次の2つの文を比較してください。「The fox is coming for the chickens.(キツネがニワトリを捕りにやって来る)」「The seeds are coming for your yard.(あなたの庭に種が飛んで来る)」。「for」という単語は非常に異なる働きをしており、一方では否定的な意味を、もう一方ではメリットを示しています。
それでは、この文章はどうでしょう。「The robots are coming for our jobs.(ロボットが私たちの仕事をするためにやって来る)」。先ほどと同じように、どちらの解釈もできますね。そして、実際に人々は自らの視点で解釈しています。マーケティングでは、支援するために本物のロボットがやって来ます。そのロボットは人工知能を引き連れてやってくるのです。
AIは認知の補綴と呼ばれています。これは、大規模なデータセット、アルゴリズム、強力なコンピューティングを組み合わせて人間の思考を模倣した結果を生み出すテクノロジーですが、スピードとボリュームには人間が太刀打ちできるものではありません。マーケティングでは、人間のブランド担当者が顧客一人ひとりに対応力の高いパーソナルな体験を提供しますが、AIは数百万の顧客データを解析し、パーソナライズされた(自動化されている場合)体験をそれぞれの顧客に提供できるのです。あるレポートによると、企業は平均して28のデータソースを参照していると言います。AIがその負荷を背負ってくれれば、ニュアンス、創造性、そして想像力など、人間のみができることに集中できるのです。
マーケターにとってAIのメリットは、ビッグデータを迅速かつ大量に処理してくれることだけではありません。最近の2つの傾向から、このテクノロジーがマーケティング特有の方法で役立つことが示唆されています。それは、Cookieの減少と感情データの上昇です。
何十年もの間、サードパーティのCookieは、貴重なマーケティングデータのための単独のアグリゲーターでした。しかし、消費者がより事情に精通してきたため、個人情報を以前より制御するようになりました。そのため、最近ではCookieが消滅しかけています。この事実を踏まえて、ブランドは人とのつながりをどのように維持すべきでしょうか。
方法の1つとして考えられるのが、パーソナライズされた体験を生み出すために、消費者の無数のデータポイントを分類するオウンドソリューションを確立することです。しかし、これを10人の顧客に対して行うことは簡単ですが、1,000万人だったらどうでしょうか。そんなとき、AIはすんなりと救出してくれるでしょう。
マーケターが入手できるデータの種類も変化しています。感情は新境地です。
感情は、ブランドとのつながりを構築する中核を担うものです。デロイトの調査によると、消費者の60%が感情的な言葉でお気に入りブランドとのつながりを表現しており、そのうち70%がブランドからのフィードバックを期待しています。
認知ソフトウェアの進歩に伴い、このような感情がデジタル領域に取り入れられています。AIは、感情的な手掛かりを探し、人間の感情的な反応を明らかにし、感情を引き起こす行動パターンを検出しながら成長する機能を備えています。人間が学んだことを、AIはリアルタイムで適用できるのです。たとえば、特定の色はその人の気分に応じて認識されます。クリックが早い場合は緊急性と効率的な応答を示唆し、遅い場合は、エンゲージする時間のある人物であることを示している可能性があります。パーソナライズされた顧客のインサイトを拡大することは、以前はサイエンスフィクションのように思われていました。しかし現在では、マーケターやブランドが顧客をより深く理解し、効率性と共感に基づいて顧客と繋がり合う手助けをするために実在しています。
AIの潜在的な価値を確信し、さらに深堀りしようと計画しているCMOは、以下のことを試してみてください。
将来性は魅力的に映りますが、投資を正当化するのは結果です。そのため、まずはAIがマーケティングにもたらす価値を証明する準備を整え、同じアプローチを使用して、AIの力を追加すればマーケティング機能がより大きな価値を提供できることを証明しましょう。
重要で新しいツールと同様に、慎重な手順で実行することにより得られる知恵があります。コンテンツのパーソナライゼーションや測定された順位づけなど、マーケティングイニシアチブにAIをパイロットする箇所を見付けてください。次に、信頼、テスト、調整の反復パターンに従います。データを信頼してください。AIアルゴリズムをテストして、インプット、アウトプット、アクションが戦略に沿っていることを確認します。そして、AIエンジンを調整して、簡単に実行できるようにします。AIの使用を拡大する際には、測定可能なゴールにコミットしてください。
忘れないでください。機械学習に関して、私たちの学習も遅れていることを。つまり、私たちがAIシステムをコード化し、データをフィードし、生成されたインサイトを解釈する方法で、AIシステムに独自の暗黙のバイアスを組み込むことに注意を払わなくてはなりません。私たち人間は確証バイアスに敏感です。それは、すでに「本物」だとわかっていても、新しい情報の解釈を形成させてしまうことです。スパイクがもっと良い仕事をすると気付く前に、MITの学生がルービックキューブを解くために人間のような腕を持つロボットを構築した理由がわかるでしょう。(彼らは実際に開発しました。先端の尖った武装バージョンはキュービックパズルを記録的な0.38秒で解決しました)。AIも応答に偏りがなく、私たちのバイアスの範囲内またはバイアスがない状態でインサイトを検索することができます。
バイアスの例を挙げましょう。本質的には、人間の顧客体験に貢献できるマシンは存在しません。しかし、誰かがあなたの名前を間違えてコーヒーカップに書き記したときのことを思い出してみてください。そして、その時のインタラクションが数百万倍になったことを想像してください。
少し調べれば、全業界のマーケターが、想像以上にAIから得られるものが多いことに気付くでしょう。今日、B2CとB2Bの企業の両方が、マーケティング活動をサポートするためにAIを使用しています。この経験は、新しく採用する側にとって学びの場となります。唯一、欠けている要素は経験豊富なアドバイザーだけかもしれません。
AIは、制限要因を排除し、戦略、メッセージング、ブランドの目的を形成する時間を私たちに与え、人間以上に目標を達成する能力を持っています。ロボットがやってくる理由は、より有意義かつ迅速に、より多くの人との繋がりを生み出す方法をマーケターのために切り開くためです。
確かに、知性は人工的なものです。しかし、潜在的な見返りは現実のものです。
この記事は、Ad Ageを通じてAlex Kelleherが執筆し、NewsCredのパブリッシャー・ネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
元記事「How machines can enrich the humanity of customer experience」は2020年5月5日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事は、NewsCred BlogのVictoria Goldenが執筆し、NewsCredのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
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