CMC_Meetup Vol.13「企業のトップ、経営層はコミュニティをどう見るか?」レポート<後編>

コミュニティマーケティングのためのコミュニティ「CMC_Meetup」。今、コミュニティマーケティングに関するイベントやミートアップが数多く開催されていますが、その中でも最大規模ではないかと思われる本イベント。その13回目となるミートアップが、東京・銀座、株式会社プレイド社内にて開催されました。
 
今回は、FLOAT編集部もイベントに参加させていただき、主催の小島英揮さんに記事掲載の許可をいただきましたのでレポートさせていただきます。
前編はこちら

Q3:現状のコミュニティ活動の評価軸は何か?また現状に満足しているか?

小島 : では、逆に評価軸なんですけど、橋本さんから、始めは分かっていなかったという話を今していましたけども。メギーさんの活動というのは、何で評価をしようと。メギーさんの活動なのか、コミュニティ自体のパフォーマンス、2つあったと思うんですけど。
 
橋本 : そうですね。2つありますね。まずはコミュニティマネージャーの評価。あとはコミュニティ自体のパフォーマンスですね。
 
まず、前者のコミュニティマネージャーの評価軸というのは、どれだけコミュニティが自走できているか。そういうコミュニティを国内に何個作るかというのが、すごく大事です。コミュニティマネージャーというぐらいなので、マネジメントが主なので。そういう風にマネジメントしていかないといけないんですよね。
 
小島 : マネジメントというのは、普通自分がいろいろお膳立てをして、回しちゃうタイプが結構いると思うんですけど、それでは評価しないよということなんですね。
 
橋本 : はい。それでは評価はしないですね。どちらかと言うと、やってくださいという自走をする人たちが増えるというのが、評価軸ではあると思います。後者のコミュニティ活動自体の評価軸というのは、あまりたくさん作ってはいないですね。
 
小島 : でも、なんか良いと思っているからやれって言っているわけでしょ。メギーさんに。
 
橋本 : そうですね。アウトプットだったり、ブログがいっぱい出るとか、うちの会社自体もコミュニティ自体も、同じゴールを見ていて。プロジェクトのゴールを。
 
小島 : プロジェクト・マネジメントがもっと楽になればいい。
 
橋本 : はい。楽に楽しく、成功すればいいねという感じで、同じゴールを見ているので。それに紐づくアウトプットがコミュニティからいっぱい出てきたら、例えばブログだとか。去年はTwitterだとか。

小島 : アウトプットの質とか量を見ているということ?
 
橋本 : そうですね。
 
小島 : それは何かメギーさんがレポートしているんですか?橋本さんに。
 
橋本 : 僕がTwitterをエゴサーチしていますね。
 
小島 : 自分でこうやってみて、なんかいい感じだなとか。
 
橋本 : 僕とそのメギーは見つけたら、自分のTwitterアカウントで。
 
小島 : 先に見つけたもの勝ちみたいに、どんどんピコピコやっていくんですね。
 
橋本 : そうです、そうです。それが評価軸というか。
 
小島 : そこを見ていますよということですよね。
 
橋本 : はい。
 
小島 : freeeさんはどうですか?わりとfreeeさんって外から見ると、かなり数字ドリブンというか、データドリブンな会社のイメージがあって。
 
尾形 : あ、そうなんですね(笑)。
 
小島 : そんなイメージがあります。全部KPIで。佐々木社長のイメージがちょっと強いのかもしれないんですけども。
 
尾形 : コミュニティを、当初作った目的は自走型のコミュニティを作るぞということだったので、実際に今伺ったお話とほとんど同じかなと。どれだけ多くの拠点でコミュニティが作れたかというのが1個と。もう1つは新しいメンバーが入ってきて、今は300人規模になってきたんですけど、次はどのくらいの大きさになっていくのを目指すかというようなところは評価の対象にはしています。あとは、コミュニティ自体からどれだけ新しいユーザーさんを連れてきて、freeeとの実際の契約に繋がったかというところです。
 
小島 : さっきのファネルで言うと、コミュニティでいいなと思った人が、その後もツーステップを経て、ちゃんとオンボーディングしたかどうかということですか?
 
尾形 : そうですね。そういったところも、ちゃんと見てやっているというところですかね。
 
小島 : ちなみに、今日はfreeeのコミュニティマネージャーであるモナイさんがいらっしゃっているんですけども。もう1人、タナカケイさんという男性の方がいらっしゃって。僕は金曜日にあるイベントで、タナカさんとご一緒したんですけども。立ち上げて6ヶ月ぐらいは、「お前ら何をやっているんだ」と言われて、いつチームが潰れるか不安でしたと。現場は結構こういうプレッシャーがあったみたいなんですが(笑)。
 
尾形 : これ、僕が言ったんでしたっけ(笑)。たぶん、隣に座っているメンバーは毎日営業をして、契約を取ってきていたり、契約した人にオンボーディング・セッションをやっているとか、日々いくつか活動をしていて、その数字がどんどん上がっている状況で、ではコミュニティは何をやっているのか?ということになってしまいます。
 
小島 : 隣を見たら、数字で説明をしているのに。自分たちがちょっとそれと違う軸をやっているのに不安を感じていたのではないかということですかね。
 
尾形 : というところが結構あるのかなというところなのかなと思います。

Q4:現場と企業トップとの視座の違いは? 

小島 : このあたりって、次の質問にも繋がると思うんですけども、現場はそれを日々考えていて、どれくらい実ビジネスにコンバージョンしているか、一生懸命出していたり。わりと緻密に数字を見るんですけど、トップから見ると、それも大事なんだけど、もうちょっと大きい視座で見ている感じか、そこの違いって結構あるんですかね。
 
尾形 : そんなに大きくは変わらないのかなと思うんですけど、どちらかと言うと、事業にインパクトを出しているかというのは副次的に出してくれているだけです。freee自体が目指しているのが、日本の中小企業や税理士さんのマーケット全体に対して、どれだけ使われるかということなので、一旦自走したコミュニティを作れたということと、実際新しい方が入ってきているということ自体は、すごくいいことなんですが、ここで終わるというよりは、どちらかと言うとコミュニティがfreeeのブランドを作っていくというところまで目指したいなというのが1個。

あと1個追加で言うと、さっきディマンドジェネレーションの話があったんですけども、freeeはプロダクトを作る際にお客さんからのフィードバックというのは、さっきのバックログもそうですけども、大事にしています。やっぱり使っているお客さんのフィードバックが1番大事なんですよね。
 
小島 : 日々ヘビーに使っている人ほど、いいフィードバックをくれるみたいな。
 
尾形 : まさにおっしゃる通りで、そういった役割もコミュニティが担ってくれているので、プロダクトやブランドを一緒に作るということを、コミュニティとしてできているといいなと思っています。
 
小島 : もうちょっと視野としては大きいんですよね。きっと日々成長しているというのも、もちろんいいんだけど、それではなくて。全会計士か税理士をカバーするくらいやろうとしているのかというところに興味があったりとか、フィードバックを適切にたくさんもらえているのかというところにあったりとかという感じですかね。
 
尾形 : そうですね。どういったコミュニティを目指しているのか。だんだん手前のあと50人参加してもらいましょう、100人参加してもらいましょうとなっていくと、どういうコミュニティを目指しているのかがだんだん離れて、数字が追いかけるようになってきちゃうので。
 
小島 : 数字を置き出すと、数字を追い始めるので。そもそもの崇高なというか、大きい視野の部分から、ちょっとずれてくることがあるんじゃないかなと。
 
尾形 : そうですね。ゴールさえあれば、間に数字があっても、ずれていかないと思うんですけど。一旦数字を見出しちゃうと、数字が先にいっちゃうこともあるので。そういったところは考えていかないといけないなと思っています。
 
小島 : 進捗を見るというのは大事だけれども、それが全てではなくて、頂上をどう目指そうかという方が大事だということですね。橋本さんはどうですか?
 
橋本 : 僕はあまりコミュニティとかで、数字は求めていないところがあって。
 
小島 : 本来ヌーラボのお客さんって、すごく熱量が高い人がいたけども、それを可視化するツールとして見ている感じなんですか?
 
橋本 : そうですね。
 
小島 : ラベル付けというか、みんなが褒めてくれるのがJBUGというハッシュタグを使って、表れることが大事で。
 
橋本 : はい。エゴサーチしやすいようにしているみたいな感じですね。
 
小島 : ラベル化するための装置として使っていると。
 
橋本 : もちろん現場と僕との違いというのはあって、現場でいくと、すごくこういろいろな話を聞くと、僕は逆なんだなと思ったんですけど。現場がすごく数字を追い求めているので。
 
小島 : 似てますよね。現場は数字を出してくるけど、いやいやもうちょっと高みを目指してって。
 
橋本 : そうなんです。もうちょっと高めのところを目指したいんですけどね。その高いところを目指すための指標としての数字は、もちろんあっていいかなとは思うんですけど。現場の人たちのコミュニケーションをする道具として。ただ、その一方で、視座は高いところに、というのがあって、さっきの話と重複するんですけど、プロジェクトを明るく楽しく成功させるためにはどうするか、みたいなところを考える人たちになってもらいたいので。そこで数字を追い求めてもなあというのはありますね。
 
小島 : ちなみにキャリブレーションというか、同じ視座を持ってもらった方がやりやすいわけじゃないですか。視座をレベル合わせするために、何かやってらっしゃることってあります?
 
橋本 : 僕は本当のノータッチで、コミュニティの方がすごく教えてくれたというか。
 
小島 : それもコミュニティの方がやってくれたんですね。すごいですね。
 
橋本 : はい。コミュニティの方にはおんぶにだっこでありがたい限りですね。
 
小島 : それって、お客さんとすごくいい関係ができていて、それを可視化するためのコミュニティだというのは、1つのパターンかもしれないですね。もし、みなさんがやっている会社とかサービスって、すごくファンがいらっしゃったら、みんながやっていることに名前というか、ラベルを付けるのはすごくいいやり方かもしれないですね。
 
橋本 : 既にいらっしゃると思うんですよ。ファンみたいな方は。その人たちをファンだと信じるかどうかの違いだと思います。
 
小島 : なるほどね。ちなみに余談なんですけど、僕のところに相談くる方で、「今スタートアップをやっています。これからサービスを作っているので、そこでコミュニティマーケティングをしたいんです」という方が来るんですけど。その前に「まずはファンを作りましょう」という話を、よくしているんですよね。ファンがいないと、コミュニティマーケティングは出来ない。ファンからスタートするので、まずは使ってもらって、フィードバックを受けて、いいねと言ってもらうまで徹底的に、最近の言い方だとプロダクトマーケットフィットをやるというのが、まず先にあって、それができた後に、いいねという声を拡大する仕組みとして、コミュニティがある方がいいんじゃないのかなと思いますけど。それがもともとできていたってことですね。
 
橋本 : そうですね。

Q5:今後の展望について。企業トップとして、今後コミュニティをどうしたいか?

小島 : じゃあ最後に訊きたいんですけども、視座が高いというのは分かりました。さらにコミュニティの今後、JBUGとマジカチにとどまらず、ヌーラボとfreeeのコミュニティの位置付けみたいな話をしたいんですけど、先に橋本さんいきましょうか。
 
橋本 : そうですね。プロジェクトを明るく、楽しく、成功させるというのは日本だけの問題ではなくて。世界中の問題ではあるとは思うんですよね。できれば、うちは海外展開をやっているので、本当の意味での意識の高い人たちが、ちゃんと国境を越えて集まるようにしていきたいですね。
 
小島 : 今JBUGって日本でやっているけど、海外の人もその輪に入れるようなムーブメントにしたいと。
 
橋本 : そうですね。
 
小島 : コミュニティでもうちょっと世界のユーザーを繋ぎたいと。
 
橋本 : なんでわざわざ、単に「Backlog User Group」じゃなくて、「Japan Backlog User Group」にしているか、ということです。

小島 : それは今後の展開なんですね。そこにチャイナのCとか、Tとか、USのUとか。
 
橋本 : そうですね。そういうのが付いていけば。
 
小島 : 全部BUGになっちゃうという。
 
橋本 : そうですね。全部バグる(笑)。
 
小島 : 覚えやすいかもですね。ちなみに、もう実は今日サイトオープンするんですけど、次回のミートアップのテーマがコミュニティでゴーグローバルというテーマになっていまして。今日本でも苦労して、いろいろやっていると思うんですけども。日本から海外市場にコミュニティを展開している何社かにお話を伺うことになっているので、流れで結構今の話はいいのかなと思います。
 
では続きまして、freeeさんの方ですね。freeeさんとしてはコミュニティをどうされたいんでしょうか。
 
尾形 : 先ほど触れましたけども、コミュニティが1つの手段として、プロダクト、freeeのクラウドとか、freeeのサービスの、またfreeeの会社のブランディングに繋がっていく。そのプロダクトがあるだけではなくて、コミュニティがあるからfreeeを利用するみたいな、そういった世界になっていくと、1つ目指すべき方向性かなと思っています。ミッション自体がスモールビジネスを世界の主役にということになっているんですけども、中小企業のあらゆる人たちに関わるミッションですし。そこに携わっているのは、経営者だけではなくて、サポートする士業の方々であったりとか、そういった人たちが一緒に働くことによって、初めて実現される世界なので。 

そういった意味で言うと、今のユーザーのコミュニティも税理士さん向けのコミュニティも。それぞれ並行して走らせているんですけども。こういったところがクロスファンクションに育っていくとか、そういった方向性になっていくと、もっともっとおもしろいかなと思っています。
 
小島 : JBUG、バックログユーザーグループの日本だけではなくて、海外との繋がりというのを言っていましたけども、逆にfreeeさんとしては、オーディエンスが結構違うんだけど、同じfreeeの製品を使おうとしている人たちの、コミュニティ・オブ・ザ・コミュニティみたいな、こういうのが次のステップかなと。そんな感じですよね。
 
尾形 : そうですね。まずはそれぞれのコミュニティがしっかり上手く回ることということが、もちろん直近ではやっていかなければいけないことなんですけども。そこは目指したいなと思っています。
 
小島 : ありがとうございました。
 

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今回のトークセッションを通し、コミュニティの価値を理解している経営層の方は、より高い視座から、コミュニティを捉えているということがわかりました。
 
我々も、現場のコミュニティを担当しているマーケティング担当者や、コミュニティマネージャーの方と話していると、経営層は数字を求めるだろうからKPIをどうしたらいいのか、という相談を受けることが多いのですが、より深くコミュニティマーケティングを経営層に理解してもらい、腹落ちしてもらうことができれば、一層高い視点からコミュニティマーケティングを実践していくことができるのでは、と思いました。
 
みなさんも、ぜひコミュニティマーケティングの意義やコミュニティマーケティングで実現できる世界について、経営層の方とじっくりと話をしてみてはいかがでしょうか。
 
 
今回お邪魔したCMC meetup、東京を始め、全国各地で開催されています。こちらで最新の情報をチェック出来ますので、興味を持たれた方は、ぜひ参加してみてください。

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