロジェクトや企画立案において、制作パートナー(受注側)が事業会社(発注側)から得た情報をもとに与件を整理することです。多くの場合、制作パートナーは、事業会社との間で行われたオリエンテーションの内容をもとに与件としてまとめます。与件として整理する内容は、プロジェクトの目的や課題、ターゲットなどです。
与件整理のプロセスを通じて、制作パートナーはクライアントのニーズを深く理解するとともに、双方の認識の齟齬が解消されることで、より良い提案へとつなげられます。
プロジェクトの初期段階で行われる与件整理は、その後の工程にも影響を与えることから、プロジェクト全体の成否も左右します。以下では、プロジェクト発足時になぜ与件整理が必要となるのか、その理由と与件整理の重要性について解説します。
制作パートナーが事業会社からのヒアリング内容を整理・記録する際に用いるフォーマットを、「与件整理シート」と呼びます。与件整理は、制作パートナーが担う作業です。一方、事業会社も与件整理に必要な項目や内容を事前に把握しておくことで、オリエンテーションの場で自社の条件や要望を的確に伝えやすくなります。
制作パートナー側も与件整理がスムーズに進み、結果として事業会社側が受けられる提案の精度も高くなります。プロジェクト開始後のキックオフの際にも、情報共有が進むことで意思疎通のズレが減り、円滑なコミュニケーションが促進されるでしょう。
事業会社と制作パートナーは、与件整理を通じて現状ステータスや課題を把握し、プロジェクトの目的や施策の優先順位を明確にします。その過程で、事業会社側では社内での議論が深まり、意思決定者や関係部署との合意形成が進みます。これは、目的の設定やKPI、期限、予算などの具体的な数値に落とし込むプロセスにおいて、社内での綿密な意見調整が不可欠であるためです。
関係者間の相互理解が深まることで、多くの場合、現場とは異なる視点や考えをもつリーダーや経営層からの合意を得るスピードも速まり、プロジェクト全体の推進力が向上します。
プロジェクト発足前のプレゼン(コンペなど)のときに、与件整理のプロセスを経ることで、事業会社は自社のニーズに適した制作パートナーかどうかを見極めやすくなります。例えば、与件が明確になれば、制作パートナーはより正確な見積もりを提示できるため、事業会社側による選定も効率的に進められるでしょう。
この段階で、プロジェクトの方向性や自社の求める条件や要望に合致しないと判断できれば、ミスマッチを防ぎ、無駄な時間やコストの削減につながります。
プロジェクトを円滑に進めるには、制作パートナーが与件を整理するだけでは不十分です。与件が明文化された文書を関係者全員でレビューし、認識をすり合わせた上で、事業会社と制作パートナーの双方の合意を得ることが求められます。
また、与件変更時の対応を事前に決めておくことも、スケジュール遅延やコミュニケーションコストの増加、追加コストの発生を防ぐ効果的な方法といえるでしょう。認識のすり合わせや合意形成が不十分な場合、期待値に達しないアウトプットや「言った言わない」の揉め事に発展するリスクがあります。
次に、与件整理の主な構成要素についてみていきましょう。
なお、ここで取り上げる要素以外にも、プロジェクトを成功させるために整理しておくと良い項目は多々あります。与件整理の構成要素について詳しい内容が知りたい方は、こちらから与件整理シートをダウンロードしてご活用ください。
プロジェクトや企画の最終的な目標や、達成したい成果を明確にします。KPIは、こうした最終目標の達成に向けた、具体的かつ数値的な指標として設定されます。
プロジェクトの目的は、アウトプットの精度を高めるためにも、事業会社と制作パートナーの双方で認識を一致させておくべき重要な項目です。目的が複数ある場合は、最も重視する項目や、それぞれの比重についても整理しておきましょう。
例:認知向上、理解促進、購買促進など
現状を見直した上で課題を抽出し、プロジェクトで解決すべき問題や、達成を阻む要因について整理する項目です。この際、現状に至るまでの経緯や背景、さらには企業を取り巻く外部環境まで掘り下げることで、現状に対する理解がより深まります。また、自社の課題が明確になることで、目指すべき姿やプロジェクトの目的も描きやすくなります。
例:
・ブランドイメージに一貫性がない
・競合他社と差別化できていない
プロジェクトの対象となるターゲットを絞り込みます。まずは、年齢、居住地域、性別、職業、家族構成といった定量的なデータを表すデモグラフィック属性を整理します。あわせて、対象となる顧客層やユーザーの価値観、ライフスタイルなども可能な限り具体的に設定しましょう。
次に、ここで定めた人物像をもとに、ターゲットの悩みやニーズなどを深掘りします。さらにこの段階ではターゲットに何を伝えるのか、その方向性も大まかに整理しておくことが重要です。
例:
【ターゲットの属性】
年齢:20~30代
性別:男性
居住地域:関東圏
職業:会社員
家族構成:独身
趣味:フットサル
【伝えたいメッセージ】
・革新的で業界の慣習を打破しているブランドというイメージを与えたい
・良質な商品を提供しつつも親しみやすいブランドイメージを表現したい
続いて、与件整理で散見される失敗の原因から、プロジェクトを成功させるためのポイントを解説します。
オリエンテーションにおいて、プロジェクトの目的や課題、期待される成果、背景などが制作パートナーへ正確に伝わらなければ、与件整理の方向性に認識のズレが生じる可能性があります。
事業会社の担当者だけが把握している情報は、明示的に共有されない限り、制作パートナー側には伝わりません。重要な情報が共有されないままプロジェクトが進行すると、後の工程で関係者間に認識の齟齬が生じ、トラブルへと発展するリスクもあります。
プロジェクトの初期段階で言葉の定義が曖昧なままだと、制作パートナーとの間に認識の相違が生まれやすくなります。たとえ事業会社の業界では一般的な表現であっても、制作パートナーにとって初めて聞く言葉は多々あるからです。
制作パートナー側が言葉の解釈を誤ったままプロジェクトを進めた結果、後々支障が生じるケースも見受けられます。よくあるのは、以下のようなパターンです。
1.抽象的な表現で解釈のズレが生じる
「スタイリッシュなデザインにしてほしい」「もっと親しみやすいトーンで」などの抽象的な表現は、受け手によって解釈が異なります。そのため、事業会社側の想定と実際のアウトプットとの間にズレが生じる可能性があります。
2.社内用語、専門用語が理解されていない
社内でのみ通用する用語や、業界特有の専門用語を使うと、制作パートナーに正しく伝わらないことがあります。場合によっては、一般の方でもわかる言葉への言い換えや、注釈の追加といった配慮が必要です。
事業会社と制作パートナーの双方で共通認識を持つには、重要な言葉の定義を明文化し、曖昧な表現を避けて正確に伝えることが大切です。
アマナでは、年間を通してさまざまなコミュニケーション施策の提案を行なっています。そこで今回は、企業のブランド担当者やマーケティング担当者がプロジェクト発足時に活用できる「コミュニケーション施策与件整理シート」をExcel形式でご用意しました。このシートは、アマナのプランナーが実際に与件整理に使用しているものです。今すぐダウンロードして、必要な情報がオリエンテーションに網羅されているかを確認し、次のプロジェクトを成功に導きましょう。
・必要な情報を漏れなく提供できる
・プロジェクトの目的を明確にできる
・期待通りの提案を受けられるようになる
・オリエンテーションを控えているマーケティング部・広告宣伝部の担当者
・コミュニケーション施策の要点を整理したい事業会社の担当者
※Excelシートのイメージ
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